2-3 復讐のハーフエルフ
GM:駆けつけると、洞穴のような住処の前で、ハーフエルフの女性がマーシュマンの家族に剣を突きつけている。
ハーフエルフの女性(GM):「こんな所まで妖魔がいるとは……!」
シター:え、ちょっと待って。ザディウスの仲間じゃないの?
GM:ハーフエルフの女性は、見たところ一般の冒険者らしいね。緑がかったぼさぼさの髪に、鋭い目。革鎧を着て、高品質そうな装備をしている。身のこなしはシーフっぽい。その人が、今まさにマーシュマンの妻と子に飛びかかろうとしているよ。行動を起こさないと、マーシュマンの家族が死ぬ。
ベラ:待って、カッパさんたちが殺されちゃう! 【ホールド】の魔法を使っていい?
GM:ありですね。
ベラ:【ホールド】します!(ころころ)達成値10。
GM:(ころころ)抵抗成功。ベラが大地の精霊に呼びかけると地面の土が盛り上がり、女性を挟み込もうとする。けれど、寸前で飛び退いて回避したね。
ハーフエルフの女性(GM):「何奴!」
シター:まあ、こっちを気にしてくれたならよかった。そのままマーシュマンに一撃、じゃなくて。
ベラ:待って! 私たちはカッパさんの味方だよ!!
ハーフエルフの女性(GM):「あんたらも妖魔の仲間なのか!」
シター:ちょっと待って。今、我々の仲間には『ファリスの神官』がいるんですよね?
ヴロン:なのに、カッパのことを見過ごしてる(笑)
GM:ルカは怪物判定に失敗しているからね。ガルフネットは怪物判定に成功したうえで、状況が面倒くさくならないように、ルカにマーシュマンは妖精だと教えている。
ヴロン:面倒を避けたいのはわかるが……仲間にまで嘘をつくのか、このNPCは(笑)
GM:状況について説明する。前衛にはガストン、ヴロン、シター。後衛はベラ、ガルフ、ルカ、リナかな。
ヴロン:俺は盾は構えてるが、武器を抜いてない。
シター:敵意は見せないようにしたいけれど、1対6でも、かかってくるの?
GM:相当、頭に血が上っているようだね。では、敏捷度順に行こう。説得するなら、それも行動として。
シター:こっちは18。
ベラ:うちは17。
GM:(キャラクターシートを見て)…あ、ガルフネットが20だ。先に【スリープ・クラウド】を使うよ。
シター:それなら、最悪カッパを巻き込んでも構わない。
GM:(ころころ)達成値16の【スリープ・クラウド】が発動して、女性と、マーシュマンの妻子も、まとめて寝たね。
ガルフネット(GM):「こんなん、さっさと寝かすのが一番や!」
ベラ:さすが姉御!
ヴロン:慣れてんな。最適解を選ぶのが一番だが…達成値16。こいつ何レベルのソーサラーだよ…。
シター:出目が7だとして、知力ボーナスが3あるとして…6レベル!? 出目8か9かもしれない。
GM:さて、どうする?
ベラ:姉御、そのハーフエルフの装備を外そう!
GM:武器を外すなら、高品質のハードレザーとカトラス、スモールシールドを持っている。
シター:カトラスを没収して、ロープで縛って。
ヴロン:今のところ、妖魔退治をしようとしていた冒険者を襲って、装備を外している状態だな。
シター:完全に悪の冒険者。追い剥ぎだ(笑)
ルカ(GM):「皆さん、落ち着いて。ゆっくり話し合いましょう。この人も悪い人じゃないと思いますけれど……【センス・イービル】を使ってみます」
GM:(ころころ)ルカは、ちょっと困った顔になった。
ルカ(GM):「あまり、いい人ではないかもしれません……。でも、話し合いは必要です」
シター:そりゃそうだ。あっしと同業者なら、縄抜けされないように縛っておこう。判定していい?
GM:どうぞ。
シター:(ころころ)達成値11。
GM:縄抜けされる可能性はあるけれど、一応念入りに縛った。
ベラ:カッパさんの奥さんと子供を起こして、安全な場所に避難させるね。
GM:起きた妻子に、マーシュマンが駆け寄るよ。「妻よ! 子供よ!」「パパ!」と、3人で抱き合っている。
シター:避難が済んだなら、女性を起こそう。
ハーフエルフの女性(GM):「くそっ、妖魔の手先が!」
シター:おっと、言葉には気をつけた方がいいと思う。まず、共通語で話しましょうぜ。
ヴロン:どこの街を拠点にしてる人だ?
ハーフエルフの女性(GM):「この辺ではない。やるならやれ。殺せ!」
ガルフネット(GM):「うちら、別に怪しいもんやない。普通の冒険者やで。事情があってマーシュマンを殺そうとしたんかもしれんけど、それは勘違いや。何かと間違えとるんちゃうか?」
ベラ:姉御、ナイスです!
ヴロン:NPCが時短してくれたぞw
ベラ:そもそも、何でマーシュマンを殺そうとしていたのか、確認しないと。
ハーフエルフの女性(GM):「・・・ザディウスの手下だと思ったんだ」
ヴロン:こっちは、指輪を取り戻しに来ただけなんだけどな。
GM:そこへリナが出てくる。
リナ(GM):「それぞれ、何か事情があるのかもしれませんけれど、きっと話し合えば何とかなると思うんです。私たちはグリーンレストから来ました。この……マーシュマン? カッパさん? は……」
ベラ:カッパって呼んどけ(笑)
リナ(GM):「私たちを助けてくれようとした、とてもいいカッパさんなんです。指輪も取り戻せましたし、今はお家に招待していただいているところで……」
GM:リナはたどたどしいけれど、一生懸命、今まであったことを誠実に話しているね。
シター:ガルフネットが「余計なことを言いやがって」みたいな顔をしてそうw
ヴロン:情報は武器だが、信頼にも使えるからこれはこれで正しいだろ。
GM:リナの話を聞いて、女性も少し落ち着いてきたようだね。少なくとも、すぐに襲いかかってくるような様子ではなくなった。
シター:話ができそうなら、そろそろ縄を解いてもいいかな。ただし、カトラスはもう少し預からせてもらうよ。
GM:女性は渋々うなずいた。シターが縄を解くと、女性は縛られていた腕をさすりながら、君たちを見ている。
ハーフエルフの女性(GM):「じゃあ、あんたらはザディウスたちとは関係ないんだな?」
シター:その前に、これに見覚えは? って、聖杯を出してみる。
GM:それは知らないようだね。
シター:知らないなら、いいや。しまおう。
GM:では、向こうも事情を話す。この女性は、南の村にゆかりがあるんだ。墓参りのために戻ってきたけれど、村の人は彼女を知らず、受け入れてくれなかった。それで、少し離れた所で過ごしていた。
ヴロン:ふむ。
GM:その間に病気が流行り、戻ってみたら、子供たちがダークエルフに連れ去られたと聞いた。子供を取り返そうと足跡を追って、川を遡ってきたところで、マーシュマンたちを見つけたんだ。
ハーフエルフの女性(GM):「50年前と同じことをしやがって……!」
シター:過去にも、同じことがあったんだね。
GM:ここまで聞いて、ガルフネットも素直に話した方が情報を引き出せると判断した。マジックショップ《プリズム》から聖杯が盗まれたこと、ザディウスを追っていたこと、聖杯が湖に落ちたことを説明する。マーシュマンの話も合わせると、毒が下流へ流れて、家族や村の人たちを苦しめていたという経緯がつながったね。
ハーフエルフの女性(GM):「50年前にも、その村で病気が発生した。皆が腹痛を起こしていた。その頃、村では身寄りのない子供を保護していたんだ」
ベラ:うん。
ハーフエルフの女性(GM):「そこへダークエルフが来て、『呪いを解いてほしければ、村の子供を生贄として差し出せ』と言った」
ベラ:差し出しちゃったの?
ハーフエルフの女性(GM):「大人たちは、もちろん嫌がった。だが、保護されていた子供が『僕が行くから、他の人は連れて行かないで!』と名乗り出た。すると、ダークエルフは『その自己犠牲の精神に免じて、この勇敢な子供の他に3人でいい』と言ってきたんだ」
GM:ハーフエルフの女性の名前はエルザ。50年前から冒険者で、彼女の仲間だった戦士の妹も、連れ去られた子供の一人だった。
エルザ(GM):「私たち3人でザディウスの後を追った。洞窟にはゴブリンやコボルドが大勢いて、何とか倒しながら、一番奥の部屋まで辿り着いた。ところが、助けようとした子供の一人が巨人に変身して、襲いかかってきたんだ」
ヴロン:スプリガン(人間の子供に変身できる巨人)か。
エルザ(GM):「そのせいで、仲間の戦士が死んだ。私と、もう一人の魔術師は生き残ったが……わざと殺さず、放置したんだと思う。その後、パーティーは解散した」
GM:エルザは、それから50年間、仇のダークエルフを追ってきた。ザディウスという名前も知り、西へ、北へと足取りを辿るうちに、この辺りへ戻ってきたことがわかった。そして、仲間の墓参りに来たところで、また子供が誘拐されていたんだね。
ヴロン:そりゃ、頭に血が上るだろ。
シター:そんな時にマーシュマンを見たら、「こいつめ!」と思っても仕方ない。
ベラ:ザディウスの居場所は、わかっているんですか?
エルザ(GM):「前と同じなら、あの洞窟だろう」
ガルフネット(GM):「足跡を追えばええんちゃう。さっき見つけたやろ」
ヴロン:このまま倒しに行く気か? 協力する…か?
ガルフネット(GM):「盗んだ犯人を捕まえるか、死体を持って帰れば追加報酬がもらえる。うちらとしては万々歳や」
ヴロン:じゃあ、リナはここに置いて、洞窟にいくか?
シター:いや、もう一つ選択肢が。聖杯を渡して、護衛の仕事は終わりにしてもらって俺たちは帰る(笑)
ヴロン:いやいやいや、ここまで来たら、面白いから行くだろ!
ベラ:うん。帰るのはやだ。もうちょっと遊びたい!
シター:思ったより危ない話が出てきたから、帰る選択肢もあるかと思ったけど……どう考えても、この二人は行くよね。
ヴロン:じゃあ、子供が大きくなる怪物について、怪物判定しておこう。
GM:(ころころ)ガルフネットは達成値17で成功。スプリガンだとわかったね。
ベラ:姉御、ナイス!
シター:保護されていた子供がスプリガンだった、ということだよね。
GM:今回も、村でしばらく前に子供を保護していた。その子が「僕が生贄になる」と言って、他に3人の子供が連れていかれている。
ベラ:また同じ! 何でそんなことを繰り返すの!!
シター:子供の姿でも、かなりの怪力があるんだよね。近づいてくる子供には気をつけよう。
ヴロン:子供4人のうち1人がスプリガンか。
シター:「背負ってくれ」って近づいてくる子供は、もう犯人だなw
GM:一応、普通は子供に変身しているスプリガンを見ただけでは見破れないらしい。
ヴロン:大丈夫。悪意を探知できる人がいるからな!
シター:その子は悪意を持った、ただの人間の子供かもしれないぞ(笑)




