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二十一話

「っ…!全員無事かっ!?」


「僕は大丈夫だ…」


「な、なんとか…」


「うっ、ごほっごほっ…大丈夫、まだいけます」


「私は大丈夫だよー!」


「俺もだ」


どうやら、タルスとサギリは咄嗟に柱の影に隠れることで攻撃を避けたようだ。しかし…。


「アリスさん!しっかり!」


「う、うう…未だに闇魔法は苦手で…申し訳ありません…」


こちらの後衛は完全に崩された。

そして、未だに奴の体力と魔力には余裕がある。


「コルネイアさん…?」


「…っ、サギリッ!」


「!…了解、任せて!」


俺はサギリに合図を送り、矢筒から矢を掴み取る。


「俺が相手だ…セクター!」


「ほう…弓騎士か。俺様の魔法を食らっても立っていられるのは褒めてやろう。しかし…貴様では俺様に勝てん!」


「…我が名はコルネイア・ライゼン!サンブラ王国第十二弓兵兵士長だ!いざ、尋常に勝負!」









コルネイアからの合図を受け取り、私は走り出す。

あいつが稼いでくれた時間を、決して無駄にしないために…!


テラスに向かうための扉を蹴破り、外へ。

そのままテラスに付いている屋根に飛び、壁をよじ登る。


「私の予想が正しければ、ここに…!」


数メートルの壁を登りきり、頂上へ。

そして、私は梯子を使って塔の内部…つまり、セクターがいた場所のさらに奥へ向かった。


降りて行った先にはひとつの小部屋があり、人が生活している痕跡が見て取れる。


「王子、いる?」


「…」


問いかけに、返事は来ない。

しかし、微かな吐息が聞こえる。

…ベッドの中にいる。


「私は、サンブラ王国から来たんだけど…?」


「…」


やはり、返事はない。


「ほら、さっさと出てきて。帰るよ」


「…なんで僕を助けになんかきたんだ」


「さあ?私は雇われただけだし知らないよ」


「だったら…帰ってくれ!」


泣き叫ぶような声で、王子が叫ぶ。


「王は…僕の父さんは、僕にこれっぽっちも愛情なんか注いでくれなかった!でも、大臣は…あいつは俺に優しくしてくれた!辛い時に寄り添ってくれた!…そんな奴にまで、裏切られて…!僕は誰を信じればいいんだ!?」


…無理もない。

私の聞く限り、サンブラはこの十数年で急激に成長を遂げた国。そう、今の王が即位してからだ。

ならば、そこにはとてつもない苦労があったはず。…実の子に会うことも、会話を交わすこともできないくらいに。


「…だったら、帰って確かめてみれば?」


「…え?」


「あんたの父さんが本当にあんたを愛してないのか、確かめてみればいい」


「…」


「それとも…死ぬまでずっとここにいる?」


「…わかった。僕を…王宮まで送ってくれ」


「りょーかい」


「あと、なんだその口の利き方!僕は王子なんだぞ!?」


「しらないよそんなの。私に比べりゃ、まだただのガキだからね」


「ぐぬぬ…!」


「さて…行くよ。歯ぁ食いしばれっ!」


私は王子を背中に乗せ、みんなと合流するために走り出す。









「ぐあああっ!」


「どうしたどうしたコルネイアぁ!俺様の魔力はまだたんまり残ってるぜぇ!?」


「ぐっ…!」


…視界が霞む。矢を番る手が震える。

食らったダメージがデカすぎたか…クソッ!







「回復、間に合いませんっ…きゃあっ!?」


「…清光なる光よ、闇を浄化せよ…!」


「グギャアアア!」


「クケケケケケ!頑張っちゃいるが、まだまだ俺らはいるぜ?」


「遅いんだよてめえらはよお!クキャキャキャキャ!」


「ハア、ハア…もう、魔力がっ…!」


「アリスさんっ!?しっかり!」


「くっ…!僕の剣じゃあ、こいつらをいっぺんに相手するのは…!」


「…っ!俺はコルネイアの援護に行く!ここは任せた!」


「タルスさん!?無茶です!撤退しましょう!」


「この状況じゃ撤退なんて無理だ!最低限なんとかしてあいつの動きを止めなきゃ…!」


「…そうか。なら…僕がデーモンを止めー」


「その必要はないなー。というわけで、ドッカーン!」


絶望的な戦局に似合わない気の抜けた声。そして直後にそれをかき消す巨大な爆発音…!


「もどったよー!ちゃんと王子も持ってきた!」


「持ってきた言うな!そして僕を担いだまま爆弾なんて投下するなー!」


「さ、サギリ!?」


サギリが、少年を背中に背負って…いや、背中に括り付けている。

恐らくあの子が王子…そして、王子を背負ってるってことは!


「救出成功か!」


「そのとーり!というわけでさっさと脱出だー!」


「貴様!王子を…!?さてはコルネイア!貴様これを狙って…!」


「ああ…その通りだ。事前にサギリにだけ相談しといて良かったぜ…」


「あ、コルネイアー!?さっきの爆弾、救出の必要経費としてもらうからねー!あれ一個だけでもかなり高いんだからー!」


「逃すものかあああああ!」


そう叫ぶセクターの手には、巨大な三叉の槍が握られていた。


「王子ぃ…!貴様だけは逃がさん!逃がしてなるものか!」


「…逃げるわけにはいかなそうだな。このまま王宮に帰ったところで、また襲われるだけだ」


「それなら…結局倒すしかないってことか…」


「ぼ、僕は戦えないからな!?いいか!?絶対に僕は戦わないぞ!?」


「うおおおおおおお!王子いいいいいいいいい!!!!」

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