24話 四人でRPG 前編
とある日の休日。空とカンナは中古ゲーム屋にいた。彼が何か知らないようで面白そうなゲームがやりたいと思ってである。とは言っても、あまりお金を使いたくないこともあってかワゴンセールでゲームソフトを物色していた。
「なんかある?」
あまりゲームを嗜まないのか、カンナはあまり楽しそうではない様子。
「んー、あんまりは……おっ」
ふと、自分の目に百円の値札が付いたゲームソフトを見つけた。そのゲームハードは空が所持している現代機の物である。だが、そのソフト自体RUMだけしかなかった。パッケージも何もない。タイトルを見ても聞いたことがなかった。余程知名度が低いゲームなのか。
何となくではあるが、空はそのゲームに魅かれたかのようにして、手に取った。
「それ買うの?」
「うん。対戦できるなら、一緒にやる? どーせヒマだろ」
「じゃー、やる」
そうして、二人はそのゲーム『4人』を購入して帰路に着いた。
◆
早速空の家へと戻ると、彼はリビングにゲームハードを引っ張ってきて準備に取りかかる。カンナも手伝いつつ、早速起動させてみると――。
『このゲームは一人プレイではなく、四人プレイです。現在コントローラーが一つしか反応していません。残り三つの接続の確認をしてください。』
すぐにそのような表記が出た。
「……はい」
カンナは2P用のコントローラーを差し出すが、後二つ足りないのである。さて、どうするかと考えた。
「そーいえば、秋島センパイってゲームしないのかな?」
「どーだろ? もし、持っているなら誘ってみよーか」
「じゃあ、わたし冬野センパイ誘うよ」
早速二人が誘いのメッセージを送ると、大地は二つのコントローラーを。洋子は二つ返事でオーケーを出した。
しばらくして彼らは一緒にやってくる。
「これでいーか?」
「はい、ありがとうございます」
空が接続をしている間、洋子はどうもこういうテレビゲームをするのが初めてなのか、わくわくとした顔を見せていた。
「……ん? パッケージ、ないならダウンロード版?」
「や、ソフトだけしか売ってなくて」
「ふーん……『4人』ねぇ」
テレビ画面に映し出されたタイトルロゴを見て大地は片眉を上げながら、洋子たちにコントローラーを渡す。
「ジャンルはわからねーよな」
「説明書でも見ます?」
画面上にはスタート画面が。
「やー、いーかな。別に理不尽ゲーじゃないだろーし、四人プレイくらいなら多少のフォローもできるだろ」
ならばいいかな、と空は1Pのコントローラーで操作をした。始まってすぐに画面に出てきたのは美麗なグラフィック。まさに今時と言えるが、それらの真ん中には場違いとでもいうようにしてドット絵があった。どうもプレイヤーの様子。
「なんでキャラだけドット?」
「そんな、知りませんよ。って、オープニングってないんスかね?」
「それよりも、いつになったならば、私は遊べるのでしょうか?」
なんて洋子はガチャガチャとボタンを押しているが、何の反応も見せない画面に不安を感じているようである。試しにカンナも大地も操作をしてみるが、動く気配はない。
それならば、空が持つ1Pだけが動かせるのだろうか。彼が操作しようとすると、大地が「先にステータスとか見ておこーぜ」と言ってくる。
「いきなり全滅してもアレだろーし」
「そーっスね」
オプションボタンを押すと、メニュー画面へと変わった。これに反応したのは洋子である。
「な、何が起きたんですか!?」
「落ち着け冬野。ただのメニュー画面だ」
「えっ? 出前でも?」
「違うから落ち着け。ただ単にステータスを確認するだけだから」
洋子のその発言からするに、本当にテレビゲームをしたことがないんだな。そう空は苦笑いしながら画面上の選択にあるステータスを選んだ。すると、四人分のプレイヤーのステータスが表示される。
1P 剣士 HP 12/15 毒状態
2P 魔法使い HP 11/13 炎上
3P 僧侶 HP 10/10 混乱
4P 遊び人 HP 2/8 瀕死
「ちょい待て。なんでオレが遊び人になるんだ」
大地は自分が遊び人であることに不満がある――いや、職業は置いといて、一番の問題はヒットポイントの少なさ。文字が赤いし、何より他の三人も異常状態になっている。これが最初からだったというのはおかしい。
「何をどうしたら、オレの初期ステータスが毒状態になるの?」
空もまた自身のステータスを見て苦笑いする。
「わたしもだよ。なんで炎上?」
「あの……混乱って何ですか?」
「多分、ウマい具合にコントロールが利かないんじゃねーの」
全員のステータスが異常だとわかるや否や、大地は怪訝そうにコントローラーを床に置くと頭を掻いた。
「コレ、ホントにオカシイだろ。回復アイテムない?」
空はもう一度メニュー画面に戻り、アイテムを選んだ。流石に始めたばっかりだから持っていないだろうと思っていると、『薬草P』と『薬草B』のアイテムがそれぞれ三つあることに気付いた。これはないよりマシと言うべきなのか、それとも何かのトラップか。
「選択しても説明ナシというのもこれまた……」
「試しに使ってみます?」
そう訊ねてみるも、「大丈夫か?」とあやしんでいる様子。
「今のオレ、HPが 2 だぞ? 食べた瞬間即死なんてあるワケないよな?」
「どうなんスかね……?」
そう言われると、使用するのにためらいが出てくるが、そうしている場合でもないとして『薬草B』を遊び人に与えてみた。
4P 遊び人 2/8 混乱・瀕死
「……ステータス異常が増えたぞ」
「これ、回復アイテムじゃないみたいっスね。どー見てもセンパイのHP増えていませんし。今度はPの方を使ってみます?」
「Pってさ、ポイズン。毒じゃないの?」
しばらくは動かせないとわかると、カンナは勝手に空の家の戸棚からお菓子を取り出して、洋子と分け合って食べ始めていた。
「ほら、Bもballupとか」
その可能性はなきしに非ず。怖いとでも思ったのか、大地は止めてくれ、と静止をかける。それに空は頷き、メニュー画面を閉じた。近くに町や村がないか、歩き回ってみるに。相変わらず、美麗な背景ではあるが、キャラクターがドット絵ということに違和感がある。
「ねー、いつになったらわたしらは操作できるんだろ? もしかして、バトルだけ?」
「なのか? とゆーか、これって……RPG?」
「だと思うケドなぁ……おっ、そこ町があるぜ」
フィールド上で町を見つけて、そちらへと行こうとしたときだった。突然画面が暗くなったと思えば、キャラクターがドット絵からリアル調へと変わった。彼らの周りには人間のキャラクターらしき敵だろうか。それらが四人を囲っていた。
「なんだ? バトルか?」
「あっ! キャラ動かせますよ!」
謎のゲーム『4人』の戦闘開始!




