花の咲く埋葬✿
はじめまして作者のはなです✿
本作は登場人物たちの細やかな心の動きや、重厚な人間ドラマを何より大切に記しています。
よりよい物語、少しでも読みやすくするため全編の大幅な加筆・改稿を進めております。
また新章につきましても作業に入っております。
彼女たちの歩む道のりを温かく見守っていただけますと嬉しく思います。
今日あたしは自分で自分を終わらせた。
桜の咲き誇る季節があたしの誕生日――。
桜の花びらがあたしの体に積み重なり、深く、深く埋もれていく。
たくさんのプレゼントをカバンに詰めているのに満たされない。
肩にのしかかった重みはあたしに求められる「期待」「役割」。
色とりどりに包装された物はそれを頑張ったあたしへの報酬。
本当に欲しかったものはこの中には無い。
あたしには「普通」が無い。
ずっと普通の幸せに憧れて、ただ今を過ぎていることを待っている。
「〇〇っ!」
あたしの名前を呼んで、怒鳴る声。
「○○~!」
あたしの名前を呼んで、親しいフリ。
「○○」
あたしの名前を呼んで、利用しようとする甘ったるい声。
心の底からあたしを呼んでくれている人はいない。
だって、本当のあたしではないから。
普通になるため普通を装う。
そうすれば一人になることは無いことをあたしは知っている。
なんて贅沢な人間。あたしの内側は可愛げなんてない。
誰かが求める「あたし」になる。そうすればそこに存在することが許されるから。
本当の顔にあたしは蓋をして、描いた顔を引っ付ける。
こんなこといつまで続けるんだろう。
本当の自分をあたしがあたしを殺していく。
あたしは自分で幸せになろうと思えばできるの?
別にあたしはここに必要な存在では無い。
望んで生まれたわけでも無い。
あたしの体と心に刺さった毒は消えない。増えるだけ。もういらない。
毒に刺される――。
そこにいるだけなのに。
心と体に深く突き刺さった毒は、抜けるどころか、呼吸をするたびに深いところへと浸透していく。
疲れ果てた体はもう動かない、動かなくていいそう思える一人の時間が無くては明日を過ごすことができない。
嘘の自分の体とたくさんのプレゼントを抱えて、静かに月の光に照らされる。
どれもあたしが欲しかったものじゃない。
誰かがあたしが好きそうだと思い込んでいるもの。
もう、桜の中に消えてしまいたい――。
桜の木は強い春風に吹かれ花びらを落とし、あたしの上に積もる。
どんどん、どんどん――。
全身の力が抜け、骨の髄まで解けていくような感覚。
「✿――」
誰かがあたしを呼んでいる――。
耳にはイヤホンをして音楽を聴いていたはずなのに。
そのもっと内側にある声と鳥たちの鳴き声。
鼻の奥まで届く苦く甘い匂いが届く。
あぁ――。
こんな優しい声で名前を呼んでくれる人の横であたしになりたい。
あたしの顔は緩んで、夢を見るように目を閉じる――。
緑の綺麗な衣は綺麗に整えられていて、裾があの春風に靡いている。
この世の毒を骨まで溶かす。
誰かに決められた場所ではなく。嘘の自分でない自分で過ごせる場所に。
あたしを終わらせて、あたしを始める。
あたしが私として咲いていい場所を、探しに――。




