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呪術師は勇者になれない  作者: 菱影代理
第9章:魅了
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第121話 密林塔防衛計画

 すでにみんなに話した通り、僕の砦攻略作戦は、敵がこちらの密林塔に攻め込んできたタイミングで脱出し、奴らの砦に逆襲を仕掛ける、というものだ。

 僕らの戦いの本番は砦に攻め込んでからとなるけれど、敵本隊を出来る限り空っぽの塔に引きつけておきたい。どれだけ塔に引き留めていられるかで、砦の攻略の難易度も大きく変わって来るだろう。僕、時間制限のあるゲームとかって苦手なんだよね。持ち時間ってのは、沢山あるに越したことはない。

 というワケで、密林塔の時間稼ぎと、僕らの砦攻略、両方の戦いの準備していくことになる。

 で、まずは塔について。

 これもすでに語ったように、塔にはレム本体が残ってもらう。空城の計、といきたいところだけれど、完全にもぬけの殻にしてしまえば、いくらバカなゴーマも速攻で引き返してくるだろう。

 しかし、一人でも戦って抵抗する者がいれば、奴らは何も考えずに殺し切るまで絶対に攻撃を諦めない。

「でも、レム一人じゃあ限界もあるし、うっかり事故って即死したら困るからね」

 不測の事態に備えて、残れる奴は多ければ多い方がいい。

「さぁて、今の僕に、あと何体泥人形が作れるか……限界に挑戦だ」

 二号が作れたのだから、三号、四号、と数を増やせるはず。問題はただ一つ、僕の魔力と『汚濁の泥人形』が、何体目までの作成を許してくれるかといったところ。

「死体オーケー、魔法陣オーケー、供物オーケー」

 塔の裏で遺棄したゴーマの死体を厳選して並べた。描いた『六芒星の眼』に、魔物の血肉や骨、あとはジャングル産のマンドラゴラとムラサキノコを供物として配置しておく。

 投入する素材は、基本骨格となるゴーマの死体。あとは僕の血とアレだけで十分だ。

 今回は質を落としてでも、数を確保したい。人型になって、武器を扱えるだけの性能が発揮できればいい。

「よーし、それじゃあ、出でよ、レム三号!」

 張り切って、泥人形の量産開始。果たして、その結果は……

「――桃川くん!」

「ハッ!?」

 目を覚ますと、心配そうなヤマジュンの顔が目の前にあった。ちょっと近いんですけど。

「桃川くん、大丈夫かい!? 魔力切れで気絶していたようだけど」

「あー」

 またやってしまったか。『汚濁の泥人形』で新たな力に挑戦すると、大体いつも気絶しているような気がする。つい、まだまだイケると思って、やってしまうんだよね。

「レムは……」

「ガっ!」

「ガガ!」

「ガガガ!」

 見れば、元気よく返事をするレムが三人。

 一人目はラプター素材で強化したレムで、あとの二人はノーマルの黒スケルトンタイプである。どうやら、僕の視界がボヤけて見えているワケではなさそうだ。

「よかった、ギリギリで四号まで作成に成功したか」

「ガ、ガガ」

 おめでとうございますご主人様、と祝福するように、レム達が骨の掌でカラカラと拍手をくれた。

 さて、これで塔の防衛につく捨て駒が、一人から三人にまで増えた。これで、もうちょっと派手に奴らの注意を引くこともできるだろう。

「あっ、桃川くん、まだ寝ていた方が」

「大丈夫だよ。今日はもう大きな呪術を使うことはないから」

 別に貧血で倒れたワケじゃないし。呪術師という天職のお陰か、体力よりも魔力が回復する方が早い感覚もする。だから、ちょっと歩き回って動くくらいなら、そのまま順調に魔力は回復してくれる。

 いつ何時、奴らが攻め込んでくるか分からない。寝ている時間も惜しい。

 ヤマジュンの心配を振り切って、僕は上中下トリオが作業中の倉庫へと向かった。

「やぁ、調子はどう?」

「荷物漁ってるだけで汚れるっつーの」

「今日は俺らが一番風呂だぞ」

「腹も減ったべ」

 顔を見せれば文句はたらたらだけれど、倉庫の脇に集められた物を見る限り、仕事はしっかり果たしてくれた模様。

「うんうん、ありがとね」

 僕はおざなりな労いの言葉をかけながら、早速、物資を見分。

 よし、結構な量がある。松明の油も、矢の数も。よかった、しっかりゴーマの麻薬も回収してあるな。コイツは特に使う予定はないけれど、いざという時の為に、前衛組みには持たせておいて損はない。

「レム、弓矢は全部もって行って」

「ガ」

「レムと三号四号は、ずっと外で弓の練習」

「ガガ!」

 弓と矢の束を抱えて、駆け足でレム三人組が出て行く。

「なぁ、桃川の使い魔、なんか増えてね?」

「さっき増やしたんだ」

 上田の素朴な疑問に適当に答えつつ、僕はレムの弓の腕前が少しでも上がりますように、と願うしかなかった。

 塔に立て籠もって戦うなら、遠距離武器がなければいけないだろう。正門を含めて、侵入できそうな箇所は全て塞ぐ予定だから、後は上から群がってくるゴーマ共を弓でピュンピュン撃ちまくって欲しい。きっと敵の数は膨大だから、あんまり上手じゃなくても、とりあえず矢が飛べば誰かしら当たるだろう。

 それに、松明の油と、それを染み込ませる布きれは沢山あるから、火矢だって作れるし。こっちは屋外で作業ができない夜にでも、みんなで作るとしよう。

 その前に、午後の作業もあるけれど。

「昼食を食べ終わったら、切り倒した木を運んで、正門を塞ぐ工事に入るから」

「うぇーい」

「いよいよ本番かよ、ダルいなー」

「だから水魔術士の俺はパワーがねーんだって」

 相変わらずヤル気のないトリオだが、気にせずガンガン行こう。

 昼食は、朝で鍋は食べ尽くしたので、別な料理……といっても、どうせ肉を焼くだけなんだけど。肉付きのいい部分は保存食に回したので、それ以外の部位を今の内に食べておきたい。というワケで、今回は肝、すなわちレバーを食べることにした。

 半分は薄切りにして塩焼き。もう半分は魔女鍋のミキサー機能で挽いてみた。

「美味ぇ」

「やっぱ新鮮な肉は美味ぇよな」

「謎のハーブもいい感じだべ」

「私これきらーい」

 猪レバーは割と好評だった。約一名、ちゃっかり昼飯には戻って来てはケチをつけるクソニート少女もいたけれど。レイナ、嫌いとかケチをつける割りにはいいところをバクバクと喰らいやがって。

 そして、食ったらさっさと出て行った。

 まぁいい、ゴーマの監視部隊を潰すという仕事はやってくれている。労働の次は、礼儀というのを教えてやりたいものだ。レイナに礼儀か、気が遠くなりそうだな。さっさと蒼真君が引き取ってくれないかな。

「はい、それじゃあ山田君が頑張って木を切ってくれたので、これから工事に入りたいと思いまーす」

 正門封鎖工事は、男子全員集合。まずは倒木を移動させなければいけないので、力仕事の重労働は避けられない。

「せーの!」

 凄い一体感を感じる、材木運搬作業である。山田と上中下トリオ、そしてヤマジュンと僕、さらにはレムを全機出撃させて、大きな木も何とか運び出すことができた。

 塔の前には、失恋男が力の限りに切り倒しまくった木材が山のように集まった。

「はぁ……はぁ……よ、よーし、次はこの木材を……」

「も、桃川くん、もう暗くなってきたし、みんなも疲れているみたいだし、今日はこの辺にしない?」

 気が付けば、もうすっかり夕方。

「ただいまー、晩御飯はまだなのー?」

 男全員、重労働でぐったりしているところに、エンガルドに乗ってレイナが余裕の凱旋である。

 時間は惜しい、けど、今日の作業はもうこの辺にしておこう。

「綾瀬さんは、お風呂一番最後だから」

「ええぇーっ!」

 レイナに嫌がらせしつつ、僕はみんなのお風呂を沸かして、ヤマジュンが下ごしらえしておいてくれた材料を火にかけて食事を用意するのだった。

 食事に風呂の世話は、僕が提供できる大切なカード。

「……桃川くん、まだ起きていたんだ」

 夜、僕が自分の部屋でボンヤリしながら作業をしていると、ヤマジュンがひょっこりと顔を覗かせた。

 良かった、あと30分くらい遅かったら、ハンモックの上で蘭堂さんのパンツを広げているところだったよ。

「ヤマジュンこそ、どうしたのさ」

「ボクももう寝るところだよ。桃川くんも、あまり一人で頑張り過ぎないでね」

「大丈夫だよ、別に無理しているつもりはないから」

「それならいいけど……ところで、何をしていたんだい?」

「鞍と鐙を作ってた」

 といっても、ゴーマの衣服や鞄から剥ぎ取った汚い革や布きれを材料にした、ゴミみたいなもんだけど。

 それでも、ないよりはマシ。僕はラプターを立派に騎竜として活用したいから、そのために必要な装備も今の内に整えておきたい。

「ラプターってそのまま跨ると、乗り心地悪いんだよね」

「あっ、そうだよね。馬だって、そのまま乗るのは難しいし。あっても難しかったけど」

「もしかしてヤマジュン、乗馬の経験あるの?」

「夏休みに旅行に行った時、何度かあるよ」

「おおー、セレブだ」

「そんなんじゃないって」

 そんな特に意味のない雑談をしている中で、そういえば、と僕は気になったことを聞いてみた。というか、お願いしてみた。

「ヤマジュンってさ、『古代語解読・序』っていうスキルあるでしょ?」

「うん。今まで、全然役に立ったことはないし、どうしてこれが習得できたのかも、よく分からないんだよね」

 どうやら、初めて習得したスキルであるらしい。攻略序盤の頃、ただ山田にくっついて進んで行き、妖精広場の発見と同時に授かったという。

「古代語、読めるの?」

「ほんの一部分だけだよ。簡単な文章しか解読できそうもないし、何か秘密のありそうな文章とかは、肝心の部分が読めなくなっていたりするね」

 なるほど、より重要度の高い文章や単語の解読は、さらに上位のスキルが解禁されなければできないのだろう。

「桃川君、古代語に興味があるのかい?」

「うん、古代語が読めたお蔭で、ダンジョンの隠し機能が使えた、っていう経験があるから。たとえば、妖精広場の噴水とかは、武器を錬成する魔法陣になってるよ」

「ええっ、そうだったの!?」

「まぁ、錬成スキル持ってる人じゃないと、利用できないから、あんまり意味ないけどね」

 けれど、樋口の生贄型転移システムのような設備なら、知っていれば有効利用できるだろう。

「それじゃあ、えっと……ボクが分かる限りになるけど、古代語のこと、教えようか?」

「うん、是非ともお願いするよ」

 こうして、ヤマジュン先生による古代語講義が始まった。

 もしかすれば、解読スキル持ちじゃなければ、絶対に読めない魔法の文字だったりするのかも、とは思ったが、その心配は無用であった。

 古代語は立派な言語であるようで、その文字が読めればちゃんと文章が解読できるようになっている。『古代語解読・序』では、特定の単語の意味と、一部の短文をそのまま読めるようになる能力であるらしい。

 だから、ヤマジュンは読めた部分を、そのまま古代語の文字とセットで教えてくれれば……なんてこった、ノートに翻訳を書き写すだけで、スキル効果をほとんど丸ごとゲットじゃないか!

「なんか、物凄い発見のような気がするけど、ヤマジュン、いいの?」

「別に、秘密にするようなことじゃないよ。ボクだけが読めたって、仕方がないからね。それに、桃川くんなら何かに役立ててくれそうだし、ボクとしても覚えてもらえれば、心強いかな」

「そっか、ありがとう」

 素直な期待と善意が、本当にありがたい。

 けれど、今日は一日働きづめで、体力を消耗している。つまり、眠い。申し訳ないけれど、何時間も勉強できるほどの、気力が残ってはいなかった。

「ふふ、今日はこの辺にしておこうか」

「あー、ごめん。もっと、色々と教えて欲しいことあったんだけど」

「いつでも聞いてよ。ボクの方でも、読める単語をノートに書き出して、準備をしておくから」

 ホントにありがとう。ヤマジュンには感謝しかない。

 そうして、睡魔に負けつつある僕に対して、ヤマジュンは「オヤスミ」と妖精広場へと戻っていった。

 わざわざ僕を訪ねてきたのは、リラックスできるように、気を遣ってくれたんだろうか。たしかに、お喋りして普通に楽しかったから、張りつめていた気分もいくらか楽になった気もする。

 古代語を教えてくれたお蔭で、大きな収穫にもなったし。

「はぁ、何だか、支えられてばかりな気がするな」

 これで作戦が失敗したら、僕は確実につるし上げを喰らうだろう。まぁ、作戦失敗の時点でみんな死ぬか。

「そんな時は、せめて僕だけでも逃げられるように……なんて、ははっ、本当に、最低だよ」

 それでも僕は、いざという時の為に、ラプターの俊足を生かして逃げられるようにする、というのを第一の目的として、こうして鞍と鐙を用意しているのだ。

 許してくれ、とは言わないよ。でも、みんなの気持ちのためだけに殉職するつもりも、僕にはないんだ。

「だから、頑張らないと」

 作戦が成功すれば、それで八方丸く収まる。みんなハッピー。これでいいんだ――そうでも信じ込まないと、僕は自分で自分のことが、嫌いになりそうだった。




 ゴーマにヤル気がないのか、それともレイナの監視潰しの成果が上がっているのか、五日過ぎても奴らが大軍を率いて現れることはなかった。

「はぁ……とりあえず、こんなもんだろう」

 五日間かけて、ひとまずは最大の進入路である正門を封鎖することができた。道具もなければ知識もない僕ら大工素人の高校生が、大きな門という空間を塞ぐ壁なり柵なり、綺麗に作れるはずもない。

 だから、完成したのは門の幅より長い丸太を、とにかく通路に並べて積んだだけの、大きな障害物に過ぎなかった。けれど、天井近くまでビッシリと詰め込まれた長い木は、そう簡単にどかすことはできない。まして、門から見れば押しても引いてもビクともしないのだから、この入り口は実質、完全封鎖といってよい。

 その代り、ここに住む僕らも正門からの出入りは不可能だし、通路を通ることも出来なくなって、不便なことこの上ない。僕らが塔を出入りする方法は、二階にある一番大きな窓のところに、僕の黒髪触手で編んだ縄梯子である。

 レイナは「こんなの降りられないよー」とかキャーキャー言って駄々をこねていたけれど、今では大鷲であるラムデインの足に掴まっては、勢いよく窓からダイブするアトラクション感覚で楽しそうに降りて行っている。なんていうか、女の子が怖がってキャーキャー言うのは、そこに意味なんてないんだな、というのがよく分かる事例であった。

 今日も監視のゴーマ狩りに出発したレイナのことは置いといて、正門以外にも色々と準備は進めておいた。

 まず、正門前をはじめ、塔の周りには『六芒星の眼』を供物とセットで描いておいた。これは僕らが逃げる時に、『腐り沼』を発動させるためのもの。奴らが大軍で塔に押し寄せてくるなら、『腐り沼』を張っておけば後ろに押されて勝手に引っかかってくれる間抜けもでてくるだろう。単純に、動ける範囲も狭まるから、奴らの攻めの勢いを多少は削ぐこともできるはず。

 他にも、物凄くわざとらしく、枯木と枯草が小山となって積んでおいた。これは塔の周りにも、塔の中にも設置してある。

 コイツは勿論、火をつけるためだ。

 どうせこの塔には討ち死に前提のレムと三号四号しか残らないのだ。塔も周りも火の海になってくれた方が、奴らも大勢道連れにできるし都合がいい。まぁ、そう上手く火の手が広がるか、奴らが火事に巻き込まれてくるかは分からないけれど。

「レム、調子はどう?」

「ガガ!」

 塔の裏手は、レム達の弓の練習場と化している。僕が顔を覗かせて様子を見ると、レムは張り切った様子でギリギリとゴーマの弓を引き絞り――ヒュッという鋭い風切音の直後、ドっと鈍い音が響いてくる。

 レムの放った矢は、狙い違わず的にした木の幹のど真ん中を貫いていた。

「凄い上達したね」

 偉い偉い、と硬質な髑髏頭を撫でまわしてやる。

 正直、レムの弓の上達ぶりには驚くばかりだ。的に当たったのは、ただのラッキーショットではない。三号も四号も、次々と矢をつがえては木に向けて放っていくと、その大半は木の幹にしっかり命中しているのだ。

 思えば、レムに槍を持たせて戦わせ始めてから、その戦い方は確実に上達している。他にも、蛇の皮を剥いだり、火を起こしたり、コアを取り出したり、特に僕が命令して練習させたワケでもないのに、レムはかなり色んなことを自ら学習していることは明らかだ。

 だから、弓矢だって練習させればそれなりに上達するとは思っていたけれど、まさかこんなに即戦力レベルで上手くなるとは。実はレム、エルフみたいに生まれながらに弓の才能があるとか。

 そんな裏設定よりも、多分、僕が練習を命じてから、片時も休まず弓矢を放ち続けた単純な練習時間が効果を現しているように思える。レムは魔力があれば、睡眠も休息も必要としない人形だから、弓矢を放つ、くらいの動作は延々と続けられるのだ。きっと、練習する際の集中力、みたいなものも途切れないのだろう。普通の人間には不可能な練習法である。

 レムがこの五日間、練習の手を止めたのは、僕が弓の改良を試した時くらいだ。

 こんな長時間、ぶっ続けで矢を放っていたら、ゴーマお手製のショボい弓は、速攻で弦が切れてしまった。このままでは、回収した弓を全部使い潰す勢いだったから……その代替手段として、弦を黒髪触手で代用してみた。

 そして、これが割とアタリだった。

 ノーマルの黒髪は、本物の髪の毛と同じ質感だから、弓の弦に使うには全く不向きだ。欲しいのは強靭な伸縮性。そして、アラクネから蜘蛛糸を学んだ今の僕にとって、それくらいの性質を再現するのは、そこまで難しいものではなかった。まぁ、多少の試行錯誤は必要だったけど。

 レムに弓を引かせては、その感触を聞いて改良を繰り返した。勿論、レムは喋れない。だから、簡単な手話を教えることにした。

 イエス・OKは手で丸を作る。ノー・NGはバツを作る。分からない・どちらともいえない、という場合は三角形。

 まぁ、レムの態度と仕草から、今までもこれくらいのことは何となく分かったけれど、明確にサインを決めたお蔭か、よりスムーズにレムと意思疎通が図れた気がする。お蔭で、上手く黒髪の弦は作り上げることができたのだった。

「防衛準備はおおよそ整った。レムの弓も上手くなった。今、できることは大体、やり尽くしたはず……」

 ひとまず、準備中にゴーマ軍が襲来することはなかったのは幸いだ。これ以上は、もうあまり備えられそうなことはない。

 あらゆる面で不安は残るものの、あえて言おう。

「さぁ、いつでも来いよ」

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