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完璧淑女の公爵令嬢、普通に卒業しただけなのに“あの令嬢”扱いされ、気づけば“星剣”と呼ばれていました  作者: 翡翠


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第47話 外に出てみたいのですけれど



 アストレア公爵邸の応接室。


 静かな空気の中に、確定した重さだけが残っていた。


 神竜エル・セラフィア。


 人の神アウレリオン。


 古竜セレス。


 すべてが同じ空間にある。


 世界の頂点が、揃っている。


「……」


 レオネルが小さく息を吐く。


「……これで終わりだな」


「はい」


 ノエルが頷く。


「世界構造は固定されました」


「……もう動かない」


 カイルが言う。


「誰も動かせない」


 その時。


「外に出てみたいのですけれど」


 セリアが言った。


 空気が止まる。


「……は?」


 カイルが聞き返す。


「少し冒険をしてみたいのですわ」


 穏やかな声。


 いつも通りの調子。


「……」


 全員が沈黙する。


 理解が追いつかない。


「……何を言っている」


 レオネルが低く言う。


「外ですわ」


 セリアは微笑む。


「まだ行ったことのない場所に」


「……」


 言葉が出ない。


「……必要か」


 アウレリオンが問う。


「はい」


 即答だった。


「見てみたいのですもの」


 理由はそれだけ。


「……」


 エル・セラフィアが沈黙する。


 思考する。


 だが。


 結論は早い。


「……制限は不要」


「同行すればよい」


 あまりにも自然な答え。


「……は?」


 カイルが再び固まる。


「……同行?」


「そうだ」


 神竜が続ける。


「問題は発生しない」


「……いや」


 レオネルが言う。


「問題しかない」


「……何がだ」


「全部だ」


 短い返答。


「まあ」


 セリアが楽しそうに微笑む。


「ご一緒してくださるのですか?」


「……問題ない」


 エル・セラフィアが答える。


「同行する」


「我も同じだ」


 アウレリオンが続ける。


「……」


 完全に止まる。


 思考が。


「……なあ」


 カイルが小さく言う。


「何だ」


「神が冒険するって何だ」


「……分からん」


 レオネルが正直に答える。


「だが」


 一拍。


「止められない」


 それだけは確定している。


「セレス」


「……同行可能」


 古竜も即答する。


「では」


 セリアが立ち上がる。


「決まりですわね」


 何も迷わない。


 何も考えない。


 ただ、行く。


「……どこに行く」


 リリィが小さく聞く。


「分かりませんわ」


 セリアが微笑む。


「行ってから決めましょう」


 それだけだった。


 計画はない。


 目的もない。


 ただ、動く。


「……」


 ノエルが静かに言う。


「……世界が動きます」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「中心が動く」


 それが何を意味するか。


 全員が理解している。


「では」


 セリアが振り返る。


「参りましょう」


 その一言で。


 世界の中心が、外へ出る。


 神と共に。


 当然のように。


「……なあ」


 カイルが小さく言う。


「何だ」


「もう国とか関係ないな」


「……ああ」


 レオネルが頷く。


「完全に」


 誰も止めない。


 止められない。


 それが、この世界の新しいルールだった。

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