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20.何だ、この気まずい空気は
次の日の朝、登校するとミアが俺の座席の前にいた。
俺はかなり驚いた。
「どうして?」、そう俺が言う前に彼女が口を開いた。
「あのね、」
「ん?」
「昨日のことなんだけど…」
「昨日のこと?」
俺は昨日会ったことなんてすっかり忘れていた。
「何かあったっけ?」
そう言いたげな表情を醸し出す。
「あのね、えっと。」
「うん、何?」
「だから、その、何でもない!」
彼女はそう言うと足早に去っていった。
何だ、この気まずい空気は。
ラブコメを選択したのは失敗したかな。そう思った。
だが、いやいや、と思い直す。
恋愛以外のことなら俺は完璧にこなしてしまう。
まるで簡単なゲームを攻略するかのように、あっさりと。
少しはクリアするハードルを上げた方が面白いだろ。
恋愛は、いわば高度な心理戦だ。俺の今までの行動は、少なくとも彼女に不快感を与えるものではなかったはずだ。
このままゲームを続行するとしよう。
しかしよ、どうやってこれ以上彼女と距離を縮めれば良いというんだ。
少し近づけば睨まれるぞ。