王子達のその後 アリシアside
国王陛下からの文、と言うよりも、謝罪文と言った方がいいのかしら?
私的なものですからね。
元婚約者たちの事が書かれていましたわ。
驚いたことに、ジュリアス殿下は自分が王家にずっといるものだと勘違いなさっていたそうです。
何故、そのような勘違いが起こるのか不思議ですけど。
自分が婿に行くという事を全く自覚なさっていなかった模様。
後ろ盾のない王子がどうして王族として残れると思っていたのか謎です。
王太子である第一王子以外にも、王妃腹の第四王子と第五王子がおりますのに。
同じ側妃腹である異母弟の第三王子が既に臣下として降りていらっしゃる事に疑問を感じなかったのでしょうか?
結局、ジュリアス殿下は恋人と結婚なさいました。
彼女の実家に婿として迎えられたそうです。
婿と言っても、ジュリアス殿下の頭で医大にいくのは無理ですから、孫に期待といったところでしょうか? 肝心のジェニー嬢は大学卒業前に妊娠が発覚されたので二重にお目出度い事ですわね。もっとも、ジェニー嬢は子供が生まれるギリギリまで文官として働くそうですが。
あのような騒動の中でも首席で卒業された彼女の図太さには、呆れるほど感心してしまいますわ。
子供も生まれたら、夫になったジュリアス殿下に預けて、早々に職場復帰しそうな勢いです。
それも無理ありません。
一応、エリートコースを歩み始めた彼女ですが、結婚までのイザコザのせいで貴族に嫌われていますから、出世も遅くなってしまうでしょうね。
主に、高位貴族の方々から。ご愁傷様です。下位貴族と違って、高位貴族の方々は相手をよく見ていますからね。ジェニー嬢の今までの行為を。
平民出身のジェニー嬢が、私を見下すのはさぞかし愉快だった事でしょう。
本人に自覚はなかったようですけど。
ジュリアス殿下とは不仲という訳ではありませんでしたけど、良好な仲とも言い難かったですからね。
私と違ってジュリアス殿下の愛を独占していたのですから。
彼女が有頂天になって、無自覚に私を格下に思ったとしても可笑しくありません。
なにしろ、ジュリアス殿下は事ある毎に彼女をエスコートし、夜会やパーティーに参加していたのですから。大勢の貴族が集まる中で、ジュリアス殿下のパートナーとして会場入りし、共に踊り、喋り、愛を告げられていたのです。
そんな二人に対して、周囲の貴族が眉を顰めないとでも?
婚約者のいる男性と必要以上に仲良くなっている状態が良いと思っているのでしょうか?
そもそもジュリアス殿下からプレゼントされた事やデートの事など私に逐一報告する必要はないんですよ?
しかも大勢が見ている中で。
でもある意味良かった面もありますね。
何しろ、ジュリアス殿下とジェニー嬢が公然と浮気する姿を見せられましたからね。
二人を応援していたお馬鹿な人達は、浮気者もしくは決まった相手が居ながら裏切る事を何とも思っていない人、という評価を下せましたからね。
彼らもこれから大変でしょう。
特に貴族階級の方々は。
社交界で肩身の狭い想いをする事は間違いない事ですから。
あら?そう考えたらジュリアス殿下は平民になって良かったのかもしれませんね。