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27 休日

 ウホゴリラの森が消滅してから二日が経った。

 ウホゴリラの森消滅当日は、とにかく救援に来た傭兵達の相手だった。


 しばらくすると傭兵達はウホゴリラの残党を狩りに出かけた。

 僕たちは色々な面で疲れがあったため残党狩りには参加はしなかった。

 シパちゃん達の家にも被害はあったので、その修復の手伝いなどをした。


 その後シパちゃん達に夕食をごちそうになる。

 シパちゃんのお父さんたちにも感謝してもらえた。


 そして、翌日は傭兵ギルドへ報告に出かけた。

 僕もさすがに色々聞かれたけど、トキナさんのことを話すわけにはいかない。

 そこはなんとかぼかして話しをすることになった。


 森を消滅させた原因をきちんと説明できなかったので、僕がウホゴリラの森を消滅させたという事実そのものの信ぴょう性が問題となる。

 結局、ウホゴリラの森は謎の魔法災害によって消滅したという形で収まることになった。


 瑛さんが僕をかばって色々と言ってくれたのもあるけれど、どこからか圧力がかかったようだと瑛さんは言っていた。



 シパちゃんの家には国のお偉いさんっぽい人達もやってきていた。

 シパちゃん達が育てていたお米はニムルスではここでしか育てていないと言っていたけれど、実は国レベルでけっこう重要度の高い事業だったみたいだ。


 本当なら、ウホゴリラの襲撃から農業試験場を守った僕達にはけっこうな額のお礼が出るはずだったとか。

 だけどウホゴリラの森消滅の理由を説明できないためにもらえないことになると言っていた。


 僕としてはそれで全然構わない。


 国の偉い人から表彰されるかも知れないとも言われたけどそっちはその場で断った。

 お礼をもらうのもそうだけど、ここでヘタに目立ちたくないと言うのが本音だ。


 アロも表彰はいらないと言っていた。

 お礼の方は欲しいと言っていて、実際にアロはお礼をもらっていた。

 まあこれは僕もなんだけどね。


 ウホゴリラの森を吹き飛ばした件は別として、その前に倒した分の報奨金のような物をもらうことになった。


 後は……ウホゴリラの森を消滅させてしまったので、その被害の補償とかしないといけないんじゃないかと心配していたのだけど、そういうのはなかったようで良かった。


 元々ウホゴリラの森はほとんど未開領域に近い状態になっていたので、森自体の価値はほとんどなかったとのこと。

 それと本来なら大規模な森狩りをする予定で、ある程度の損失が予想されていたこと。

 森は吹き飛んだけど土地そのものは生きていて、耕作地としてむしろ有用に使えるなど。


 結局、ウホゴリラの森を吹き飛ばしたことに関しても、デメリットよりメリットの方が大きいということらしかった。


 なので、僕の処遇としては森を吹き飛ばしたことはなかったことにされ、その前にいくらかウホゴリラを倒した分だけが僕らの功績として残ることになった。


 そのおかげで僕とアロの傭兵ランクも上がりました。

 僕がAランク、アロがBランクです。

 まあ僕についてはだいたいこんな感じです。



 この2日で一番大変そうだったのは瑛さんだ。


 傭兵達への説明もほとんど瑛さんがやってくれていたのだけど、ウホゴリラの森消滅の翌日には瑛さんの携帯電話がほとんど鳴りっぱなしだった。

 瑛さんはなぜか5台も携帯を持っていたのだけど、その全てが鳴っていた。

 瑛さんにとっても、これは年に一度あるかどうかの忙しさだとか。

 その電話も偉い人からの物が混ざっているような気がしたけれど……。


「はい。今回の件は国連環境計画の方の案件ではないので、報告は傭兵ギルド経由であげることになると思います。なのでそっちで確認して下さい」


「あ、レムナトさん。いつもお世話になっています。はい、一応報告は傭兵ギルド経由であげる予定ですので。え、伶唖ちゃん? いえここでは見てないですよ。はい。それは大丈夫なんで、ではまた」


「あー、ミーリャ。うん久しぶりだけど今ちょっと立て込んでるんだよね。え、神器機関も知りたがってるって? 報告ならギルド経由であげるからって言っといて。あー、うん、もちろん会うのはいいんだけど、そうだね、もう少ししたらサラスタンに行くつもりだからそっちで会おうか。うん、ミーリャも元気そうで良かったよ。じゃ、サラスタンで」


「お久しぶりです。カルイラさんもお元気そうで何より。……あー、確かになんかうやむやになったと思ってました。どこが圧力かけたのかなーって。いえ、もちろんこちらとしても助かります。あ、はい、印世君はすごくいい子ですよ。え? いえ、黒髪の女の子は見てないですね。はい。日本人も私と印世君だけでしたし。黒髪の娘がいればすぐ気付くと思いますよ。はい、もちろんG―Dayの打ち合わせには行きますとも。はい、じゃあくわしい話はその時に」


 とにかく色々なところから電話がかかってきてすごく大変そうだった。

 その電話の嵐もなんとか瑛さんがさばいてくれて、森消滅の翌日でだいぶおさまった。

 そうして、今日が森消滅の2日後です。


 予定として、明日にはサラスタンに出発することが決まっている。

 シパちゃん達の家にはウホゴリラの残党を狩るために傭兵達が来ているし、農場の様子を見るために国の偉い人も来ている。


 このまま長居すると色々面倒だと言うのがサラスタンへと移る理由の一つだ。

 元々ウホゴリラ討伐が終わればサラスタンに行く予定だった。

 変更と言えば、その日程が少し早くなったという程度である。


 ただ出発の前に1日休みを入れようということになった。

 瑛さんもさすがに疲れたらしく、今日は1日休むと言っている。

 その瑛さんは今日もシパちゃん達の家にやっかいになっていた。

 ただし、今日も電話はかかってきているので瑛さんがちゃんと休めるかは心配だ。


 そして、アロは家の方に帰っている。

 明日にはニムルス国からも離れるので、今ほど気軽に家には帰れないだろう。

 アロはちゃんと親孝行もしていた方がいいと思う。



 そして、僕の方は中央大密林に行くと言ってある。

 理由としては、遺跡に残した素材があるのでそれを取りに行くと言っておいた。


 ウホゴリラの森を吹き飛ばした2日後に遺跡に戻るのもどうかとは思った。

 でも逆に言うなら今ならまだガードが甘い。

 明日にはサラスタンに逃げるけど、時間が経つほど様々な目が厳しくなるはずだとトキナさんも言っていた。


 なので今日、一度遺跡へと戻るのである。


 本来なら封印術師を連れ帰るまで戻らない予定だったんですけどね。

 でも、今は密林へと戻りたい理由があるのです。


 僕にはボディーソープを遺跡に持って行くという大事な使命があった。


『他の物はおまけじゃからなくても良いのじゃが、やはりボディーソープは必要じゃろう。まあ……自分で体を洗う分にはたいした意味はないのじゃがの』


 遺跡には今石鹸類がない。

 密林を出る前には外の世界にそれらがあるかも定かではなかったけど、実際に外に出ると、予想以上に化学製品は充実していた。


 ボディーソープ、シャンプー、コンディショナー。

 この辺りについてはほぼ地球と変わらない水準の物がおいてある。

 だからこの辺りは一式揃えて遺跡へと持って行くのである。


 だけど、持って行くこと自体は目的の一つでしかありません。


 一番の目的としては、それらを使ってトキナさんと一緒にきれいきれいしようと言うのが一番大事な目的です。


 今からハァハァしてしまいます!


 そう言えば、IDカードも国連の正式な物が発行されていました。

 なのでお金をまた追加で下ろしたりもしています。

 資金は十分にある。


 なので、お風呂セット類は気持ち良さそうなのを選んで多めに買います。


 それと、トキナさんの服も買いました。

 これは瑛さん達と一緒の時には買えない物ですね。

 まあ僕が一人で女物の服を選ぶというのもかなり勇気がいったのだけど、店員さんとかに不審に思われることはありませんでした。

 むしろ色々と女の子の服をオススメされました。


 着るのは僕ではなくトキナさんなので僕に合う服をオススメされても困るのだけど、そのいくつかをトキナさんが気にいってしまったため、僕用の服も何着か買うはめになりました。

 もちろん女物です。


 まあトキナさん用の服は買えたし、僕がトキナさんに着て欲しい服も買えたので後悔はしてないですよ!

 僕はかなり趣味に走ったけどトキナさんもノリノリで了承してくれたので色々買いました。

 今から期待で色々ふくらんでしまいます!


 そうして、服などを選ぶ間に正午近くまで時間が過ぎてしまいました。

 時間は今日一日しかないので僕は急いで密林へと向かう。

 そして最高速度を維持したまま密林内へと突っ込みます。


『途中の魔物は妾が魔法で処理する。主は移動だけに集中せよ』


 密林内は魔物なども多いため、外からでは中の様子がほぼ分からない。

 そのため、密林内でならある程度はトキナさんの魔法を使うことが可能だ。


 僕は移動と回避に力を集中し、魔物の排除は全てトキナさんが行った。

 今回は闇魔法と地魔法をメインに使っている。

 石の弾丸と小型の重力魔法により、視界に入った端から魔物は倒れて行った。

 正直、僕が敵の攻撃を避ける必要すら全くなかった。


 はっきり言ってウホゴリラと戦った時より強いです。

 トキナさんが得意な闇と地の魔法を使っているのだから当然ですが。

 そうして、僕は未開領域である密林内でもほぼ最高速度を維持したまま遺跡へと突っ走ることができた。


 僕が遺跡を出発した日からまだ1週間程度しか経ってはいないけど、気持ちとしてはずいぶん時間が経った気がします。



 遺跡に到着し、1週間ぶりに見たトキナさんは、やはり最高であった。


「改めてまじまじと見られるとやはり恥ずかしいものがあるの」


 久しぶりに耳から聞くトキナさんの声もかわいいです。

 というか、トキナさんが日本語で話すのを耳で聞くのは初めてだ。

 やはりトキナさんに日本語を覚えてもらっていて正解でした。


 そして……1週間ぶりのトキナさんは、裸の上からワイシャツだけを着ている格好です。

 もう興奮が止まりません!


「明日からはサラスタンじゃからの。まあ……英気を養うためにも今日はお互い楽しもうではないか」


 久しぶりにトキナさんと過ごす楽しい一日の始まりです!


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