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第9話

一度、器の拡張に成功すると、それからは割と楽に器の拡張ができた。そこからは、一週間に一度くらいのペースで器の拡張をし、一ヶ月が経とうとしていた。二人の潜在能力とでもいうべきものは、悟の見立て以上のものを持っていた。神級には、届くだろうと、しかし、せいぜい下位、中位くらいだろうと思っていた。実際に、拡張をはじめると、その器の広がり方は尋常ではなく、一ヶ月程ですでに、アシュリーが特Sランクの上位に、スクルドが神級の中位に入り込んでいた。


「お前らの器、俺が思っていた以上だったぞ。このまま、いけば結構いいところまで行くんじゃないのか?まぁ、これからは器の拡張が行われにくなっていくからな。実感がわかないかもしれないが……気にすることはない。」


悟の言葉に二人とも頷くと、


「それでは今日もとっとと、やっちゃいましょー!」


「アシュー、もっと落ち着きなさい。ですが、その気持ちもわかります。ですので師匠、行きましょう。」


とはやる気持ちを抑えられなくなっていた。二人とも、器の拡張により、信じられないほど、魔力が充実しており、自分たちが成長していることを感じることができていた。その二人の言葉に、悟は苦笑するも、すぐに立ち上がって、循環法を行おうとするも、突如現れた、とてつもない大きな力の波動を感じ、一瞬にして戦闘モードへと移行していた。それは、二人も少し遅れるようにして悟と同じように、いつでも、戦闘に入れる準備をしていた。


「師匠これは、一体!?こんな力、師匠と同じ……ううん、師匠以上かもしれない……?」


スクルドの言葉にアシュリーが、


「そんな!師匠以上だなんて!そんな人いるの?」


と驚きの反応を上げるが、当の本人は、その二人の言葉に


「俺が勝てないと思う相手なら2人いる。」


「えー!本当ですか?その人は誰なんです?」


アシュリーの好奇心溢れる視線が悟に刺さる。それはスクルドも同じであった。悟は相変わらずの、兄妹に呆れを感じるも、それに答えた。


「一人は、ミカ=エレノイア。こいつは人ではない。」


「人ではない?魔族か何かですか?」


悟の言葉に兄妹そろって、キョトンとした表情をむえる。


「いや、神族の長である、主神だ。こいつの力は、正直言って桁違いだ。まともにやりあえば、間違いなく、殺される。」


悟より、上の存在。それが主神であると聞いて、少し信じられないという顔をしていたが、悟の力を知る彼らは、彼を超える人物は神ぐらいしかいないだろうと、考え直し、それを受け止めた。


「受け止めたか?確かに神はいるからな?信じられないかもしれないがな。そして、あと一人、おそらくここに向かってきているであろう人だ。名を箕島結月。人類最強の一角で、循環法を編み出した、天才中の天才、俺の師匠だ。」



「俺が師匠と出会ったのは、6年前くらいになるのかな?おれがまだ、弱かった頃の話だ。正直な話、今では、こんな偉そうな話をしているが、最初はお前たちより弱かった。」


悟は苦笑しながら、アシュリーたちにそう話した。彼らにとっては、悟が自分たちより弱かったことなど信じられることではなく、何度もそんなわけがかないと中々信じようとはしなかった。


「いやいや。本当の話だ。俺には、なんの力もなかった。ある日に、決闘で破れて、大切な人を奪われそうになったんだ。その人を取り戻す条件が半年後の模擬大会で優勝し、奪った奴を倒すことだった。それはもう死ぬ気で鍛えたさ。一番凶悪で、攻略難易度が一番高い、この極淵の森に修行に来て、自分よりも何段も格上相手に毎日命がけの訓練。死にかけたことも何度も何度もあった。」


悟の昔話を聞きながら、彼の苦労が身に染みるようにわかった。アシュリーたちがいる、今の場所は悟によって、結界が張られており、魔物たちが襲ってくることはない。だが、たまに結界を壊そうと攻撃をしてくる魔物は、世の中で確認されている魔物を見てみても、器を拡張した彼女らですら危うい物が何体もいた。悟の話が本当なら、昔の彼が勝てる道理はなかった。


「それで、案の定、実際に死にそうになったことがあった。確か相手は、神級に分類される『オロチ』だったかな。オロチを倒したのはいいんだが、俺自身も、かなりの重傷を負って、息も絶え絶えの状態だった。」


悟の強さを知る彼女らは、悟が死にかけたことに今よりも一段強い驚きを感じた。


「そこで、師匠の師匠にであったのですか?」


まさしく、その通りだった。死にかけの彼を救ったのは、たまたまその地に住んでいた、箕島結月だった、


「死にかけの俺の所に、血の匂いに釣られ、何体もの魔物が集まって来た。当然死を覚悟したさ。そうして、来るであろう衝撃を待っても何もなかった。目を開けてみると、魔物が全て斬り伏せられていた。驚いたさ。どいつも、高ランクの魔物が一瞬にして死んでいたんだからな。」


助かったことに安堵した途端、その場で意識を失うと丸1週間寝込んでいた。起きた時には、今使っている家に寝かされており、そこで彼の師匠と本格的に知り合った。


「師匠からは、とてつもない力を感じた。それはもう自分が叶うわけないと思う程のな。だからこそ、師匠に弟子入りしたんだ。最初は、渋っていたが、強くなりたい理由が通じたのか、俺の熱意に負けたのかわからないが、師匠になることを受け入れてもらった。そこからさ、師匠による地獄の特訓が始まったんだ。お前たちにした、循環法を行ってもらい、器を限界まで拡張した。俺は週一でやっているが……師匠は、3日に一回の割合だったからな……別の意味で本当に死にかけた。」


彼女らですら、週一が体の限界だった。それを3日に一回だ。そのつらさを知っている彼女らは、そのあまりの修行に、言葉を発せないのと同時に、その師匠の鬼畜さに体を震わせた。


「循環法による訓練の後も、今後お前たちがやる、修行と同じだ。俺の場合は、相手が師匠だったかな……

強さだけなら、魔王を軽く超えてるから、何度も死にかけ、その度に回復させられたよ。まあ、そのおかげで、大切な人を取り戻せたし、よかったんだけどな。」


「それは、そうとそろそろお出ましだな。」


悟の張った結界が破られ、そこから、一人の女性が出てきた。それは紛れもない悟の師匠の箕島結月だった。



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