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9 王子の使い魔

 さて、次は王子の使い魔召喚だ。

 王子というキャラだけあって、私とヒロインには及ばないが強力な使い魔を召喚する。


 王子が前に出ると周りのほとんどの女子たちが黄色い悲鳴をあげる。

 王子が答えるようににこりと微笑むと崩れ落ちる女子多数。


 ……おお!すごいぞ!ルシール先生は王子のスマイルをスルーしてものともしていない!


「『我は火を司る者。我と共に時を刻む者を求めん。』」


 王子が詠唱を始めると、魔方陣が召喚の呪文に反応し炎が燃え上がるような赤い光を放ち始める。


「『契約によって新たな時が紡がれる。我が求めに応じる者、その姿を現せ。』」


 呪文を唱え終わると魔方陣から炎が溢れ辺りが熱気に包まれた。


 というか、火の粉が飛んできて凄く熱いんですけど!?


 しばらくして炎が収まった後に姿を現したのは炎を操るトカゲの姿をした火精、サラマンダー。


「こ、これは、まさかサラマンダー!?」


 サラマンダーは召喚される使い魔の中でも強力な使い魔で、人の大きさはある炎をまとったその姿には人々を圧倒するほどの迫力があった。


 さすがのルシール先生もサラマンダーには驚いて言葉もない・・・


「さっすが私の教え子だわ。やっぱり優秀な先生だと召喚できる使い魔も違うわね~。」


 ということもなく、なんか自画自賛している。


 ・・・ルシール先生って実はある意味大物なんじゃないかって最近思うよ。


 私がルシール先生に呆れつつも感心していると、王子はサラマンダーに近いて頭に手をおくとまるで腹黒さを感じさせない優しげな笑顔を浮かべて撫でていた。


「私があなたの契約者です。これからよろしくお願いしますね、サラダ。」


『・・・え?』


 サラマンダーの名前を聞いたクラスメイトたちは使い魔の名前を聞いてピタリと動きを止める。


 ……もちろん私も。


「あはは!サラマンダーだからサラダ?かっこいい顔してネーミングセンス壊滅的ー!」


 後ろでこそこそと使い魔の名前が鳴き声のネーミングセンスが壊滅的な教師が約一名。


 やっぱり自国の王子をばかにできる先生って大物だよね。

 今日1日だけで何回もそう思ったよ。


 とりあえずあの腹黒王子に聞こえてないみたいで良かったですね、先生。


「あー、笑った笑ったー・・・じゃなくて、次の召喚いってみよー!はいはい、次々!」


 極寒の王子スマイルを向けられたルシール先生が誤魔化すように慌てて生徒を促す。


 サラマンダーを召喚した王子の後に召喚する生徒って可哀想だなー、なんて思っていたらなかなか次の生徒が出てこない。

 すると、後ろから声がかけられる。


「アリシア様。次はアリシア様の番ですよ。」


 あれ?そうだっけ?


「おほほ。これは失礼いたしました。教えてくださってありがとうございま、す・・・」


 くるりと後ろを振り返ればなぜかにっこにこ笑顔のヒロイン登場。


「あの!私、応援してます!頑張ってください!」


「え、ええ。ありがとう・・・?」


 まるで憧れのアイドルに出会ったかのように、頬を染めながらキャーといって走っていくヒロインの姿に少しの間フリーズしてしまう。


 なんだ、あの可愛い小動物は・・・。


 じゃなくて!なんで私はヒロインになつかれているの!?

 トイレか!トイレに案内したからなのか!?


 もやもやしたまま魔方陣に向かうと、周りからの期待の視線をビシバシと感じる。

 特にヒロインからの視線が痛い。


 なんか思いもよらない方向に進んでしまっているような気がして私は深くため息をついた。

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