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そのさん

 は? である。

 お前たちはいったい何を言ってるんだ?


 困惑しながらよくよく話を聞くと、ぽへ~としているあの女に対して、挨拶がてらのスキンシップで乳や尻をなでてつかもうとしたらしい。

 その瞬間、魔力をごっそり抜かれたうえに攻撃魔法が発動し、あまつさえ攻撃魔法が追いかけてきたそうだ。

 その様子を身振り手振り付きで詳しく語られて、さらに頭が痛くなった。


 尻からアイスアロー、たわわな乳から爆炎、肩を抱こうとすれば電撃が奔流となり、避けても追跡状態で襲われたとか、何の冗談かわからない。

 魔物・魔獣より強い百戦錬磨の戦士たちなので、際どい所で避けることに成功し、その攻撃を体に受けることはなかったが、当然ながら避ければ主に砦の内壁が壊れる。


 おまけに、どういう仕組みかわからないが、仕掛けた男の魔力がほぼ持っていかれて、半日は疲労困憊に陥るらしい。

 回復目的の休暇中に疲労を増幅させて、緊急事態が起こったときに使い物にならない戦士を量産されてはたまらない。


 あの女、警戒心皆無の小娘ではなく、無自覚の破壊神だ。


 これ以上、砦の中を破壊されても困る。

 それにまかり間違って、内壁が壊れるほどの魔導が人に当たれば、大惨事である。

 触った本人が痛い目にあうのは自業自得だが、近くにいる無辜の通りすがりがケガなどしたら目も当てられない。

 まぁ、非は乳や尻を狙う馬鹿な奴ら側にあるのだが。

 とりあえず、あの女の上司であるジジイ天使に物申しに行くと、あっさり鼻で笑われた。


「バカなことを言うでない、触らなきゃいいだけじゃろ? セクハラする男はモテんぞ。少しは痛い目を見れば良い」


 まぁ、そのとおりなのだが。

 だが、血の気の多い連中しか、ここにはいないのだ。

 絶対に堕とせない女ほど、どんな手を使っても堕としたくなる男ばかりだ。

 困難な敵ほど、挑みたくなる戦闘狂がそろっている。


 ぽへ~としているくせに強敵だと認識された現状、危険だとわかっていても、あの女の乳やケツは今後も狙われる。

 セクハラ目的ではなく、難敵に挑む戦士の心境に変わりつつある。

 ふらふらと誘いに弱くてすぐ陥落したり、お触りにメソメソ泣きだすような女なら、男どもも一瞬で飽きたはずなのに。


 仕方ないので、次はあの女のところに行って、過剰防衛をやめるようにお願いした。

 身を護るなとは言わないが、防御を越えて破壊になるのはいただけない。


「そうですねぇ~出力の小さい魔法陣を選んでるのに、みなさんの魔力量が大きすぎて、効果が出すぎちゃうんですよ~もともと魔物に攻撃された時に、相手の魔力をごっそりそのまま利用して反撃するヤツなので、吸引と威力を増幅する研究しかされてないんですよね~おさわり禁止にするのが一番早いですよ?」


 そんなことをのんびりした口調で告げてくる。

 相変わらずというかなんというか、ぽへ~と気の抜けた空気を醸し出していた。


 俺の言葉を聞いていないわけではないが、台の上に置いた奇妙なオブジェにかぶせた白い布へ、魔法陣を描く作業の手を止めることはなかった。

 女はチマチマと繊細な魔法陣を高速で器用に布へと描き出していく。

 装具でないのは確かで、布の魔導道具というのも珍しいが、布をセッティングしたオブジェの形が少々卑猥な気がする。

 見ないふりをしても、目の端に入ってしまうそのオブジェは、女の尻に似ている。

 俺の不審な目に気づかないまま、女は緻密な模様なのにわずかな乱れもなく、あっという間に描き上げた。


「禁止したらさらにセクハラが加速するぞ」と真顔で伝えると、女は「難儀ですねぇ~むしろ高出力に変えて、いっぺん逝っときますか?」などと物騒なことをつぶやくので、ドン引きだった。

 本気なのか冗談なのか、わからないのが怖い。

 こいつ、こんな性格だから都市部の病院で持て余され、魔の森に飛ばされたに違いない。


「それは何をしてるんだ?」

「聞いて驚いてください! 最新の魔法陣を描いてみた私のプリチィなパンツです!」


 えへえへと嬉しそうに白い布をペランと見せつけてきたが、砦の内部を破壊する件の魔方陣を描いたパンツなど、諸悪の根源である。

 紐やレースで飾られた愛らしい外見だが、禍々しさしか感じない。


 これのせいでズタボロなのだ。

 主に砦の内壁が。


「今回は吸い取る魔力量をマシマシにしたので、上手く発動するのが実証されたら、殿下たちの戦闘服にも描きますね! 魔物や魔獣の駆除にも役立ちますよ!」


 実にいい笑顔だが、実証するのは休暇中の戦闘員で、その効果で破壊されるのは愛する俺の砦だ。

 威力を上げるなと言っているのに、少しも理解していない。

 発言の調子から、新しい魔道具開発の実験を兼ねているようだが、俺の話は全く通じていないのが明らかになった。

 そして、吸い取る魔力量を増やせば、魔力が枯渇寸前の瀕死者が山になる。

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