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カオスガーデン~世界がカオス過ぎてついていけない~  作者: 三崎鈴希
序章 誰ですか、こんなカオスな世界を造ったの
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アンケートはすべて反映されました

ほぼ主人公の独白です。始終ですます口調ですので少々クドイかもしれません。

あなたの思う"ゲーム"とは何ですか?

という、この学校は一体何をはじめたいんです?といいたくなるような内容のアンケート、真面目に答えてみようとおもいます。


私が思うに、それこそ千差万別、一人ひとり違うジャンルを示し、一人ひとりが個々の、自分自身の中の、いわゆる良作いわゆる神ゲー(これぞ神の域という作品のタイトル)をここぞとばかりに押してくると思うのです。

それぐらい世間にはゲームが多種多様、ゲームソフトはもちろんのことハードディスクもあふれています。

まぁ、一式そろえるのにそれ相応の対価(オカネ)が必要なんですが。

子供の頃は月500円のお小遣いを貯めることがなかなかできず、お正月のお年玉で何とか買っていたものですよ。

でも、そうなると欲しかったころには新品しかなかったそれも中古品がでまわり、相次ぐ攻略本の出版に私はやる気をごっそりけずられたものですがね。


私は生物学的には女性の分類です。


まわりの娘たちは年齢が上になるにつれコスメやファッションに目覚め、友達と遊ぶことととゲームをすることがイコールで結ばれなくなるのは案外と早い段階で訪れました。

もちろん私もコスメ・ファッションに興味は尽きなかったので、ウィンドウショッピングをしたりだとか、学校の帰りに雑誌に載ったそこそこオシャレなお店に寄ったりだとか、大好きなわけですけれど。

話がそれてしまいましたが、つまり私は、友達と遊ばない日、一人で家にいるとき、個人的趣味という枠組みの中に"ゲームをする"という項目を設けたわけです。

まあそもそも、私が数あるジャンルの中で好きだったのが"RPG"だったというのが、不幸中の幸いだったというか、なんというか。対戦ゲームもレースも格闘も、もちろん好きなんですけどね。


そんな私が近年特にひいきにしているゲームは、もっぱらインターネットの奔流の中にあります。

一般的にMMORPGと呼ばれる多人数参加交流型のゲームで、ここ十数年なかなかのシェアを誇っている分類のゲームです。RPGというものはシナリオに沿ってゲームを進めていき、最終的には何か偉業を成し遂げエンディングを迎えるというもが一般的ですが、このMMORPGというジャンルは、実質上シナリオがありません。

細かく言えば背景ストーリーやそれに見合った"クエスト"というものが用意されていているのですが、私が一番贔屓にしているMMORPGはそのクエストをこなさなくてもレベル上げや金稼ぎ、職業やスキルによっては防具・武器作成ができる仕様なので、案外自由度が高いのです。

とはいうものの、高レベルの狩場やダンジョンには入るために必要なクエストが設けられているので、まったくしなくていい、というわけではありませんし、何より大型クエストをこなせばそれだけで経験値も稼ぐこともできるので、私が贔屓にしているMMORPGをプレイしている方の大半が、ほとんどのクエストをこなしているとおもいますが。

ちなみに、私も私のキャラクターのレベルでこなせるクエストはすべて行っています。





さて、ここまでが前置きです。





なぜこんな回りくどい紹介の仕方をしたのか、わかりますか。

いや、わからないでしょう。今、私が置かれている現状同様に。


正直に言います、私は現実逃避がしたかったのです。いえ、目の前の光景が現実であるかどうかは怪しいので、現実逃避ではなくて、ただの逃避行でしょうか。


「・・・ね・・・なに、どうして?」


私の目の前にいるよく見知ったクラスメイトの少女が、ポカンと口をあけて上を見ています。目線の先には教室の天井ではなく青空が広がっていました。少女はどうやら自問自答をしているようです。

もっとも、私に向けた質問だったとしても、私に答えがあるのかと問われれば間髪いれずに「否」と答える自信があります。


私はごくごく浅く息を吐いて、周りを見渡してみました。


目の前には学校の勉強机。その上に広げられたアンケート用紙。つた模様の入った筆入れに、いつも使っている水色のシャープペン。

隣の席の、眼鏡をかけた男子をチラリとみると、口を半開きにして、とても間抜けな様子で真上を見ています。

つられて私も上を見やると、またも青空が見えました。小鳥が二匹ほど飛んでいます。ウフフ、カワイイナー。

私の席は教室の中ほど、中央よりやや廊下側の席なので首をぐるりと回さなければ教室の様子は見て取れないのですが目線を黒板の方向にやれば生徒の大半が茫然自失で上のほうを見上げているので、恐らくみんな、あの真っ青な空を見ているのでしょう。これが本当の青空教室ってやつでしょうか。笑えませんが。


そもそも、なぜ教室の天井がいきなり青空になったりするのか、もうわけがわかりません。


私は、いえ、このクラス全員がそうでしょうが、LHRで配られた「あなたが一番好きなゲームについて詳しく聞かせてください」なんていうちょっと内容がおかしいとしか言いようのないアンケート用紙に、もくもくと、ただただ真面目にペンを走らせていただけなのに。


とにかく、とにかくです。

何がなにやらわかりませんが、一言いっておかなければならないことがあります。


「・・・知らない天井だ」


隣のメガネ男子がわずかばかりの間を空けて「いや、天井ないけど・・・」と突っ込みをいれてくれました。








***









非常事態において、人という生物はえてして奇怪な行動・衝動をおこしがちだと思うのです。

たとえば夜中に突然自宅が燃えたとして、あなたはちゃんと通帳と実印、財布、携帯電話などを一式持ち出せるでしょうか。

"逃げる"というひとつのことに意識は集中しているはずですし、兎角生命の危機ともなると、とりあえず身近なものを引っつかんで逃げてしまうのではないでしょうか。つまるところ、パニックなわけです。


私は握り締めたつた模様の筆入れに目線を落として、はぁ、とため息を吐きました。


部屋ごと深い森の中に放り出された教室・・・教室を出た今だから正確なことがわかるのですが、教室は上下左右の教室からぽっかりと切り抜かれたような形で、緑生い茂る森のなかに異物として存在していました・・・は、どうやら恰好の的だったらしく、私が「知らない天井」といって幾分もしないうちにとてもでかい野鳥|(仮)に襲われたのです。

まさしく阿鼻叫喚、悲鳴の木霊する教室のドアから窓から、クラスメイトたちはちりじりに逃げ出しました。

どういうわけだか立ち向かおうとしている男子生徒が数人いたようですが、そんな彼らにはわき目も振らず一目散にトンズラした私を誰が責められましょうか。私はか弱い一人の女子高生。あんな凶悪顔のモンスターに立ち向かえという方が鬼の所業というやつなのです。


そして逃げ出す際、咄嗟につかんだのがこの筆入れだったというわけです。


初期装備【筆入れ】とか、どんなですか、まったくもう。

幸い小ぶりのカッターナイフが中に入ってましたが・・・しょせんカッターナイフですし。


私はきょろりと周囲を見渡してから、木のウロに腰を下ろしました。いい加減、途方もなく歩くのは疲れたのですよ。

それと、少し頭の中を整理したくなったので、立ってるよりは座ったほうが考えやすいですしね。

ふう、と息を吐き出して深く息を吸います。青臭い匂いが鼻を付きますが、イヤではないです。

これぞ"森林"という匂いですね。とはいえ、都会ではないにしろ町生まれ町育ちですから、あまり嗅いだことのない匂いなのですが。反動で大きく息を吐き出して




――― 選ばれし異世界の隣人よ




グヒッとのどが変な音を立てました。なんというタイミングでしょうか、ひどすぎます。周りに人がいなくてよかった。

というか、あーあーあー・・・なんでしょう、この頭の中に直接語りかけてくるカンジ。お約束にもほどがある感じは。

あれでしょうか、小説に最近よくある"トリップもの"的なものなんでしょうか、やっぱり。

いや、そうだとは思ってましたよ。思ってましたけどこれはあまりにもひねりなさ過ぎでしょう。




――― そなた達の願いし力、しかと聞き届けた




いや、願ってませ・・・あー・・・もしかしてあのアンケートで聞いてたゲームの仕様とかそういうアレでしょうか。

私結構事細かに書きましたけど、え・・・もしかして反映されたりするんでしょうか、え、世界に仕様が反映って・・・ん、なんか自分で言っててよく理解できないというか、脳が拒否反応起しているというか。

いやあの・・・こういっちゃ何ですがこういう系統のお話って、主人公がいつもやってるゲームの世界によく似た世界に飛ばされて的なのが王道というか、お約束というやつなのではなかろうか・・・。まあ飛ばされたのが私だけではない時点でもうなんかいろいろとオカシイのだけれども。

頭の中の声を鵜呑みにすると、つまるところ、私のクラスメイトたちがかいたアンケート用紙の内容がすべて反映されたカオスな世界がこの世界ということになってしまうわけで・・・。というか、待ってください。メガネ男子と反対側の隣の席の子は恋愛シミュレーションゲームのことについて熱く書いていた気がするんですが、それはどういう風に反映されるんですか。中にはボードゲームとかカードゲームとか書いた子もいるでしょうし。


しかし、私の思考を遮るように頭の中の声は高らかに宣言しました。




――― その力で世界を潤し、繁栄させ、我を楽しませよ




目上の人というのは、どうしてこう、上から目線でものを言うのでしょうか。


はじめまして。案外よくあ王道もの(?)を書いてみたくて、つらつらと書き始めました。大体このようなカンジ(主人公視点)で進めていきたいとおもいます。誤字の指摘などありましたお願いします。

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