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終わりと始まりの花【新章準備中】  作者: はな
温花【後宮編】

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走る✿

◇いつも見てくださる方、最新話から楽しんでくださる方も、本当にありがとうございます!

◇執筆・なろう共に初心者ですが、一話一話大切に書いております。温かい目で見守っていただけると嬉しいです。


 

 温花うぇんふぁに厳しい言葉をぶつけてしまった。

 怒られている温花うぇんふぁは何故か嬉しそうに笑っている。



 現代に帰る方法を探しているわけではない。

 頼んだわけではない、と。

 楊兎やんとぅ将軍も一人にならなりたいときだってある、と。


 ただ温花うぇんふぁは寄り添おうとしてくれていただけ。

 俺はただ温花うぇんふぁに自分の言葉にならないものをぶつけただけ。


 

 楊兎やんとぅ将軍は確かに温花うぇんふぁの言葉で救われている。事情を知らない人間が、一人で不安になってしまうも無理はない。



 红京ほんじん「――温花うぇんふぁ楊兎やんとぅ将軍の故郷はこの辺だったようです。だから懐かしくなったのでしょう。温花うぇんふぁも、俺も彼の帰る場所になれていると思いますよ」

 温花うぇんふぁ「うん……」


 

 温花うぇんふぁの小さな、消えて行きそうな声が冷たい風に流されて行く。

 

 寄り添いたいという健気な気持ちは、理解できる。

 だが、華国ふぁこくの大将軍が侍女、妃の前で涙するなど許されるはずがない。職や位を無くして考えても男が女の前で涙を見せるなどできない。

 俺だって誰かの前で涙を見せる勇気は持ち合わせて居ない。

 

 

 不安そうな顔のまま歩く温花うぇんふぁは色々頭の中で考えているのか、言葉数が減った。この人が静かなときは誰かのことを考えている時だ、な。

 

 その底なしの優しさを自分にも使ってほしい。

 次々に変わる行動も、感情も忙しそうな温花うぇんふぁを見るのは正直、退屈しない。

 

 

 红京ほんじん「俺はここでの生活に慣れてしまったので、戻れる保証のないものに執着しなくても良いと思ったんです。すいません、温花うぇんふぁの気持ちを無視してしまって」

 温花うぇんふぁ「戻る方法がわかった時はどうするの?」


 

 押していた背中は急に強張り、頑なに目線すら合わせない。

 返ってきたのは、いつもの明るい彼女のものとは思えない、静かに何かを確かめるような硬い声。

 

 

 红京ほんじん「――そのときは戻ります」

 温花うぇんふぁ「そんなの頑張りたく無いだけじゃん!簡単に手に入るものだけが欲しいだけじゃん!」


 

 温花うぇんふぁはこちらを勢い良く振り返り、眉間に皺を寄せていた。

 珍しく怒っている?悔しがっているのか……?


 

 温花うぇんふぁ「こんな優しい红京ほんじんにしてくれた家族が待ってるかもしれないのに……心配かけてるかもしれないのに……」

 红京ほんじん「別に諦めたとは言っていませんよ。家族に会いたい、心配かけてしまっている……悔やむことももちろんありますよ」

 温花うぇんふぁ「ほら、红京ほんじんは現代に戻ったほうがいい」


 

 温花うぇんふぁは怒って歩く足を早め、一歩前を歩き始めてしまった。

 こちらが感情のままに強い口調で温花うぇんふぁを叱ってしまったからなのか。それとも温花うぇんふぁも俺に怒ることができるようになったのか。

 

 温花うぇんふぁがなぜそこまで怒っているのか。

 湧いてきた感情は純粋な興味なのか?それとも歪んだ面白みか?、そのまま自分よりも小さく、少し逞しいような後ろ姿を見ながら会話を続けることにした。


 

 红京ほんじん「どうして温花うぇんふぁ様はそう思ったんですか」

 温花うぇんふぁ「……红京ほんじんはきっと家族に愛された人だと思ったから。……だからその家族のところに帰ったほうがいいと思ったのっ!」

 红京ほんじん「ありがとうございます。ご心配を温花うぇんふぁにたくさんかけてしまっていたんですね。すいません。でもどうして?」

 温花うぇんふぁ「どうして、どうしてって……!红京ほんじんはそうであって欲しいってあたしの願いだよ!そうじゃなきゃ、あたしが納得できない!」

 红京ほんじん「ふっ(笑)わがままでしたか(笑)」

 温花うぇんふぁ「そうだよ!わがままだよっ!」


 

 温花うぇんふぁは顔を怒っているのか、真っ赤にして振り返る――。

 

 温花うぇんふぁが俺を現代の世へ返そうとするのは「待っている家族」が居るから、と。まるで自分は「待ってくれる家族」が居ないかのよう。俺は温花うぇんふぁかれ見れば恵まれている人間だと。

 そうであって欲しいという願いというより、わがまま。

 そうでなくては納得できない、と――。

 

 

 红京ほんじん「ふっ――(笑)はい、温花うぇんふぁはわがままなくらいが面白いです。あ、でも命はしっかり守りましょう――」


 

 ずっと温花うぇんふぁを付けてきているのは人攫いだ――。

 宮中からこの地に来る侍女は幼女だったはずが、今回は温花うぇんふぁが同行し、珍しいと手を伸ばすつもりだったのだろう。


 手を引き、引っ張られるがままに走る温花うぇんふぁはまだ怒っている。


 

 温花うぇんふぁ「走るなら、走るって言ってよっ!」


 

 負けず嫌いなのか衣の袖と裾をたくし上げ前へと走り出る。

 こんなに走れるなんて、さすが墓場の変人――。

 箱入り娘のお妃様たちとは鍛えられ方が違う。

 

 人に追われていて、この人を人攫いから逃さなければいけないのに……。

 顔を真っ赤にして横を走っていることが面白くて笑いがとまらない。


 

 あとは楊兎やんとぅ将軍がうまくやってくれるでしょう――。

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