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青春と都市伝説  作者: 池田 ヒロ
◇春の事変
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13話 今後の課題

 明かな人ではない何かから逃げてきた四人は洋子の家に着いて、盛大にため息をついた。それに空は本当に大地と洋子に偶然会ってよかった、と泣きそうになるほどだ。


「あの、秋島センパイと冬野センパイ。助けていただいて、ありがとうございます……」


「ホント無事でよかったけど、夜とか出歩くな」


 本当にそうだ。そして、空は自分が最低だ、と下唇を噛む。大地に「動け」と言われてようやく足が動いたのだ。下手すれば、カンナが襲われていたのかもしれないのに。


「カンナ、あのさ――」


「空も、センパイたちにもご迷惑をおかけしました」


 今回ばかりは洒落にならなかったことを自覚してくれているのか、カンナは三人と車の運転手に頭を下げた。元はと言えば、自分が蒔いた種なのだ。どうして、朝早く起きて課題をしに行くという選択肢をしなかったのか。


 それよりも、今回は独りで行ったとしても――元より空を誘わなければ、かなり分が悪かったはず。


「ううん、オレも悪かった。カンナに怖い思いをさせた」


 空はカンナだけが悪いとは言わないらしい。


「それにしても、あの方は一体何ですかね? まさか、今日の遊園地のお化け屋敷の方ではないでしょうし」


「それこそ、二人が言ってた都市伝説か?」


 数日前に聞いた話。すべてを覚えているわけではないにしろ、どこかの地下で人体実験をしていると言っていた。あの顔がない人物もそれで説明がつくならば、事実であるということである。


「オレたちもそこまで詳しくないから……」


 空とカンナが聞いたのは玲からである。


「でも、あの都市伝説がホンモノなら、あのヒトって行方不明者になりますケド」


 この言葉にその場には重たい沈黙が流れる。気まずい空気を打ち破ったのは洋子であった。


「以前、三春さんが提示してくださったあの写真を警察の方に提出しましたが、何もわからない、と。一応は引き続き捜査をしていただけることにはなりましたけど……」


「まー、アレはブレてたしな」


 問題はこれからだよ、と大地は頭を掻いた。


「とにかくこの件をガクシューして、冬野は送り迎えをしてもらうコト。そこの二人はいつも誰かと行動をするコトをテッテーしたがいい。何度も言うケド、オレと会うグーゼンは期待しないほーがいーからな」


「……はい」


「そんで……三人はこう、何かしらの予定があるなら教えてくれる? オレも半ば妙なコトに片足を突っ込んでいるからな。できるコトをしたい」


 そう断言すると、洋子が「ここしばらくは特にありません」と答えた。


「何かにおいて、独りにならないことを頭に置いておきますから」


「うん。それでも、なんかあったらオレでも夏斐でもいーから呼んで」


「ありがとうございます」


 それで、と大地は空とカンナの方を見た。


「二人に予定は?」


「……あーっと……来月の二十二日に紅花高校(アカコー)の体育祭があるんですよ」


 学校行事を聞いて、大地は腕を組んだ。そもそも、今回のあの危険な人紛いの者は紅花高校にいたのだ。人ごみに紛れて、という可能性もなきしに非ず。


「わかった。いちおー、その日はオレも見に来る。でも、オマエらは何が何でも校内では独りにならないほーがいい。これだけは頭に入れとけ」


 警察は動けそうにないから。というのも、きっとあの誘拐寸前の出来事や先ほどのは目撃者なんていたかどうかすらもあやしい。顔のない人物も捕まえずして、逃げてきてしまったし――。


「そーだ、冬野センパイも体育祭に遊びに来ませんか? もちろん、運転手のヒトも一緒に」


 それならば、全員が一ヵ所にいるからある意味で安全では、とカンナは提案する。


「それこそ冬野センパイが独りのときを狙ってくるかも」


「だな。えっと、二十二日だっけか……冬野。予定はある?」


「何もなかったはずですよ」


「じゃー、一緒に行こうか。運転手さんもどうスか?」


 部屋の隅にいた車の運転手にも大地は声をかけた。これに彼は「行きます」と頷く。


「秋島様がいらっしゃるとならば、私も少しは気が楽ですよ」


 そう、基本的に洋子と共にいることが長いのはこの運転手なのである。いつ、どこで狙われるかわかったものではないため、彼も彼で気が気ではないのだった。


「ですね。それに、一般人参加もありますし。楽しみましょーよ」


 来月の二十二日に紅花高校の体育祭に参加する、ということが決まり――空とカンナは家まで送ってもらった。


 その翌日ではカンナに強引に起こされて、空は通常の時間より一時間早く登校する羽目となる。なぜならば、結局彼女の課題を取りに行けなかったからだ。

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