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白いツバサ 低カロ執筆版  作者: 透坂雨音
五巡目、六巡目、七巡目~
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第10幕 壊れ欠けゆく船と、迫る刻限 第1話 暴走後



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 イメージナンバー「100」

 イメージカラー「透明」

 イメージワード「暴」


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 イメージナンバー「2」

 イメージカラー「緑」

 イメージワード「混乱」


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 イメージナンバー「?」

 イメージカラー「緑」

 イメージワード「混乱」




 第1話 魔力暴走


 エンジェ・レイ遺跡 最奥 転移装置前 『未利』


 荒れ狂っていた風が収まった後、そこにいるべき者達の姿が四名ほど見えなかった。

 姫乃達が転移装置に落ちたのだ。


 霧に覆われていたため、実際にその光景を確認したわけではないが、状況的にそうとしか思えない。


 状況はかなり不安だが、こちらを襲撃に来たアイナも一緒に落ちたのがますます不安要素をプラスしてくる。


未利「いたたた、けが人は?」


 腕を怪我した未利は、エアロに問いかける。

 暴風が収まった後、すぐにこちらの腕に包帯を巻いて処置を施した彼女は、周囲に視線を向けながら口を開いた。


エアロ「ハイネルさんと、メリルさんだけですよ。お二人とも軽傷です」

未利「あと一応アスウェルもね。問題は姫ちゃんの方…」


 とりあえずカウントが一つ見逃されていたので追加しておいた。

 エアロが気絶させたため倒れているアスウェルを横目に、転移装置の方へと視線を向ける。


 記憶の中ではアイナがツバキの名前を呼んでいるように聞こえたが……。


 シュナイデル城にいるはずの少年がここにいたのは、おそらく我らが教師の仕業だろう。


 件の教師に視線を向けると、わざとらしい笑みを浮かべた雪奈が、自分の頭をこづいた。


雪菜「ゆきなんちょっと悩んじゃったけど、一応あの子も呼んどこうかなーって」


 とりあえず、見かけによらず考えなしに行動するようなタイプではないので、相応の理由があったのだろう。


 ため息をついてその言葉を受け入れる。


未利「ならたぶん、あいつも落ちたんだよね。姿見えないっぽいし」

エアロ「おそらくは……、姿は見ていませんが」


 アイナがツバキの名前を呼んでいたようなので、おそらくそうだろう。

 雪菜の証言とアイナの言葉があるなら、この場にいたものとして考えていいはずだ。


 姫乃とアイナが転移先で顔を合わせる可能性を考えると、ツバキがいた方がいくらかはマシだろう。


 本当にいくらか、といったほどの安心材料しかないが。


 転移装置の近くでは、ハイネルを気遣うコヨミの姿があった。


コヨミ「ハイネル、大丈夫?顔色が良くないわ、少し休んだらどう?」

ハイネル「いえ、問題ありません。あれは、運だけは良いので。何とかするでしょう」


 ハイネルの表情は強張っているように見える。

 弟が行方不明になっているのだから、無理もないだろう。


 しかし、彼はそれを極力表に出さないようにしているようだ。

 もちろん人を見る目があるコヨミだけでなく、比較的付き合いの浅い未利でも無理をしていることはバレバレだったが。


 そこに、メリルがフォローの言葉を入れた。


メリル「姫様の言う通り大丈夫ですよ。カリバンのやつは運だけは良いですからね」

ハイネル「そうだな。その通りだ…」


 ため息をついたハイネルは、自分の心境に一応の区切りをつけたらしい。

 会話をする彼らは、すでに手当を終えたようだ。

 彼等兵士組は、器用な事に自分達で怪我の手当てを済ませていた


ミリ「とりあえず暴走が止まって良かった。あのまま風が吹き荒れてたら、みじん切りになるところだったかもだし」

エアロ「怖い事言わないでくださいよ」


 想像してしまったのか、エアロが腕をさすっている。

 工夫した言い方なんて未利にはできないので、受け止めてもらうしかないだろう。


 未利は、つい先ほど起こった出来事を思い浮かべる。

 あの時、アスウェルをかばって腕に怪我を負ったとき、頭の中が真っ白になった。


 思考がぐちゃぐちゃになって、感情がふきあれるような感じがあった。


 それが魔法の暴走に繋がったのだろう。


 なんとか魔法を止めることができたが、そのせいで姫乃が転移代の方へ吹き飛ばされてしまった。


 疫病神、という言葉が頭の中に浮かんでしまう。

 ため息が漏れる。


ミリ「はぁ、アタシってホント、皆の足ひっぱってばっか……」

エアロ「未利さんのせいじゃないですよ。アスウェルさんやアイナさんが面倒事を持ち込んでくるのが悪いんですから。後は氷裏さんも……」

ミリ「そこは否定しないけどさ」


 この世界で起こる全部の面倒事が自分のせいだなどとは思わない。

 だからアスウェルがやらかした事や、アイナがやらかした事はきちんと彼らのせいにしておく。


 だがそれはそれとして、人に厳しくするなら自分にも厳しくだ。

 弱いところから目を背けて、大切な者達の弱点になるようなことはしたくない。


 ため息をついた未利は、離れた所にいるベルカに話しかける。


ミリ「で、これからどうすれば良いわけ? あんたはこれから起こす行動についてなんか指針を持ってるみたいだったけど?」

ベルカ「役に立たなくなったと言ったでしょう?せっかく立てた方針も、予想外の状況でまたひっくり返されてしまったわ」


 ベルカはただ静かにその場の成り行きをずっと観察していたようだ。

 しかし額にたんこぶをつけたなあの近くにいるので、そちらの面倒は見ていたのかもしれない。


 なあはさっきのかぜで、転倒したんだろうか。


みり「盤上くるくるひっくり返されると、ほんと面倒。物語だと刺激的で面白いってなるとこかもしんないけど、巻き込まれる方はたまったもんじゃないわ」


 未来が決まっているよりはマシと、姫乃ならば思うところだが、今は少し参ってしまうかもしれない。


 あれだけ色々話し合った後に、こんな事さえると気持ちが色々萎える。


なあ「ぴゃ、ムラネコちゃま。待ってほしいの。かけっこなの。ぴーちゃんもかけっこするの?」

ムラネコ「みー」

ぴーちゃん「ぴい!」


 転移代を爪でカリカリしているムラネコと、その周囲を飛び回る白い鳥。それを追いかけるなあを見て癒された後、思考を戻す。


ミリ「とりあえず明日はやる事があるんだっけ?」

ベルカ「そうね。明日と言うよりはもう今日だけれど、姫乃達はこちらで探しておくわ」

ミリ「できんの?」

ベルカ「あなた達よりは」

ミリ「なら任せるしかないか……」


 さらっと世界を渡る発言をするのが、ポテンシャルが謎すぎて少しコワイ。


 ベルカは昏倒しているアスウェルを見つめる。


ベルカ「世界を渡る前にこちらはやっておくべき事があるわね」

ミリ「アスウェルを拷問するとか?」

ベルカ「それはあなたたちに任せるわ」

ミリ「止めはしないんかい」


 冗談で言った言葉に真顔で返されたので、どう扱っていいか悩む。


 考えているうちにベルカが、コヨミへ声をかけた。


ベルカ「コヨミ。アスウェルと、城の医務室で寝ている女をつれていくわ」

コヨミ「それは……どのような理由でですか?」

ベルカ「詳しく話すと世界の行く末が不安定になるから、言えない。託せないというのなら私は何もしないけれど」


 数秒考えた末コヨミは、ベルカに頭を下げる。


コヨミ「先ほどあなたが述べた言葉に嘘はないと思います。ですからお二人をよろしくお願いします」

ベルカ「そう。人を運ぶ魔法は使えないから。誰か見繕っていくのは良いかしら」


どうやら規格外の人間でも、身体的な能力は見た目相応のようだった。

魔法みたいなのでぱぱっとできないところに意外と不便さを感じる。


コヨミ「そうですね。では、ハイネルさん。そしてメリルさん、お願いできますか?」


ハイネル「了解しました」

メリル「おっけーです。任せてください」


ベルカは、アスウェルを担いだハイネルとメリルを伴ってその場から消える。


二人を見送った未利達はとりあえず仮眠をとる事になった。


色々あったが、皆疲れている

なあちゃんが船をこぎ始めている。


なあ「むにゃ。とりさんが一匹、とりさんが二匹、とりさんが五十羽なの」

みり「どっからつっこんでいいいのか分からないくらい、つっこみのオンパレードなんだけど」



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