表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終わりと始まりの花【本編】  作者: はな
温花【後宮編】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/122



 皇帝陛下は最近お忙しいのかここへ顔を出さない代わりに剣を振るう顔の整った大男が毎日のようにやってくる。

 稽古の様子を退屈そうにただそれを見つめる妃がいる。


 温花(うぇんふぁ)「剣技のほうはどうですか?」

 楊兎(やんとぅ)「今度競う大会があるんだ!最近は戦がないからな!腕が落ちないから心配だったんだよなー」


 楊兎(やんとぅ)将軍は自慢の剣を出して温花(うぇんふぁ)お嬢様に自慢をしていた。

 

 温花(うぇんふぁ)「いいな……あたしもやってみたい」

 楊兎(やんとぅ)「見るんじゃなくて、やってみたいなんだな!(笑)剣技祭に温花(うぇんふぁ)が来ればそれは目立つからかなぁ……」

 温花(うぇんふぁ)「他のお嬢様たちは見に行けるのね」

 楊兎(やんとぅ)「そうだなー。温花(うぇんふぁ)のことは華辉(ふぁほい)が隠したくて仕方ないからなー」

 温花(うぇんふぁ)「市民としてもだめなの?」

 楊兎(やんとぅ)「それか温花が仮面でも被って出場するかだな!(笑)」

 温花(うぇんふぁ)「それはできるの?!」

 楊兎(やんとぅ)「いやいや!ごめん!華辉(ふぁほい)は危ない橋を渡せる気はないぞ!(笑)」

 

 温花(うぇんふぁ)は侍女の陈莉(ちぇんりぃ)顔を見合わせた。

 そしてゆっくりと口を開く。


 温花(うぇんふぁ)「……楊兎(やんとぅ)将軍、红京(ほんじん)。今までたくさん心配おかけしました。食事もとれて、運動もできて、月ものがきました」


 ここにいる人が心配する理由を温花(うぇんふぁ)は理解していた。自分の口から報告をしてくれた。

 

 楊兎(やんとぅ)「そうか、体調戻ってよかったな!」

 温花(うぇんふぁ)「報告が遅くなってすいません。陛下には手紙を送っていたんです。楊兎(やんとぅ)将軍にはお話しているかと思ったんですが」

 楊兎(やんとぅ)華辉(ふぁほい)は今、本当に国づくりに忙しいからな〜」

 温花(うぇんふぁ)「国の父はさすがですね」


 温花(うぇんふぁ)は医学館で力強く手を引きすぎたこと、押さえ込んでしまったこと……を許してくれたのかわからないが華辉(ふぁほい)のことを尊敬していることを伝えてくれた。

 それだけで俺の肩の力が少し抜ける。

 

 温花(うぇんふぁ)が傷ついてしまったことに変わりはない。温花(うぇんふぁ)のことを守りたくてたまらない華辉(ふぁほい)のことを俺は知ってほしい――。


 最後のスッと落ちたあの表情はこの後宮の中にいる、1人の妃としての顔に見えた――。


 温花(うぇんふぁ)「ねぇ、楊兎(やんとぅ)。あたしにも剣を教えてよ――」


 最初は冗談だと思ったが、温花(うぇんふぁ)の目は真っ直ぐに刺す。これは冗談じゃない。温花(うぇんふぁ)は本気だ。


 陈莉(ちぇんりぃ)「お妃様が剣を握るなど聞いたことがありませんっ!」

 红京(ほんじん)「……温花(うぇんふぁ)様が決めたことなら……」

 楊兎(やんとぅ)陈莉(ちぇんりぃ)もそろそろこのお転婆に慣れねーとな!……温花(うぇんふぁ)はこの剣で自分を守れよ」

 温花(うぇんふぁ)「はい、お願いします」


 この重い剣には人の命が乗る。

 簡単なものではない。

 これを持つことで笑顔ではなく、悲しく、辛いものを俺は見過ぎだ――。


 銀の剣には覚悟した女が写っていた――。


 剣を教えると今までの温花(うぇんふぁ)とはまるで別人の顔を魅せ、まるで空気が凍りついたように感じる。

 

 ここまで温花(うぇんふぁ)を変える原動力は何だ?


 楊兎(やんとぅ)温花(うぇんふぁ)初めてにしては十分だな!」

 温花(うぇんふぁ)楊兎(やんとぅ)将軍がどれだけすごい人なのか思い知らされて……まだまだです」

 楊兎(やんとぅ)「剣技祭の演舞のほうだと温花はいいんだろうけどなぁ……華辉(ふぁほい)温花(うぇんふぁ)が出ること許さないだろうしなぁ」

 红京(ほんじん)「当たり前です。この屋敷が墓場と呼ばれているから他の方がここに来ないだけで、温花(うぇんふぁ)様は狙われてもおかしくないのですから。目立つのは良くないです」


 薬を最終調整しながら红京(ほんじん)はまるで父親か兄のように止めに入る。


 楊兎(やんとぅ)「……でもそろそろ墓場ってだけじゃ、温花(うぇんふぁ)のことを隠せなくなるだろ?剣術持ち合わせている女だって知れば、また牽制できるんじゃねーのかなって!なぁ!红京(ほんじん)?!」


 楊兎(やんとぅ)将軍は温花が剣術を極めようとする姿を見て、さらに上を見ているのか目をキラキラさせている。

 そもそも女性が、まさか妃が剣を握るなんて今まで前例が無かったことで楊兎(やんとぅ)将軍も楽しくなっているのだろう。

 

 红京(ほんじん)「貧血の薬を飲んでなんとか立っていて、稽古ばかりして痣だらけで。仕事を増やされているこっちの身にもなってください。お転婆娘すぎます」

 楊兎(やんとぅ)「えー!红京(ほんじん)怒ってんの?!」

 红京(ほんじん)「はい。ここに薬を持ってくるこちらの労力も少しは考えてください。女性は貧血が多くてただでさえ薬が少なくて大変なのに……毎度こそこそと……」


 墓場の屋敷には剣を振るう音、衣が靡く音が静かに聞こえてくる時間が生まれた――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ