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第13話

「いよいよ、あの世界を私のモノに出来るのですね。あの世界の資源があれば、アルカディアに勝つことも不可能ではないでしょう。」


バージェスは、自身の部屋の隅にある男に声をかけた。だが、その男からの返事はない。


「相変わらずの黙りですか。あなたは私がもつ最強の駒。こちらには特S級の方々もいるので、あなたの出番はないでしょうが・・・・・・まあ、いいでしょう。共にオルティア最後の瞬間を共に見届けましょう。」


そう言って、バージェスは部屋を出て行った。





こちらはオルティア。国王ルーラによる国民に対する演説が行われていた。


「皆の者が知っている通り、第四世界との戦争だが、我々は勝たねばならない。勝たねば、自分だけではない、身内や仲間、友といった全ての者の権利が、エクストリアに移ってしまう。それはすなわち奴隷として扱われる。俺はそんなことは断じて許すことが出来ない。また、お前達が死ぬことは、もっと許すことが出来ない。よって、此度の戦争は、俺を含めた少数精鋭で、一気に叩く。お前達が死ぬことのないように俺は最善を尽くす。だからこそ……俺を、俺たちを信じてくれ。」


ルーラの言葉に国民全員が地鳴りのような声を上げ、戦意を高めていった。


お互いが陣地に着き、お互いの使者が降伏条件を読み終えた。そして、お互いの陣地に戻り、お互いが旗を掲げると、戦争が開始した。


国王ルーラ率いる7人VS国王バージェス率いる3万人による戦争が始まった。ちなみに、ライブ中継されており、世界の各地でこの戦争を見られるようになっている。周りのものは、7人しかいないオルティアのことを笑っていた。なぜ7人なのか、答えはルーラの作戦の一つである。元々、個人の戦力差が大きいので、同じ数を用意したところで、死ぬ人間が多くなるのである。更には、自分たちが本気で戦った場合、自軍にも被害出る恐れがあるので、それならば、味方はそんなに入らないのでは、ないかという計算である。


「まさか、七人で挑もうだなんて。皆の者、敵をたった七人だ。踏み潰しなさい。」


バージェスの言葉を聞き、皆が叫びながら、攻撃を開始した。誰もが、直ぐに決着が着くだろう。相手になどなるわけがない。そう思っていたが、その考えは、直ぐに捨てることとなった。


『神級魔法"神をも殺す牙"』


国王の魔法により、おおよそ半分の兵士がこの世からいなくなることとなった。神級魔法"神をも殺す牙"

魔力で出来た、狼のように巨大なモノが、大きな口を開け迫ってくる兵士を飲み込んだ。その瞬間、一瞬にして、兵士は喰われ戦力の半分を失うこととなった。


これこそが、ルーラが考えたもう一つの作戦だった。自分たちが七人にしかいない状態なので、相手は必ず舐めた状態で襲ってくると思っていた。そこをルーラの魔法で一網打尽にするというものである。ただし、この作戦には、弱点がある。それは、これを使った後にはルーラは全く動かないのである。いわゆる、魔力枯渇である。強大な力は大量の魔力が消費される。神級ならば、それこそ消費量は比ではない。しかし、それに見合った効果はあった。


「いやいや、僕たちの国王がこんなに強かったなんてね。予想外だったよ。さて、こっからは僕たち六人で相手をするよ。」


七人と言ったが、後ろには、大勢の者が国王であるルーラの魔力を少しでも早く回復させようと、魔力を送り込んでいた。よって、一人も後ろに逃すわけにはいかなかった。


「一人たりとも後ろにそらすなよ。命に代えても守り抜いてね。」


その言葉に、六人は頷き、残った兵の処理をし始めた。

S級の力を誇る六人は、素晴らしく強かった。もちろん、第四世界の兵にも、全世界でも数少ないS級を持つ者も少なからずいたが、まるで彼らの相手ではなかった。オルガを除いた者たち、つまり国取りを考えた者たちは、悟の底知れない強さ、器の大きさに感服し、自分たちの心が弱かった、と認識した途端、それまでS級の壁に当たっていた彼らは、見間違えるほど強くなった。


全世界の者が来ないような光景に目を丸くしていた。自分たちが最弱だと罵っていた者たちが、少人数ながら、いや、少人数で格上の者たちを圧倒しているのだ。信じられないような目で、ルードラスたちを眺めていた。それは、他世界の王たちも同じであった。


「そんな馬鹿な!彼らの強さは何なのですか。第五世界め……一体どれほどの強さを隠していたのですか。」


そう話すのは、バージェスであった。この戦争は勝ったも同然だと、思っていたのに、それが負けそうなのである。それにプラスして、この戦争に負けると、すなわち第五世界と第四世界との力関係が入れ替わるということである。つまり、最弱が第四世界になってしまうということである。そのことをバージェスは許容できなかった。


「あなたの出番はないと思っていましたが、仕方ありません。予定外ではありますが、あなたにも戦場に出てもらいます。あの者たちを排除してきてください。」


以前に出番は来ないだろうと思われていた。暗闇に潜む男が、今、バージェスの命令を受け戦場へと赴いた。


その頃、ルードラスたちは、死体の整理や、降伏兵の受け入れを進めていた。


「おい、なんか冷たいし、寒くないか?」


「それはワイも、思てたことや。なんか、寒くて仕方ない。」


最初に気づいたのは、ルーラと、オルイアであった。それにつられて、他の者たちが、周りの雰囲気がおかしいことに気づき、こちらに歩いてきている者を見つけた。


「あの男……っ!」


思わず息を飲んだ。目の前を歩いている男は、自身の体から、溢れ出る膨大なまでの魔力を放出し、それが冷気へと変わりながらこちらに進んでいた。その男が通った後ろには、辺り一面にスケートリンクのように、辺り一面氷に覆われており、全てが凍っていた。このような、現象を起こせるような人物は、彼らは一人しか知らなかった。


「ははっ……まさか、最後の最後でこの方ですか。十二神級が一人、『氷神』サイレン=ブリジトン。英雄の一人にして、最強の氷魔法使い。これは、厳しいですが、彼らが帰ってくるまでは、僕たちだけで相手をしなくてはいけません。気合を入れ直してください。せめて時間かせぎ……」


ルードラスが言葉を終える前に、冷気による強烈な威圧を浴び、声を発することが出来なかった。まさしく、悟を前にしたような、そんな感覚であった。

強烈な威圧を受けて、彼らは動くことすら出来なかった。壁を突破したルードラスたちでも、十二神級の前では、為すすべがなかった。


威圧だけではない。サイレンの発する、冷気により威圧とはまた違った、感覚を受けていた。冷気により、徐々に体の機能が失われていった。


(くっ、悟を見たときにも化け物だと思ったが。こいつも大概化け物だな。こんなやつが、後十人もいるのか。それに、この気配、増援か……俺たちが潰したのは、先発隊か。威圧だけたならまだしも、冷気のせいで体を動かすことすらままならない。)


内心でルーラが、苛立っていると、彼がいった通り増援がやってきた。その数先発隊の比ではない。総勢約5万もの兵が主戦場に登場した。その中には、第四世界エクストリラ国王バージェスの姿もあり、兵に守られながら、ルーラの前までやってきた。


「無様ですね、ルーラさん。あなたが神級魔法を使って、うちの兵を消した時は少し焦りましたが、十二神級が現れただけで、このザマ。いい気味ですよ。おや?口もきけませんか?ホントに無様ですね。そう言えば、あなたの娘はどこにやりました?あの様な美しい女性は、私の元に置いておくのが正しいのですよ。おお、そうだ。あなたの側にいる、その娘も私に差し出しなさい。兵よ。敵は動けません。あの娘をここに連れてきなさない。」


バージェスがニヤニヤした顔で、兵に命令し、兵がその命令を実行しようとする瞬間に、アイリスは首に着けていたネックレスを握り、祈った。


「悟様、助けてください……」



その祈りが通じた様に、アイリスに触れようとした、兵の腕が吹っ飛んだ。くしくも、それはアイリスと悟が初めて出会った時の再現の様なものであった。


「待たせたな、お前ら。只今、戻った。」


アイリスの目の前にいたのは、五人であった。その真ん中にいた人物にアイリスの目が釘付けになっていた。その人物こそ、現十二神級藤原美咲にすら、化け物だと呼んだ、最強の人物金剛悟であった。


悟の登場により、それまで、静観していたサイレンが先程のモノとは格が違う、見方ですら、凍え死ぬ様な威圧を発していた。それに対して、悟も前にでて、負けじと魔力を放出した。


「久しぶりだな。サイレン。四年振りか?相変わらずの冷気だな。あの時のことを思い出すよ。」


「ふん。貴様が俺らの前から去って四年。一体何のために再びこの世界に来た?」


「感動の再会なのに、あいも変わらず冷たいな。そうだな……そんなことより、今は戦場だ。語ることよりやる事はあるんじゃないか?」


「貴様の言う通りだ。俺は第四世界。お前は第五世界。勝った方がこの戦争の勝利が決定する。」


二人の体から溢れ出る、人外の魔力がぶつかり、大地を、大気を揺らした。


「十二神級序列第六位『氷神』サイレン=ブリジトン。推して参る。」


「元十二神級序列第一位『戦神』金剛悟。さあ、殲滅開始だ。」


こうして、二人の十二神級、悟は元だが、人外の二人ぶつかった。





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