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何度か転生して、結果『精霊』に落ち着いた ―役所の人適当過ぎやしません?―  作者: べべ
最終章:「役所の人、適当過ぎやしません!?」
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6話:決着【拍手~】

 ナルゥが、咄嗟に反応する。

 地面に着地すると、クインが放った弓を即座に握りしめた。


 俺を地面に投げ捨てつつ。


「ぶへぇあ!?」


「よくやった、クイン。後で説教だ」


「やっぱり!?」


 いや、説教で済ませるあたりナルゥも相当感謝してるよね。

 あと、俺を叩きつけたのは絶対八つ当たりだよね、死にかけた苛立ち?


「あぁ、あぁ、いけません!いけません!貴方様には手を出したくないのです!何故立ち塞がるのです、何故邪魔をするのです!」


 イヌイも、流石に予想外だったらしい。

 その語気は荒く、ようやく巡ってきたチャンスを逃した気配がありありだ。

 そのイヌイの質問に、クインもまた、答える。


「決まってるよ!ボクは、彼を愛しているからです!!」


 げふぅぁ!?

 ぉ、おま、やめろ、止めてくれ。その気持ちには答えられない。

 死んで転生するよりもダメージがでけぇ!


【いや、でも命の恩人ですからね~?後でチューの1つでもしてあげなさいな~】


 ぜぇぇぇぇったい嫌だぁあ!!

 とはいえ、助かったのは事実。

 後で頭ナデナデくらいはしてやろう!


「よぉし、ナルゥ!後ろは頼んだ!」


「あぁ、任せろ」


 ナルゥが弓を手にした。

 これで、アイツは最高のパフォーマンスを見せられるはずだ。

 クインもまだ敵認定されてねぇ。

 イヌイの基準は、「邪魔をした」ではなく、「殴った、奪われた」とかの物理的被害だからな!

 だったら、今から離脱させれば問題ねぇ!


「クイン!よくやった、後は任せてさっさと逃げろ!」


「そんな!ボクはまだ…ひゃああああ!?」


「ぬおぉぉ!?」


 悪いが返事してる時間も惜しい。

 イヌイは即座に対応し、クインが立ち塞がる逆側に転移して殴りつけてくる。

 なんとかクインの後ろに隠れることで事なきを得た。


【ドクズもいいとこですよ~、子供を盾にするとか~】


 い、イヌイさんの優しさに甘えた結果……げふんげふん、イヌイを信頼したのですよ、ええ。


「な、な?危ないだろ?いいから離れときなさい。な?」


「そ、そうする!」


 クインは、その場を離れると杖を構える。

 体を魔力が包み、周囲に精霊が集まっていく。

 精霊使いの力を使ったんだな。


「皆、ナルゥさんをお願い!」


 クインのお願いにより、精霊達はナルゥの周りに浮き始める。

 そして、魔力を弓に込め始めた。


「ナルゥさん、その弓は大婆様から拝領した弓だよ!魔力を込めれば込めるほど、強い矢を放てるんだって!」


「……そうか」


 ナルゥもまた、弓に魔力を込め始める。

 大婆様、ここに来て手伝ってくれたって訳か…!


 クインの魔力と、ナルゥの魔力。

 そして、精霊達の魔力が集まって――――


【いえ……いえ~!まだです、まだ集まっています~!】


 うぇ!?

 い、いや、この場には俺たちしかいないんじゃ……


 と、思った瞬間、『発見』に反応がある。

 これは……!


【人数の集結を、確認しました!我々のいる戦場から少し離れたところで、ダークエルフの皆さんが、大婆様の弓に魔力を注いでいるんです~!】


 なにそれ泣きそう。

 来てくれたのは、クインだけじゃなかったんだ。


「っ……これは、里の皆か」


 ナルゥもまた、この異変に気づいたらしい。

 その手は魔力の本流に触れて震え、その顔には覇気が伺える。

 矢をつがえ、引き絞る。

 ただ引くだけで、強い力を感じる。



「やれやれ……手出しは無用と言ったんだがの。皆が皆、クインの馬鹿に説得されおった。これでは長の示しがつかん」


 不意に、クインの近くで声がする。

 その人物は、ため息を一つつくと、ナルゥを見て言う。



「ここまで来たからには、仕方あるまい。ナルゥ、伝説を屠ってみせよ」



 そして、魔力を流し込んでくれる。


 確かに、全員で一丸になってかかっても、イヌイは倒せるような相手じゃない。


 けど、けどだ。もし……その力が、一丸ではなく、『一点』になったら?


 そして、イヌイが僅かにでも、追い詰められていたら?

 

 その『一点』を、アイツに叩き込んやれたら!?


 答えは、ずばり『勝利』の二文字になる!!


 この瞬間、このタイミングの為に、皆が息を殺して待っていたんだ!


【や、というよりは、今到着したんだと思――――】


 役所のお姉さん?


【見事な策だと思います~!!】


 よろしい。



「素晴らしい!素晴らしい!素晴らしいぃぃぃ!団結の力は既にお二人を見て知っておりましたが、そこに新たな存在が加わるだけでこの劇的!この展開!この流れ!!感動と同時に己の死が見えてきた恐怖を感じておりますとも!!あぁ、この先を見てみたい!しかし見ていてはいけないジレンマ!出来うることなら一人の観客としてステージを眺めていたい!!あぁ、あぁ、なれどワタクシは今演者の身!ならば仕方ないのでございます!やむを得ないのでございます!ナルゥ様、貴方様の乾坤一擲!大変に申し訳ございませんが、不発にさせていただきます!」



 イヌイも感じている、あの矢を受ければただではすまないと。

 それでも引かないのは、デミゴッドの意地なのか。

 はたまた、『強敵』に対する礼儀なのか。


 そのカカトが、打ち鳴らされる。

 転移の合図だ。

 狙いは、多分、ナルゥ。


 が、させねぇ!!


「う、おぉぉぉぉ!!」


 俺は、高く舞い上がる。

 行き先は、ナルゥの頭上。



 その瞬間、俺は『傲慢』を発動させた。


 イヌイの姿が、掻き消える。


 間に合ったか!?




「っ!」


 イヌイが、出現した。

 位置は、俺の真下。


 その攻撃の軌道は――――ナルゥを狙っている。

 間に合わなかった……!


 ダメダメダメダメ!!

 せっかくここまで来たんだ!

 ここまでやったんだ!


 いくならハッピーエンドだろ!

 どんだけ頑張ったと思ってんだよ、ふざけんな!

 なんでも良い、どうなってもいい!


 今この時だけ、ご都合主義でもなんでも起こりやがれぇぇええ!!




【泥臭さしか無かった山辺さんがそこまで祈ったからでしょうかねぇ……魂の定着を確認~~!!】




 よっしゃ来たぁぁあああ!!



―――――――――――

<種族:精霊>

 現状:下級精霊

 レベル:1

 状態:願い

 HP:3/3 MP:212/212

 筋力:0 器用:3 敏捷:65 魔力:140 精神:105

 防御力:「物理:40→(60)」「魔法:10」


<スキル>

『魔力操作:Lv7』  『魔力攻撃:Lv4』 『司令塔:Lv5』  『悪食:Lv6』

『消化吸収:Lv3』  『翻訳:Max』    『発声:Max』    『環境適正:Lv2』

『状態異常耐性:Lv1』『防御修正:Lv5→(7)』 『属性耐性:Lv4』 『隠密:Lv2』

『発見:Lv3』    『マッピング:Lv3』『ドロップ運:Lv0』『傲慢:Lv2』

『魔力吸収:Lv3』  『体力吸収:Lv3』  『悪運:Lv6→(Max)』   『奔走:Lv6』

『不屈:Max』    『無能:Lv4』


New『不運:Max』  New『幸運:Max』


New『悪運』+『不運』+『幸運』=『ご都合主義:Lv1』


<特典>

『前世の記憶持ち』   『お友達』   『率いる者』   『食い道楽』

『ピーチクパーチク』  『慣れれば平気』 『かくれんぼ』

『貪欲に、傲慢に』   『敗残兵の意地』


New『オチ担当』


―――――――――――――――



 え、なにこれ。


「っ!?」


 あれ、なんかナルゥがいきなりバランス崩したんだけど。


【あれは……魔力の負荷に絶えられなくなったからこけそうなんですね~】


 なんか、転けそうになって上向いたんだけど。


【イヌイさんびっくりしてますね~】


 おい、これ……





「っ、くらええええ!!」




 ナルゥが、矢を放つ。

 その一撃は、まさに神話の一撃。

 里のダークエルフの魔力が乗った、渾身の一撃。


 それは、




「っ……お、みご……と……!」



 見事に、イヌイを撃ち抜いた。

 胸板を貫通し、その体が弾き飛ばされる。



 そして




「ぎゃあああああああああああ!?」



 その一撃は…………何故か、俺すらも巻き込んだのであった。


 俺は、死んだ。

 

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