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ちょっと天然の女子はきらきらでピカピカになる  作者: ついざきまさひろ
第四章 丼物まで提供する、料理も接客も一流のレストラン

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第6話 夢の中でも

 ***


 私とリクちゃんは、ルンルン気分で、お姉ちゃんとグリズさんが待っているチェリー川へと向かいました。


 私は、体のふわふわした、妙な感じもとれて、すっかり元気です。


 それもこれも、ジョンソンさんたちのおかげです。


 鮭のおにぎりは、ドン・ジョンソンのロゴマークが入った、おしゃれな手提げの紙袋にいれてくれました。


 私は、今度のドン・ジョンソンのチラシに、焼き鮭のおにぎりが登場するような気がしてなりません。


 レモンのお水も、おいしかったなぁ。

 家でも、あれ、つくりたいなぁ。


 お水といえば、ジョンソンさんは、よく冷えたペットボトルのミネラルウォーターも四本、ビニル袋にいれて、持たせてくれました。


「アユちゃんは、倒れたんだから、持っちゃだめだ」


 リクちゃんは、ミネラルウォーターも、おにぎりも、私には持たせてくれませんでした。

 道すがら、私が、「もう大丈夫だから」と何度言っても、だめでした。

「リクちゃん、疲れたでしょう」と何度言っても、

「全然、平気」と鼻歌をうたって、持たせてくれませんでした。


 リクちゃんはやさしいなぁって、私、つくづく思います。


 だから、私は、せめて自分にできることを、と手術室の看護師のように、リクちゃんの額の汗をハンカチでふいてあげました。

 

 一万円札は、スカートの右のポケットにあります。


 私はそれを、なくしていないか、ときどき、ポケットに手をつっこんで確かめては、ハンカチでリクちゃんの額の汗をふきふきしました。


「ねえ。リクちゃん。二の腕って、どこか、わかる?」


「わからない」

 リクちゃんは笑顔で首を横に振ります。


「じゃあ、上腕二頭筋は?」


「上腕二頭筋は、この力こぶになる筋肉だよ」

 リクちゃんはそう言いながら、ビニル袋を持ったまま、左の肘を曲げ、力こぶをつくりました。


 リクちゃんは、夢の中でも、リクちゃんだったんだぁ、と私は思いました。


「なんで? アユちゃん、筋肉、つけようと思ってるの?」


「ううん。そういうわけじゃなくて……」


 私は、リクちゃんに、私が倒れていた時に見た夢か現実かわからない話をしようかと思いました。


 でも、「正」式な奴隷にされそうになったのを思い出して、やめました。


「ジョンソンさんのおにぎり、きっと、グリズさんも喜ぶね」


「うん。あんな長い帽子をかぶった人が、ふつうは、おにぎりなんて、にぎらないもんな」


 私は笑うところだと思って、笑いかけましたが、リクちゃんはいたって真剣そうだったので、

「そうだね。うん、そうだよね」と真顔でうなずきました。


 私たちが、大人の魅力的な男と女になったら、また一緒に、ドン・ジョンソンに行こうね。

 心の中で、私はリクちゃんに言いました。


 そうして、神様とジョンソンさんにお願いしました。

 お店が、ずっと、繁盛していますように。

 つぶれたりしませんように。

 あんまり値上げしませんように。

 新聞の折り込みカラーチラシを、やめませんように。

 

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