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1 ハリセンで叩かれた

気になる点がございましたらご指摘ください。




 俺が気がつくとそこはなんとも表現できない空間だった。白いのに黒い、明るいのに暗い、広いのに狭い、高いのに低い、こんな知らない感覚に俺は戸惑っていた。



[やぁ、気がついたかい?]



 頭に直接語りかけられる。声の主を探すが見当たらない。仕方がないから、俺は質問しようと声を出そうとした……が声が出ない。一体どういうことだ。



[あっ、ごめんごめん。今、君に合わせるよ]



 その声とともに空間が切り替わった。白い部屋におそらく木製であろうテーブルと2つイス。そして、その片方に座る金色の髪に翠色の目をした男がいた。すごい美形だ。正直気にいらない。



「いきなり、気にいらないはないんじゃないかな?月宮(つきみや)悠希(ゆうき)くん」



 ん?声に出してないはずだぞ。なぜわかった、あのイケメン(気にいらないクソ野郎)め。



「うん、声には出てないね。でもね、僕は他人が思っていること、考えていることがわかるんだよ。だから、君が何考えているか分かるんだよね」



 おいおい、プライバシーはどこへ行った。家出ならすぐに帰ってきてほしい。てか、なんで人の考えてることがわかるんだよ。



「まぁ、それも合わせて説明してあげるからこっちにきて座りなよ」


「わかったよ」



 俺はイケメン(気にいらないクソ野郎)の反対側に座る。イスはシンプルな造りのわりに座り心地がいい。



「だってその椅子は君にあわせて創ったからね」


「自然に考えてることを読むなよ!プライバシーの侵害だぞ!!」


「あはは、まぁ気にしないでよ。それよりも、なぜ君がこんなところにいるのか知りたくはないかい?」


「そりゃ知りたいさ。だけど、その前にお前は何者だよ」


「僕はね、管理者ってところかな。何を管理してるかは多すぎて説明するのが大変だから省くけど、君が()()世界で言う神様ってところかな。そして、君の考えてることがわかるのは管理者の特権ってやつさ」


「なるほど。それで、その神様が何の用なんだ?」


「用はないよ。たださ、馬鹿な部下のせいで君が死んじゃったからさ、せめて記憶を残して転生させようと思ってね。ただ、地球には転生できないけどね」


「ちょっとまて、もう少し詳しく説明してくれ」


「わかったよ。でも長い話は嫌だろうから、重要なとこだけ説明するよ。まず、地球のある世界とは別の世界である国のお馬鹿さんたちが勇者召喚をしたんだよ。それで、君のクラスが選ばれたわけだけどその余波で君の体だけが()()したんだよね。だから君だけ転移じゃなくて転生になるわけだよ。」



 そういえば、朝のHRで寝てたらいきなり床が光りだしたんだよな。あれが召喚か。というか、俺の体はもうないのか……。せめて童貞だけでも捨てたかった……。


 しかしあれか、俺かよく読んでた異世界転移ものがクラスのやつらで、俺だけ異世界転生か。てか、あいつら俺TUEEEかよ。まぁ、俺には関係ないか。どうせ脇役だしな。それよりもなんで転生させてもらえるのか聞かないとな。



「ほーう。それで、なぜ転生になるんだ?俺としては問題ないどころか死ななくてラッキーなんだが」


「それはね、地球のある世界を管理しているやつの代理と召喚とかするお馬鹿さんたちがいる世界を管理しているやつ代理が許可しないと召喚って成功しないんだけど、面白そうってだけで許可出しちゃったんだよね、その2人はさ。だからそのお詫びかな。」


「ん?なんでお前がお詫びをするんだ?」


「本来の管理者は僕だからね。ちょっと他の世界を管理している時にやられちゃってね。あははは」


「いや、笑い話じゃないだろ」



 これ、こいつらのほうが悪いんだしいろいろ要求してみようか。よし、そうしよう。



「まぁ、あまり気にはしてないけどね。正直数ある世界のうちの一つだし、僕にとっては小さなことで笑って済ますこともできるんし。それに、君を転生させるのも僕の気まぐれ、そこはわかっておいてほしいな」



 こんなこと言われたら要求できないだろ。要求したらバッドエンドじゃないか。……仕方ない、大人しくしておくか



「………わかったよ」


「うんうん、わかってくれて何よりだよ。さて、話を戻すけど君が転生する世界は君のクラスメイトが召喚された世界と同じ世界だ。まぁ、友達ゼロのボッチの君には関係な――「待て待て待て待て!」



 なぜそれを知っているんだ!?俺はこいつとは何も関係なかったはずだぞ。それなのになぜ俺が気にしていることを知ってるんだよ。



「それは、僕が管理者だからだよ。まぁそんな事はどうでも――「よくないわ!」



 よくない。全然よくない。本当にプライバシーはどこへ行った。プライバシーさん、カムバック!



「どこがよくないんだい?」


「えっ、えっと、それはその……」


「まぁいいや。それでその世界には君たちの言うところのゲームのステータスに似たものがあるんだよね。そのステータスについては説明は省くよ」


「いや、省くなよ。説明してくれよ」


「いや、省かせてもらうよ。もう転生の準備が終わったからさ――じゃあ、行ってらっしゃい!!」



 そんなことを言いつつ、ハリセンを用意してる管理者。そして管理者はそのハリセンをおおきく振りかぶって、



 ”スパッンッッッッッ!!!!”



 俺に振り下ろしてきた。



 ―――ここで俺の意識は途切れた。






読んでいただきありがとうございます。

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