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死亡=現実でも死のバグ世界、お嬢様と執事の生存・脱出戦略~『詩忍にくちなし』~  作者: ふるなゆ☆


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6.言霊系

「カナリンに作戦があるの。」


 そう言うので私は彼女に耳を貸した。

 ゴニョゴニョゴニョ。

 要約するとカナリンがサポートに徹するので、そのサポートでゴブリンを倒していくという算段だ。


「『言霊系』の真骨頂(しんこっちょう)をみせるわよ♪」


 私は地面に投げ捨てられた木へと向かった。

 それを持ち上げようとしても持ち上がらない。それは当然である。


(かる)くなれ!】


 スッ――。


 軽々と木が持ち上がる。これで私は木を武器にして戦える。さっきのゴリラの戦法が頭に残っているから、木を武器にした戦い方も問題ない。


 そこに襲いかかってくるゴブリンの大群。


火力(かりょく)――!】


 私の攻撃に不思議なオーラがまとう。スイングされたゴブリンは遠くまで飛ばされていった。


 一匹、二匹、三匹と次々倒していく。


 しかし、上手くいったのはそこまでで、ゴブリンは木の近くに構えて近寄らなくなった。

 木が邪魔で私の攻撃は止まってしまい当たらない。


 ピュンッ――。


 木製の弓矢が放たれる。木が守ってくれたけど、このままでは当たるのも時間の問題だ。


「木に向かって攻撃しちゃって!」


 そんな指示の元、木諸共に向かって武器を振るう。


貫通(かんつう)――】


 木をすり抜けて、ゴブリンだけに大木攻撃が当たる。


 そのままゴブリンをばったばったとなぎ倒す!

 何度も何度も力の限り振りまくった。

 

 それなりに倒しきった。


「おいおいおい。このゴリラ女め。俺様の呼んだゴブリン共を滅茶苦茶(めちゃくちゃ)にしやがって。」


 イラッ。イライラ。

「失礼ね。あんたこそゴリラじゃん。」


 さっきの男が戻ってきた。

 それと同時に、

「だいぶ遠くに飛ばされてしまいましたね。ですが、二度は同じ手は貰いませんよ」とカゲトも戻ってきた。


「これで終わりでしょうかね。」刀の矛先が男に向かう。


「ちっ。俺様をコケにしやがって!」


 怒りの矛先が私達に向かう。



「はい。そこで終わりです。」



 突然、木の影からそこに現れた眼鏡をかけた女性。フードをおろした秋色のような赤茶色のローブを着ていて、首には楽しそうな仮面をネックレスみたいにつけている。


 彼女は持っていた本を閉じた。


 そして、男の肩に触れた。


「おい待てや。こっから、ボコボコにするいいとこなんだからよぉ。なぁ?」


「あなたの目的は人身売買。戦うことや殺すことではないはず……。目的と手段を間違えるのは愚策。これ以上は無意味だと思うけど?」


 カゲトが刀を構えていた。そして、「嫌な予感がしますね」と言い、刀を投擲(とうてき)した。


 

【テレポート】――。



 しかし、そこにいた二人はパッと消えてしまい、刀は空を切る。


 風が吹き通る。少しの間、敵の攻撃に警戒していたが、ずっと虚しい木々のざわめきだけが響いていた。





「気を取り直しまして、『言霊系』について説明致しましょう。」


「はい。先生。カナリンちゃんがやってた技の系統ですよね?」


「はい。その通りです。」


 私は林のど真ん中で机椅子に座りながら執事による系統講座を受けていた。


「言霊系の戦い方は状況や行動に働いて戦いを有利にするものが多いです。ただ、言霊系の戦い方は非常に幅広いため一概には言えませんが、武器を持参し戦局を有利にする者が比較的多いですね。」


 先程の戦いで私は木を振り回して戦った。それができたのもカナリンの使った言霊系の"軽くなれ"と"火力"があったからだ。


「例として、以前襲ってきた魔族――狼が使用した"踊れ"で行動を制限し、"多くなる"で数的優位を狙いなどもそうですね。」


 そうか、あの狼も言霊系の系統だったのか。振り返って見れば、()に落ちる。


「弱点としては制限及び制約が他系統と比べて厳しいことが挙げられます。技には一つ一つの負荷が存在しており、その反動を受け止めきれないものは発動すらできません。」


「んー、分かんないっ!」


「例えば、お嬢様が『自爆しろ』と命令したとします。もし言霊系だとしても、その技は不発に終わるでしょう。このように、あまりにも強烈な能力は使えないということです。」


 ようするに、チートすぎる言葉は使えないよってことね。


「また、『時間』――(すなわ)ち時間を止める技を扱えたとしましょう。それ自体が強烈な技故に制約がかかり、発動時間は少々しか行えない可能性が高いです。加えて戦闘により体力が削られていた場合、さらに発動時間は短くなる、もしくは発動不可になると考えられます。」


「つまり……?」


「強すぎると技の効果が薄くなる。発動は体力に依存していますから、疲れてきたらその分弱くなる。……と認識してください。」


「分かりました!」



 

 木々が優しく揺れている。


「では、系統を調べるために『言霊系』の技を発動して貰いましょう。では――」


 そこに「ジャンプとかはどう?」とカナリン。


「いいですね。では、我々を"ジャンプ"させてみてください。」


 私は意識してカゲトに向けて技を発動したつもりだった。しかし発動されない。


 仕方ない。一旦、試しに私に向かって発動してみるか……。


【ジャンプ】


 ピヨーン!


 右手左足を大きく上げてその場でジャンプした。


「何か、この真上に何があるような気がする。ジャンプしたら隠れたブロックが飛び出てコインが出てくるような気がする。」


「駄目です。お嬢様!」


「ジャンプを使えば亀とか倒せそうな気がする!」


「駄目です。それ以上は駄目でございます!」


 そこに栗の形をした魔族が現れた。こちらにゆっくりトコトコ歩いてくる。


「これク〇ボーじゃない?」


「違います。決して〇リオの〇リボーではございません。茶色の足が生えたスライム型魔族でございます。」


「いやいやいや、絶対これクリボ〇だって!」


【ジャンプ】


 あれっ、真上に何かある。

 あっ、隠しブロックだ……。


 ブロックのせいで、上から踏みつけるつもりが丁度目の前に落ちちゃった。


 クリ〇ーの体当たり攻撃――。


 ドッ!


「ぐはっ!」


 私は地べたで倒れてしまった……。



 ――――――。



 何やかんやあって、その魔物は瞬殺された。


 気を取り直して私は立ち上がる。


「申し上げますと、お嬢様は《言霊系》の系統ではございません。」「言霊系にしては制約が厳しすぎたからね~。」


 私は《具現化系》でも《言霊系》でもなかった。


 つまり――残る可能性は一つ。

「まだ確定事項ではございませんが、ジュリネお嬢様の系統は《変身系》の可能性が高いように見受けられます。」

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