医者見習いの見解
花咲く庭に向かうとあの医者見習いは健康観察のため居合わせることが増えた。
この屋敷の主は最近、風鈴作りに夢中な様子で、こちらに全く興味を持たない。相変わらずだ。
医者見習いは朕に挨拶を終えると、仕事の荷物を広げ、診察の準備を始めていた。
なぜ俺の花はこの男にあの顔を向ける?わからぬ。
この医者見習いには俺の花を渡すわけにいかない。
この少年に花を守ることはできないだろう?少し揶揄ってみるか――。その程度のつもりだった。
華辉「――医者から見てあの事件の首謀者は誰だ?」
その質問に医者見習いは眉を上げて、作業していた手を止める。
红京「私の答えによってはこの平和が失われてしまう可能性がありますのでお答えできません」
華辉「その人物が分かれば、解決できるだろう?」
红京「――山源様が報告しない判断をしているのであれば医者見習いの私から発言することはできません」
華辉「あの花を守ろうとしているだけなのだ」
红京「――それでは今からの言葉は医者見習いの独り言だと思ってください」
なぜ皆隠す――?
皇帝の力を持って妃一人守れないなどあってはならないというのに。
红京「――まず大きな改革だったはずの後宮縮小がこれだけ早く進んだのでしょう?」
その問いにすぐ言葉が出てこない。
独り言だと言いながらも、医者見習いの目は真実を求めていた。
红京「街の名も「祝街」など大層な名前がつけられ、力を持った人物はどのような人たちだったのか。宮中でも新たなつながりができていないか。……墓場の変人と呼ばれる妃は権力を持たずとも自由。下級妃であるはずの妃が皇帝陛下に寵愛されている。力を手にしている人物には敵が必要で――。ただこの屋敷で自分らしく生きたいと思った少女が巻き込まれてしまった物語だとすれば――華辉様の敵意を向けなければいけない相手が身近な方だとすれば、これは大きな渦になりかねないと判断し、山源様は時期をみようとしていたのではないでしょうか」
淡々と帳簿に記載を進める医者見習いは最後の言葉を言い終えるとこちらを静かに見上げた――。
红京「そしてこの言葉を皇帝陛下に発した俺は、どうなるのでしょう――」
庭で賑やかな声が響き渡っているのにここだけは時間が止まったように、息ができない――。
红京「――あの人がとても危険な立ち位置であること、なぜこの屋敷に送られたのか。この国の歴史を知るべき時が来たと俺は思っております」
ただ働くのではない。
ただ生活するのではない。
皇帝として、意味を持って行動しなければいけない――。
しばらく整理する内容の濃いところが続いております。
次のエピソードは少し一息つけるのでは、と思っております。更新までしばらくお待ちください。




