第7話 入学式
このお話を読んで下さる皆様ありがとうございます。
「新入生の皆様。おめでとうございます。」
新入生の俺達が前に並び、その後ろに2年生、最後に3年生が並ぶ。それを台座の上から見下ろしながら、生徒会長が司会進行を勤めている。
「では次に校長先生より、ご挨拶の言葉です。」
生徒会長はそう言って、台座から降りたけど、誰も上がろうとしない。皆が首をひねった時、壇上に魔方陣が現れた。その中から一人の少年らしき人物が姿を現した。小学生のような、低身長、絹糸のような銀髪はまっすぐに伸び地面に届く程に長く、童顔には笑顔を浮かべていた。抱き締めたらポッキリと折れてしまいそうなか細い肢体も相まって、女の子みたいに見える。
「新入生の皆。入学おめでとう♪ボクが校長の舘林だよ。よろしくね♪」
一見したら魔法使いには見えない。しかしながら、彼がいる壇上にはマーキングはなかったし、影等なかった。媒介無しの空間移動。考えるだけでも途方も無い魔力と技術を要する。高位の精霊なら力業でも行えるとは聞いたことがあるが、少なからず、彼が魔法使いとしてレベルが高い位置にいるのは間違いないようである。加えて、彼が持っている自身より高い長さの杖。その至る所に埋め込まれている宝石。一つ一つが最高級の精霊宝石である。互いに干渉されないように緻密に計算され尽くした配置。間違いなく最高級の魔法使いだろう。
「この学園は、今から100年程前に立派な魔法使いを育成するという理念のもと、ボクとボクの友達の皆で力を合わせて建設しました。」
………ホントに舘さん幾つなんだろう?
「皆も立派な魔法使いを目指し励んでください。」
そう言って、台座から姿を消した。その後の進行は滞りなく進み、入学式も無事に終了した。
自分達のクラスに戻り、自己紹介等をして注意事項を聞いてこの場は解散となった。さぁ帰ろうかと思ったところで、
「おい、星魔。校内一緒に見て回らねぇか?」
神夜の誘いがあった。断る気もなく、紫龍も誘い3人で校内を見回った。あちこちを見回り、やがて、体育館に辿りついた時、人の声と、争うかのような物音が聞こえたため近づいてみた。そしたら、不良達がよってたかって虐めているのが目に映った。
「いつまでも、可愛がってやるから安心しろよ?」
ゲラゲラと笑いながら、手下と一緒に殴っている。………俺は神夜と紫龍に目で確認すると、
「ギャアアアッ!!!!」
リーダー格らしき男の急所に蹴りをかました。
「な、なんだ!何しやがる!」
「イヤ、弱者がよってたかって一人を虐めるクズ達が、目障りなんでつい。」
「なにもんだ!てめえ等は!」
「覚えとけ!
俺は通りすがりの、
魔法使いだ!」
うん。嘘じゃないぞ?
「ざけんな!やっちまえ!」
その言葉に襲いかかるが、そんなのにやられる俺達じゃない。あっと言う間に叩き伏せる。
「くそったれ!覚えてやがれ!」
お決まりな捨て台詞を吐いて逃げ出す。
入学初日はそんな一日だった。




