第7話 ゴブリンの洞窟、討伐へ 突入編
※第7話は洞窟探索と救出を中心にした回になります。
探索・判断・結果までを一話で描いているため、やや描写が多めです。
腰を据えてお読みいただければ幸いです。
森に着いた俺たちは早速、夜スライムを捕獲する時に野営した場所まで進み目的の野営地まで到着した、野営の準備を始めた時点では、まだ太陽は高かったが、森の奥まで行くとなると到着するのは夕方になってしまう為、ひとまずここでキャンプをして早朝に移動するという事になったのだ。
「よし! ここを、キャンプ地とする! 」
俺が現世でよく見ていた深夜テレビ番組の中でディレクターが言っていた台詞を言うと
「ええ、では結界の準備をしておきますわね」
とリリアは結界用のトーチをもって移動し
「じゃあ、私は焼き台や調理場を用意しておきますね」
とミナも、焚き火とそこに設置する焚き火台三脚の設置に取り掛かる
「じゃあ、俺もテントを設営するか、お前さんの所の隣に設置しても大丈夫か? 」
とガルドさんが言ってきたので俺は
「え? ああ、大丈夫ですよ」
と、普通に返された……大丈夫だ、皆、俺の現世で見たテレビ番組なんて知らないのだから、こういう反応になっても仕方ない、と割り切る事にする。
俺とガルドさんが、それぞれテントの設営を終えたころ、リリアが戻って来た
「お二人ともお疲れ様ですわ、こちらも結界を張り終えましたわ」
「リリアおかえり、今回はテント二つだったから、ちょっと時間が掛かっちゃったな」
「確かに夜スライムの捕獲の時は、大きめのテント一つでしたものね、それでも交代で仮眠をしていた時は良かったんですけど、今回はそうもいきませんものね」
そう、前回の野営では大きいテントを設営して交代で仮眠をとるという方針だったので、寝る場所については問題無かった、しかしそれでもテントの中にリリア達の荷物を置いている関係で、多少窮屈にはなってしまった、今回は交代で見張るという事もあるのだが、 前回同様に男女が一つのテントに寝るのはどうなのか、という俺の主張を受け入れてもらった結果、テントを二つ設営する事になったのだ、因みに、これとは別に俺たちのテントの隣にガルドさん専用のテントもある。
テントの設営がひと段落した頃、焚き台の方から良い匂いが漂ってきた
「みなさん、料理が出来たので食事にしましょう、ガルドさんも器を用意してくださいね」
と、ミナが食事の用意が出来たことを告げ、ガルドさんを食事に誘うと
「そいつは有難いが、良いのか?」
とガルドさんがミナに聞く、するとミナは
「料理は、皆で食べた方が美味しいですから」
と笑顔で返すので
「はははっ、違いない、それじゃあお言葉に甘えるとするか」
とガルドが了承すると
「はい、沢山作ったのでいっぱい食べて下さいね」
と言ってミナは焚き火の所へ戻り、用意しておいた器に盛りつけ始めた。
俺たちはミナ特製の野菜たっぷり具沢山シチューを食べ、食事が終わると俺とガルドさんは先に問題のゴブリンの巣穴の入り口まで偵察に赴くことになった、最初はガルドさん単独で偵察という事だったが
「もし、目的地に向かう途中で予想外の襲撃で分断された場合、俺たちのパーティーは目的地にたどり着けなくなる可能性があります、ですから俺も一緒について行って目的地の場所さえ覚えておけば分断されても再び目的地で合流できますので、案内をお願いします」
と俺が言うとガルドさんは
「なるほど、今回は調査と討伐が任務ではあるし、多少のアクシデントがあってもその方がリスクは少ないな、分断されたままだと最悪、各個撃破と言う場合もある……か、分かったよ、じゃあついて来な」
と了承してくれたので、リリアとミナには周囲を警戒しつつ休む準備をするように伝えて、俺達は森の奥へと進んでいった。
日が傾き、夕方に差し掛かるころ、俺達は目的地の洞窟にたどり着いた
「さあ、着いたぞ……あそこが出入り口のようだが見張りが立っているな、体は大きくないから、ただのゴブリンだな、そいつが2体か」
俺も注意して洞窟の入り口を観察する
洞窟とは言っても村の祭事の器具を保管していた場所であった為、入り口には両開きのドアが付いており、扉のそばの壁には松明を設置しておく台があった、入り口で見張っているのはゴブリンのようだ、辺りを警戒しているようだが、こちらに気付いている様な気配は無い、俺達は慎重にその様子をうかがう
「この時間にいるって事は夜間も見張っているかもしれんな」
「じゃあ、夜襲は避けた方が無難ですね」
ガルドさんの言葉に俺はそう答えると
「ああ、ひとまず場所は確認できたし、一旦引き返そう、ユウマお前は先に戻っていてくれ」
「ガルドさんはどうするんですか? 」
「俺は連中に後をつけられないようにチョットした仕掛けをしてから戻る、心配しなくてもすぐに戻るから安心しろ」
そう言ってなにやら懐から道具を取り出した、出てきたのは小型のスコップと麻で編んだ細いひもだ、それをなにやら地面に何か細工をしている、じっくり見たかったが先に戻るように言われたので俺は野営のテントまで引き返した、野営地に戻るとリリアが出迎えてくれた
「あら、おかえりなさいユウマ、ガルド様は、ご一緒では無いのですか? 」
「ああ、何か細工をしてから戻るから先に行くように言われてね」
「そうなのですね、こちらは片付けも終わりましたので、焚火の火を絶やさないように薪を足しておくところでしたの」
と、リリアと話していたらガルドさんが野営地に戻って来た
「ユウマ、奴らはつけていないから安心しろ、それで、明日は何時出発するんだ? 」
「明日は夜明け前に出発して、早朝に入り口のゴブリンを片付けます、その後中へ侵入して討伐を」
「それがいい、火が高くなるとゴブリンが周辺へ狩りに行ってしまうかもしれないからな、取りこぼしがあると厄介だ」
「ええ、それと夜間の見張りなんですけど、俺がまず先に見張りをやります、ガルドさんはその間に仮眠を」
「いや、最初は俺とユウマの二人で、そうだな1時間過ぎたら俺がまず見張り、その後ユウマと交代でどうだ? 」
と、ガルドさんは懐から懐中時計をらしきものを取り出して時間を見ていた、俺がその様子を見ていると
「なんだ、この時計が珍しいか? 」
「ええ、まあ、あまり見かけないなあと……多分、王都でなら見れたかもしれませんが、あいにく、すぐに出発しましたからね」
「そうかい、コイツは昔古代王国期の遺跡を発掘調査する学者さんの依頼で、工房らしき場所を調査していた時にこいつが納められていた小箱がかなり出てきてね、記念に学者さんからひとつ譲ってもらったのさ、原理はよくわからんが魔道具の一種で、1日を24の時で区切って更に1つの時を60で刻んでいてな、学者と一緒に検証してこいつが正確に時間というモノを刻んでいるという事が証明されたんだ、まあ残った箱は全て王都に送られたようだが、お前さんは見てなかったんだな」
そう言ってガルドさんは懐中時計を眺めてまた懐に納めた
「そういうわけで、時間が来たら俺が呼んでやるから、安心しな」
「じゃあ、その方針で、薪を今のうちに出しておきますね」
俺はアイテムボックスから雑貨屋で購入した薪を取り出すと予備の薪が置いてある場所へ運ぶ、そしてガルドさんと二人で見張り一時間後に俺は先に仮眠をとる為にテントへ戻るときにふとガルドさんの方を見ると、何やらペンダントの中に納められている宝石を見つめている姿を見た、その時のガルドさんは少し悲しそうな顔をしていたような気がした。
その後、夜間の見張りでは特に異常はなく、まだ日も出ていない暗がりの中、俺たちはゴブリンの巣へ向かった、事前に下見をした甲斐もあって、予定よりも早くゴブリンの巣の前までたどり着いた、見張りは相変わらずゴブリンが2体、だが少しウトウトとしているようだった、奇襲をするには絶好の機会だ、ガルドは小声で作戦を伝えた
「まずは見張りの2体を仕留めるぞ、俺は左から、ユウマは右から攻撃を仕掛けろ」
「分かった、リリアは結界魔法でミナを守ってくれ、ミナはリリアの後ろを守ってくれ」
「わかったわ」
「分かりました」
俺の指示に二人は頷くとすぐにリリアは結界を張った
「よし、行くぞ」
俺達は慎重に見張りのゴブリンに近づいていき、同時に攻撃を仕掛ける
「……⁉ 」
「!!!!! 」
ゴブリンは声を上げることも出来ずに崩れ落ちた、俺は手際良く耳を切り取りアイテムボックスへ放り込む、ガルドは扉を調べ始めた、ガルドさんの話では扉は一見すると鍵が無いように見えたが、罠が仕掛けられているかもしれないということで、先ずは罠の有無を調べ始めた、しばらくして
「大丈夫だ、罠は無い、さあ中に入るから松明かランタンの明かりを用意してくれ」
俺達はリリア達を呼んでから、荷物から松明を取り出して火をつける、火は火口箱の道具ではなくリリアの生活魔法の火種を使った、松明は俺とミナが持って明かりを確保し、隊列は先頭からガルドさん俺、リリア、ミナの順番だ
「それじゃあ、行くぞ」
倉庫に使っていたというだけあって、入ってすぐの部屋は空の木箱や何も置かれていない棚など村人が使用していた痕跡が強いものが多かった、当然ながらその部屋の住人は今やゴブリンなのだが、俺達は警戒しながら慎重に進んでいたという事もあり、部屋に居たゴブリンを難なく撃退していく
「グエッ」
「ギャアッ」
ゴブリンの悲鳴を聞き流し、手際よく耳を回収する、しかし、しばらく進むと、人工物の壁が途切れて天然の洞窟の穴が姿を現す、ガルドさんが穴の周囲や穴を調べる、しばらくして
「ここは、以前は通れなかったんだろうな、周辺に板の残骸があるし、穴周辺に何か釘のようなものを打ち込んだ形跡が多くある」
そう言って松明で現場の痕跡を見せてくれる
「という事は、この先が……」
と言う俺の言葉に
「ああ、この先がゴブリンの巣穴になる」
ガルドさんの言葉に皆、気を引き締める、この先は決して油断してはならない
「俺が引き続き先頭を進む、後ろも周囲には十分気を付けてくれ」
「分かりました、そういう訳だから、みんな気を引き締めていこう」
「ええ、もちろんですわ」
「分かりました、頑張りましょうね」
俺達は穴の中へ進んでいく、しばらく進むと二手に分かれる穴があった
ガルドさんは静かに辺りを警戒しながら穴を調べる
「二つとも罠の痕跡は無い、どうする? いずれ両方調べることにはなるが、先ずどちらから調べるんだ?」
ガルドさんは俺に決断を促す、状況から言えばどちらを選択したとしても問題は無い、ただ、調べていない片方がゴブリンのボスがいる場所であった場合、背後から襲われるリスクを常に警戒する恐れが出てくる、だが今の人数では下手に人数を分けることは出来ない、
ならば、来ないようにすればいいだけだ。
「先ず、右の穴から行きましょう、リリア左の穴を塞ぐように結界を貼る事は可能かい? 」
俺の言葉にリリアはすぐに意図を察した
「ええ、もちろん可能ですわ」
そう言うとリリアは手を左の穴の方にかざして神聖魔法の結界の壁を張る
「これでしばらくは、邪魔は来ませんわ」
「なるほど、考えたな、よしならば俺も少し罠を張って置こう」
そう言って細い麻ひもを取り出すと穴の両端に少し地面より上の方でひもを固定し、
丁度つま先が入る程度に隙間の空いたひもが横に張られる、両端の固定は釘で派手に音が鳴らぬように慎重に打ち込んでいた。
「これで少なくとも先頭の奴は確実に転倒する、まあ簡素な罠なんで、すぐ壊れちまうがね」
「いえ、これで少しは時間が稼げます、じゃあみんな、右の穴へ進んでいこう」
俺達は右の穴を進んで行く、その後、分岐らしいものは見つからず、代わりに布で仕切られた横穴を見つけるとガルドさんが先に調べる、そして中にゴブリンが居ることを確認するとガルドさんが音もなく侵入し、まず1匹、そしてゴブリンが背後に気を取られている隙に俺が切り捨てる、と言った感じで小部屋に潜んでいるゴブリンを処理していく、そしていくつもの小部屋のゴブリンを始末した後、右のルートの最奥に少し大きめの穴に間仕切りらしき布がぶら下がっている場所にたどり着いた、ガルドさんは慎重に布をめくり中を確認する、少し広い部屋のような作りになっていて、その奥に玉座のような石の台座が置かれている、そこに通常のゴブリンの倍以上の大きさのゴブリンが座っていた、まだこちらに気づいてはいないようだ。
「どうやら、当たりを引いたようだ」
ガルドさんの言葉に皆緊張する
「分かりました、俺が突入してボスと戦い、注意を惹き付けます、ガルドさんは背後に回り込んで取り巻きが居たらそれを排除してください、リリアは結界魔法で背後からの増援を警戒して、ミナもリリアのサポートを」
俺の言葉に皆も頷く
「よし、いくぞ」
俺が一気に突入する、部屋はこれまでの小部屋とは違いかなり広い、ガルドさんの言う通り、奥にひときわ大きなゴブリンが1匹、その両脇に少し離れて背の高いゴブリンが石の剣のような物をもって立っていた、俺の突入に3匹とも気付き雄叫びを上げる
「ウオオオオオオオオッ! 」
ゴブリンの雄叫びに暗くて見えなかったが辺りにかなりの数のゴブリンが居た、皆寝ていたようだが、ボスの雄叫びに目を覚まし襲い掛かって来る。
だが俺たちは低レベルの初心者ではない、ましてや俺はレベルダウンをしてはいるが未だに8980レベルと高いレベルを維持している、俺は冷静にショートソードを構え先ず右、次に左、そして正面と横一文字に切り払う、ガルドさんは俺の意図を察したかのように左、右と俺が撃ち漏らしたゴブリンを仕留めていく、正面にいたボスのゴブリンとその側近らしきゴブリンは近づく前に真っ二つになっていた。
「ヒューッ……なんて威力だ、その剣に巻き込まれたらたまったもんじゃねえな」
「ガルドさんのアドバイスのおかげですよ、いつもの剣じゃあ、壁に穴をあけるところでした」
「まて……どうやらもう片方の穴に動きがあった」
俺にはわからなかったが、どうやらガルドさんは何かが聴こえたらしい
「お前たちは此処に居ろ、俺が少し見てくる」
と言って部屋から出る
「ガルドさん、無理はしないでくださいね」
ミナは心配そうに声をかけるとガルドさんは笑って
「ははは、嬢ちゃんに心配させるほど俺はヤワじゃないよ、危なくなったらこっちに戻って来る、ユウマたちは、そこのゴブリンの処理が済んだら追っかけて来てくれればいい」
「分かりました、すぐに駆けつけます」
俺の言葉にガルドさんは片手を振って応えると、来たルートを引き返し、分岐の所まで戻っていった、俺達は手際よくボスゴブリンの耳や部屋にいたゴブリンの耳を斬って回収すると、俺はアイテムボックスに全て入れた
「さあ、ガルドさんに合流しよう」
俺達はガルドさんを追い、分岐の所まで移動する、俺達がガルドさんに追いつくと、耳を斬られたゴブリンの遺体が5,6体転がっていた
「よお、意外と早かったな、こっちはもう片付いたぜ」
そう言ってガルドさんは腰に下げた皮製の水袋を取り水を飲む
「これでも急いできたんですけどね」
「これ、一人で倒したんですの? 」
「ガルドさん、凄いですね 」
とリリアとミナが称賛するが
「いや、ユウマの方がよっぽど凄いだろ」
とツッコミを入れる、まあ、それはともかく
「残るルートはここだけですね、ゴブリンが居たという事は、また部屋みたいなものがあるという事なんですかね」
俺がガルドさんに聞くと
「さあね、まあゴブリンを配置しておく程度には、守っておきたい物があるんだろうな」
ガルドさんの言葉にミナが質問をする
「それって、宝箱みたいなものがあるんですか? 」
その言葉にガルドさんは
「あー……うん、まあそういうモノも、有るだろうな、多分」
と、何故か言い淀む、そして
「まあ取り敢えず調べればわかるが……いいか、何があっても驚くなよ」
と妙な念押しをされた、俺は意図を察して
「分かりました」
と答えたが、リリアとミナは
「ええ、承知しましたわ」
「はい、わかりましたガルドさん」
と言ったが、まだガルドさんの意図を察せずにいた、二人の反応を見てガルドさんは俺に
「いいか、もし見たら不味いモノをお前が見たのなら、二人の嬢ちゃんの眼を覆って見せないようにしろ、パニックになられても困るからな」
と少しドスの利いた低い小声で俺に忠告した、俺はゴクリ、とつばを飲み込み静かに頷くと
「よし、俺が引き続き先頭を進む、お前たちは後からついてきてくれ」
と言って先行する、俺達はガルドさんの後ろから後をついていく、しばらく進むと左右に部屋のある通路に着く、正面にも扉はあるがそこには松明が設置されていた、左右の部屋には何もなく、ただ動物の骨や、草の寝床のような物が複数置いてあった、恐らく左右の部屋はゴブリンが居たのだろう、そしてガルドは正面の扉を調べる、草を編み込んで作られたその扉は、短剣などで容易に破壊できるものだが、右の通路のような簡素なものではなかったので、やはりこの奥には何かあるのだろうという直感はあった
「やはり、罠は無いな、よし中に入るぞ」
そこはゴブリンの背丈よりも高い天井の少し大きめの部屋だった簡素な木の器、葉っぱの敷物のような物、冒険者か旅人か、はたまた行商人の物かはわからないが、様々なものが入っている木の箱、そしてひどく衰弱している人間の女性が何人も横たわっていた
「うっ……ガルドさん、これは……まさか? 」
「そのまさかだ……おい、後ろの二人は平気か? 」
ガルドさんの言葉に俺は急いで振り返る、二人とも顔面蒼白になっていた
「二人とも、見ちゃダメだ」
おれはマントで二人の視界を遮ろうとする、だが
「いいえ、これは今後もあり得る事です、なので私は目を背けることは出来ませんわ」
そう言って気丈に振舞うリリアだが、少し手が震えていた、おそらく王都での惨劇を思い出したのかもしれない、一方のミナは顔色が明らかに良くない、こみ上げる吐き気を必死でこらえているが、俺の方を見ると
「ウッ……だ、大丈夫です……ちょっと……ビックリしただけですから…… 」
引きつった笑顔でそう言ったミナだったが、顔色は相変わらず良くない、必死に耐えているが、ミナの限界を察知したリリアが気付け薬をミナに渡してミナはゆっくりそれを飲んだ、すると次第に顔色も多少良くなり、なんとか落ち着いたようである
「嬢ちゃんたちは強いな、しかしこのまま放っておくわけにもいかん」
ガルドさんの言葉に俺は頷いた
「そうですね……リリア、回復の神聖魔法で弱っている彼女たちの治療を頼むよ」
そういって俺はガルドさんと、捕らえられていた女性たちの状態を1人ずつ確認する、女性達は10代から20代ぐらいの若い女性で、1人は酷く衰弱している、2人はまだマシだが顔色は悪く汚物に体は汚れていた、そして最後の1人は、息をしていなかった、暗くて見えなかったが部屋の奥には白骨化している物もあった、数はよくわからない。
「神よ、その優しき光で傷を癒したまえ」
リリアは早速回復魔法で彼女たちを回復させる、3人はしばらくして歩けるぐらいにまでは回復した、だが息をしていなかった女性は最後まで回復しない
「駄目ですわ、この方は、もう……お願いですユウマ、あなたの力で」
リリアの言葉に俺は無言で両手を上に掲げ、完全蘇生の魔法を使う、すると息をしていなかった女性の顔色が良くなり、目を開けた、その姿に3人の女性達は涙を流し女性に駆け寄り互いに抱き合った、だが奥にあった白骨遺体は無言のままだった、やはりかなり時間が経過してしまうと完全蘇生でも復活は出来ないようだ、と頭の中で声が聞こえる
「今回のペナルティーはありません、復活させた人数は次回に繰り越しとなります」
やはり、人数はカウントされたようだ、しかしまだレベルダウンには至っていない
「これが、古の勇者の力か……これによってあれが……なるほど」
ガルドさんはとなにやらブツブツ呟いていた、兎も角、俺たちはゴブリンの犠牲となった亡骸を回収したのち洞窟を出て一旦野営地まで引き返すことにした。
もうこの洞窟にはゴブリンは居ない、俺達は別の魔物の住処にならぬように厳重に封印した後、野営地に帰ってきた、取り敢えず救出した女性達を少し休ませて、それから森を出ることにした俺たちは、ミナの料理で彼女達の体力を回復させて、野営地のテントを片付け、移動を開始し、途中でアクシデントに遭遇する事も無く、やや日が傾きかかた頃に森を抜けて、夕方には村に到着した
「取り敢えず、ギルドに報告しておこう、彼女達の事も報告して、故郷に返してあげる事が出来れば良いのだけれど」
俺がそう言うとガルドは
「まあ、その辺の事はギルドに任せるとして、さっそく報告に行くぞ」
ガルドさんの言葉に俺達は頷き、冒険者ギルドへ向かった。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
第7話では洞窟攻略と、その中で起きた「間に合ったもの」「間に合わなかったもの」を描きました。
主人公の力は強力ですが、
それでも救えないものがある――
その現実が、少しずつ重くなっていきます。
次話では、今回の出来事が村やギルドにどのような影響を与えるのか、
そして主人公たちが何を選ぶのかを描いていく予定です。
よろしければ、引き続きお付き合いください。




