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第6話 ゴブリンの洞窟、討伐へ 準備編

※第6話は大きな戦闘はなく、

今後の探索に向けた準備と情報整理が中心の回になります。

新たな登場人物もいますが、物語の助走としてお読みください。

 村に帰ってきた来た俺たちは、宿屋に戻って先ずは休む事にした、すぐに冒険者ギルドに向かおうかとも思ったが、疲労を残したまま動いても返って効率が悪いと思い、一旦休息をとる事にした


「では、ここでいったん解散ですね、私はこれから家に帰ってお父さんに会ってきますね」


 宿屋で新たにパーティーに加わったミナだが、宿屋ではなく実家に戻って休む事になったので、一旦解散としてカサドルさんと別れて宿屋に戻った


「流石に疲れたな、今日はゆっくり休んで、明日に備えることにするか」


「そうですわね、明日ミナさんとこちらで待ち合わせることにしましたので、ちゃんと起きて下さいね」


「分かってるよリリア」


こうして俺たちは、荷物を片付けて休む事にした、まあ俺はアイテムボックスがあるからほとんど荷物は無いのだが


 翌日、ミナと合流した俺たちは、村にある冒険者ギルドの支部へ向かった、目的は夜スライムの皮の納品とゴブリンに関する情報を調査するためだ


「おはようございますユウマ様、本日はどのようなご用件ですか? 」


 受付嬢のユーノさんは笑顔で俺たちに挨拶をする、ユーノさんはこのソウダ村の冒険者ギルドの受付嬢で名前は偽名との事、何でも機密保持とプライバシー保護の為で本部も含めて受付嬢は全員偽名で名乗っているらしい


「おはようユーノさん、今日は森で狩った夜スライムの素材の買取の依頼と、森で遭遇したゴブリンについての情報が欲しくて来たんだ」


 そう言って俺はアイテムボックスから夜スライムの皮を5枚取り出してカウンターへ置いた、ユーノさんはそれを受け取ると


「分かりました、では先ず夜スライムの素材の方を査定いたしますので、少々お待ちください」


 と言って一旦奥に引っ込む、俺はしばらく依頼書掲示板に貼ってある依頼の幾つかを眺めているとすぐにユーノさんが会計用のトレーに銀貨と銅貨を乗せて出てきた


「お待たせいたしました、今回は夜スライムの皮を1枚につき小銀貨1枚と大銅貨1枚で引き取りますので合計小銀貨7枚と大銅貨1枚になります、どうぞ」


 今回は、と言ったのは需給量によって価格が変動するためである、ユーノさんの話では今回は高い値段がついている方らしい


「お、これは高く売れたんじゃないか? 」


と言って俺が報酬を回収するとミナが


「そう言えば、安いと夜スライムの皮1枚につき大銅貨1枚と銅貨30枚ぐらいってカサドルさんが言ってましたね」


という言葉にユーノさんも


「そうですね、確かに他の地方でも夜スライムは生息が報告されていますので、大量に納品される年は供給が多くなりますので値段もそれなりに下落しますね」


という言葉にリリアは


「まあ、そうなんですのね、ではなるべく高い時期に買い取ってもらった方がお得ですわね」


と言うとユーノさんは


「はい、ですので夜スライムの狩猟で稼いでいらっしゃる猟師の方ですと、皮を天日で干して保存できるように加工される方は多いですね、夜スライムの皮は干して加工された品でも未加工の品と変わらない値段で引き取っておりますので、逆を言えば異常な値上がりも無いという事になりますが、当ギルドも猟師ギルドも加工品だからと言って値を下げる事は致しませんので、ご安心を」


 なるほどな……おっと、話が脱線してしまった、肝心のゴブリンの事について聞いておかないと


「なるほど……まあそれはそうと、今日来たのは森で出現したゴブリンについての報告もあったんだ、一応証拠としてゴブリンの耳を持ってきているからコッチも査定よろしく」


 そう言って俺はアイテムボックスからゴブリンの耳を入れた革袋をカウンターに置いた


「はい、では少々お待ちください」


と言ってまた奥に引っ込むユーノさん


「さて、ただのはぐれたゴブリンの集団ならいいんだが」


そう言ってしばらく待つと、また報酬をトレーに乗せて戻って来た


「お待たせしました、こちらゴブリンの耳一つにつき本来は銅貨20枚ですが、情報提供という事も考慮いたしまして耳一つにつき銅貨30枚で引き取らせていただきますので、ゴブリンの耳8個でしたので合計小銀貨2枚と銅貨40枚でございます、ご確認が済みましたらお納めくださいませ」


そう言って報酬を渡すユーノさん、何というか


「安いですわね、やはり雑魚だからでしょうか」


 いや、制限のある場所での戦闘はむしろオークより面倒だったんだが、しかし数だけはゴキブリ並みに多いと言われているだけあって、単価は安い


「ああ、確かに、じゃあ受け取っておくよ、それでゴブリンの事なんだけど」


と話を切り出すと、ユーノさんは


「はい、ここ数日の間にゴブリンの目撃証言が多く出ておりますが、場所は森の奥にある洞窟でして、本来は村の祭事に関する道具を保管しておくところだったようですが、いつの間にか住み着いたという報告が上がってきておりました」


という事は、かなり長い事ゴブリンがそこを拠点にしていたという事か


「で、いままでゴブリンがこの村に直接的に被害を与えたという報告はあるのか? 」


と聞くとユーノさんは首を横に振り


「いいえ、ユウマ様が今回ゴブリンから襲撃を受けたという報告を受けるまで被害の届け出はありませんでした、もしかしたら、こちらに報告が無いだけで、水面下で被害があったかもしれないという推測は出来ますが」


と言うユーノさん、話を纏めると森の奥にかつて村の祭事などの道具を保管する物置として利用していた洞窟が在り、いつからか、そこにゴブリンが住み着いて村人が近寄れなくなった、今のところゴブリンはこの村を襲う気配は無いが、報告が上がってない潜在的な被害の可能性は否定できない、という事か


「森の外縁部にまで出現しだしたんだ、あまり時間的猶予は無いかもしれんな」


俺の意見にリリア達も賛同する


「ええ、このまま放っておけばゴブリンの集団が夜襲を行う可能性もありますわ」


「そんな、せっかくオーク襲撃で受けた被害から立ち直ろうと、みんな頑張っているのに」


二人の意見も、もっともだ


「ユーノさん、すぐにゴブリンの巣の調査とゴブリン討伐の依頼書を発行してくれ、この村に来ている冒険者で参加してくれる人が居たらこちらで雇いたいが」


「はい、ではすぐに手配します、ただ、冒険者はすぐにはめぼしい方はいらっしゃらないと思います、何しろ各地で魔王軍による侵攻で、どの都市もかなりの被害が報告されていますし、そして現在までのこの情報も近くのまだ無事な町などの支部からの情報で、新しい情報は未だ入ってきておりません」


この村だけではなく他の都市も救うとなると、ますますここで時間を取られるわけにはいかないが、だからと言ってこの村の問題を放置するわけにもいかない、状況はかなり深刻だ


だが、やはり先ずは目の前の危機を取り除く事にした


「仕方ない、今回は俺たちだけで調査に向かおう、危険な調査になるから万全の装備で向かおう」


「分かりましたわ、では洞窟探索に必要な魔法のスクロールを購入しなければいけませんわね」


「私も身を護る為の魔法のスクロールを買います、リリア、色々教えてくださいね」


「ええ、もちろんですわ」


こうしてリリアとミナの二人は先に雑貨屋へ向かった、しばらくするとユーノさんが書類を持ってきた


「お待たせしました、こちらがゴブリンの巣穴への調査の依頼書です、パーティーリーダーの署名が必要ですので、こちらにサインをお願いします」


と羽ペンを渡してきた、俺はそれを取り依頼書の署名欄にサインをする


「はい、結構です、探索の期限は今から6日後の夕方まで、それを過ぎますと依頼は自動的に失敗となりますので、くれぐれも遅れないようにしてくださいね、万が一不慮のアクシデントで期限に間に合わず、さらに期限の日から2日が経過した時点でこちらの方で緊急クエストを発令して探索隊を別途手配する事になります、もっとも今は何処も連絡が滞っている状態ですので編成まで何時になるかはわかりませんが」


と言ってわずかに暗い顔になるユーナさん、まあそうだよなあ、しかしせめてもう一人冒険者が居れば、調査がスムーズにいくのだろうけど、まあ贅沢を言っても仕方がない、俺は依頼書を受け取り冒険者ギルドの支部を出た


「さてと、俺も洞窟調査に必要な道具を揃えておかないといけないし、雑貨屋へ行ってリリア達と合流しよう」


俺はリリア達が向かった雑貨屋へ行く、しばらく歩いて雑貨屋の看板が見えたので足早に俺は店の中へ入っていく、店内には魔法のスクロールや、魔道具、回復薬やマジックポーションなども並んでいた、また、野営に必要なテントなどのセットが一式、火をつけるための火口箱やロープ、釘やハンマー、野営用の毛布やマント、松明やランタンとその燃料の油など、必要なものは一通りそろっていた


「あ、ユウマ、こっちですよ」


「ユウマもこちらに買い物ですか? 」


「ああ、洞窟を調査するんで、松明などの明かりを買っておかないと、と思ってね」


 こうして俺たちは洞窟探査に必要になるであろう松明を中心に道具を買い揃えていくと購入した道具は俺のアイテムボックスに纏めて入れておいた



 買い物を済ませた俺たちは雑貨屋を出ると、酒場の方へ向かった、目的は旅人からゴブリンの情報が無いか調べる為である、そして酒場に着き、店内に入ると客はまばらで、そのなかで革鎧を着た中年の男性が目立っていた、身長は俺より少し大きいくらいで中肉中背だが程よく鍛えられた筋肉のせいか少し細身に見えた、その男がこちらに向かって話しかけてきた


「よお、アンタが王都を救った勇者様かい? 」


男の言葉にリリアが噛みつく


「あなた、初対面の方に対して少し無礼ではありませんか? 先ずはそちらから名乗るのが礼儀ではなくって? 」


「ああ、すまない、確かにそうだな……俺の名はガルド、ガルド・シルヴァードだ、商業都市カサンドラからこっちに逃げてきた、盗賊さ」


盗賊と聞いてリリアが


「そうですか、わたくしはリリアと申します、で……その盗賊のガルド様が、一体何の御用ですの? 」


リリアはまだ警戒している、その様子にミナは


「あ、あの、リリア落ち着いてください、相手の態度の事が許せないのは分かりますけど、もう謝っているんですから」


そういってリリアを説得する、俺はリリアに


「俺の事を思って怒ってくれたことは嬉しいよ、でもそろそろ許してやってくれないかな」


俺の言葉にリリアは


「まったく、ユウマは甘いですわ、ですがユウマの言う通りですわね」


そう言ってなんとかその場は納めてくれた


「いきなり声をかけた無礼は謝るよ、すまねえ」


とガルドも謝罪したので、俺達はガルドのいたテーブルで話を聞くことにした、そこで改めて自己紹介を済ませると、早速本題に入った


「俺はさっき冒険者ギルドに行って仕事の依頼を受けようとしたんだが、あいにく最近は一人で受けられる依頼はあまり無くってな、そうしたらユーノの嬢ちゃんがゴブリンの巣の調査の依頼で参加する冒険者を探しているって聞いたんで、人を集めるなら酒場だと思ってここで待っていたのさ」


「という事は、あなたが今回の調査で協力してくれるという事ですか」


「まあ、そういう事になるな、俺の職業は盗賊だが、昔は遺跡調査や敵の拠点へ侵入して情報を持ってくる仕事を請け負った事もある、罠や鍵開け、斥候から何でもこなすぜ」


みたところ、このガルドって人はかなりの場数を経験しているベテランの冒険者のようだ


「まあ、その様な事をなさっているのですね」


「すごいですね! この人、かなり頼りになりそうですね」


二人の言葉に俺も頷く


「ああ、そうだな……ガルドさん、ゴブリンの巣である洞窟を調査するにあたって今の俺たちの装備で何か不足しているものってありますか? 」


と言う俺の質問にガルドは、酒を少し煽りつつ


「うん? そうだな、じゃあ遠慮なく言わせてもらうが……先ず女の装備が弱すぎる、肌もまだ露出が多い、もう少し露出を避ける服を着た方が良い、あとユウマくん、だったかな」


「は、はい、なんですか? 」


「おまえさん、洞窟で戦う時も、その剣で戦うのか? 」


といってガルドは俺の腰にある剣を指さす


「ああ、そのつもりだけど」


その言葉に、ガルドは頭を掻いてため息を吐く


「あのなあ……ゴブリンがねぐらにする洞窟ってのは大抵は通路も狭いし天井もそんなに高くない、そんな所でそんな長い剣を振り回してみろ、壁やら天井に当たるやらでまともに戦えねえ、それどころかその一瞬のスキを突かれて、やられるリスクだってある、悪いことは言わねえ、武器屋に行って取り回しの便利な短剣とショートソードを買ってこい」


と俺たちはガルドさんに装備のダメ出しを喰らってしまう


「なるほど、分かりました、じゃあ改めて今から買い物に行くのでそこで待っててください」


と言って席を立つと


「まて、何か心配だから俺もその買い物に同行するぜ、一緒に見れば色々助言も出来るからな、お前さんかなり腕は立つみたいだが、どうも冒険慣れはしていないみたいだからな」


 と言う訳で、俺たちはガルドさんと一緒に改めて装備品を購入する事になった、ガルドさんの指摘は的を得ており、俺たちは万全の態勢で調査に向かうことが出来るようになった


「おお、いいねえ、これなら安心だ、改めてよろしく頼むぜ! 勇者殿」


「からかわないでくださいよ、ガルドさん」


俺達は改めてガルドさんと共に、森へ向かう為に村を出発した、森までの道のりは一度行った事もあり順調に到着した、そしていよいよこれから森へ入り、その奥にあるゴブリンの巣へ向かう事になる


「さて、では行きますか」


何だか、ガルドさんは頼もしく見えた


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

第6話は、洞窟探索に向けた準備と、新しい人物との出会いを描きました。


次話からは、いよいよ実地の探索に入ります。

慎重さが求められる場面も増え、これまでとは違う緊張感のある展開になります。


よろしければ、引き続きお付き合いください。

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