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エピローグ 先生
一年後。
俺は山の上にある小さな墓地を訪れた。
並んだ二つの墓。
一つには黒崎源蔵。
もう一つにはサチ子。
俺は二冊の本を供えた。
先生が好きだった歴史小説。
サチ子が好きだった童話。
風が吹く。
桜の花びらが舞った。
「先生。」
俺は組長の墓へ向かって頭を下げた。
「あんたは間違いなく悪人だった。」
「でも。」
「サチ子にとっては、世界一の先生だった。」
今でも答えは分からない。
人は善だけでも悪だけでも語れない。
だからこそ、俺は忘れない。
一人の少女が、人生の最後まで感謝を伝えた相手を。
そして、一人の組長が、自分の命と引き換えに少女の未来を守ろうとしたことを。
雨が降り始める。
俺は空を見上げる。
どこかでサチ子が笑っている気がした。
――完――




