3 助けられたことよりこの黒歴史をどうするか
3話です。なぜか咳が止まりません。
戦斧を構えたおっさんが熊もどきと睨み合ってある。
「間に合ったかー?」
そこへ、腰に剣をさした青年――爽やかそうなイケメンである――と、ローブを着て杖を持った女性――一部分の主張の激しい美人さん――が駆けつけてくる。
「おう、間に合ったぜ。間に合ったよ…な?」
おっさんさこっちを見て固まる。
「ちょっと、バルトさん!」
「あっ、あぁ。すまねぇ」
おっさん――バルトさんと呼ばれていた――が慌てて目をそらす。なぜだ?
「ほらバルトさん、この娘のことはレイナさんに任せて僕たちはアームベアを片付けましょう」
「わぁったよ、アレク」
バルトさんと青年――アレクと呼ばれていた――は熊もどき――アームベアに向き直った。そして、女性――こっちは確かレイナさん――は俺に駆け寄ってくる。
「あなた、大丈夫かしら?」
レイナさんは俺の視線と同じ高さになるようにしゃがんでから聞いてきた。
「うっ、うむ」
そして俺は返事をした時に気がついた。言葉遣いがおかしい――じゃなくて、股が濡れてる。あっ、あっちの意味ではじゃないからな!怖くて失禁しただけだ!……はい、いい年なのに怖くておもらしですよ。悪かったですね。
「怖かったわね。もう大丈夫よ」
そう言って、レイナさんは俺を抱きしめてくれた。ただ、俺は窒息しそうになる。理由は言わなくてもわかるだろうが、あえて言おう!彼女の胸のせいだ!!だけど、あれ?苦しいとは思うけど興奮はしないな……。感性も女になってきてるのか?
俺が慰められてある間にもバルトさんとアレクさんはアームベアと戦っていた。アレクさんが剣でアームベアの注意を引きバルトさんを隙を見て戦斧振るう。俺が見た時にはちょうど首が飛んだ時だった。
アームベアの首から血が吹き出す。俺はその光景を見て思ってしまった。マズそうな血だなっと。なぜそう思ったのかわからない。本能的なものだと思う。
いろいろ考え始め思考の海を漂っているうちに、バルトさんとアレクさんがこちらへやって来た。ちなみに俺の下着はまだ濡れたままだ。って、ちょっと待って、こっち来ないで。
「おっ、お主ら!こちらを見るな!そちらを向いておれ!」
俺はレイナさんに見られるよりも、バルトさんやアレクさんに見られる方が恥ずかしかった。なので、俺はレイナさんに助けを求める視線を向けた。
「………」
「どうかしたのかしら?」
気づいてもらえませんでした。よって俺はレイナさんを手招きする。近づいてもらってから、小声で話すつもりだ。レイナさんは手招きする俺に近づいてくる。
「レイナ殿よ。すまぬが粗相をしてしもうたこの姿を男に見られるのは恥ずかしゅうてな。どうにかしてもらえぬだろうか」
「あぁ、そういうことね。わかったわ。『我、清らなるを望み、穢を払わん、清浄』っと、これでいいわね」
えっ?なにそれ?て言うか、下着乾いてるし。あれかな、魔法かな?余…俺も使えるかな?楽しみだなー……。やばい言葉遣いのことは気にしてなかったけど、いまさらながら気になってきた。なんで急に変わった?……いや、犯人は管理者しかいないだろうな。
閑話休題
レイナにお礼を言わないとな。あと、バルトさんとアレクさんにもね。
「レイナ殿、礼を言おう」
ちょっと待って!なんで上から目線!おかしいでしょ!レイナさん綺麗にしてもらったのにそれはないでしょ!
「どういたしまして」
なっ、普通に返されてしまった。痛い娘とか思われてないかな。思われてないといいな……。
「バルト殿とアレク殿にも礼を言おうぞ」
……うん、諦めた。これは治らないね。諦めて受け入れるしかないよ。ただ、元日本人としてはなんとも言えない。
「おう、気にすんな」
「そうですね。バルトさんの言う通り気にしなくて大丈夫ですよ」
やばい涙が出そうだ。この人達、めっちゃいい人。なに、助けてもらったくせに上から目線の小娘にこの対応、神対応でしょ。
「ところで、なんで嬢ちゃんはこんなところにいたんだ?」
「そうですね。それは僕も気になりますね」
「それと、あなたの名前も教えてもらえると嬉しいわ」
「そっ、それはだな……」
ちょっと待って。俺なんでこんなところにいたんだ?それと、名前なんだが、そのまま名乗るのはなんか違う気がする。なんて言うか、前世の名前に違和感がある。なぜだ?俺は返答に困ってしまった……。
あっ、それよりも失禁したって黒歴史だよな。どうしよ?
ありがとうございました。
続きは3日以内に更新できると思います。