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第17話 コルダ地方動乱 「カサンドラ奪還戦 前編」

という訳で、第17話です


コルダ平原の会戦を経て、次はカサンドラ奪還戦へ移行しました。

今回は作戦の確認と、市街地での掃討が中心の“前編”になります。

よろしければお付き合いください。


 コルダ平原の戦いは将軍アダクイカーンをユウマが討ち取り、敵部隊もライアスやゲスの活躍により壊滅……第6・7王国騎士団の勝利となった。


 そして本陣ではカサンドラ奪還に向けた軍議が開かれていた、ゲスはこのままの兵数でカサンドラ奪還に向けた兵の割り振りを進言するが、そこにライアスが意見をした


「カサンドラへの奪還戦では市街地が主戦場となるが、うちの騎兵隊では分が悪い、そこでゲス・イネンが率いる槍兵旅団が先鋒を務めてはどうだろうか」


ライアスの提案にゲスは顎をしゃくりながら頷く


「ふむ、確かに市街戦では細い路地や障害物、視界を遮る建物など騎兵にとって不利な要素が多いのは事実だな……では、騎兵旅団は後詰として大通りを中心に進軍を進めて、ここの中央広場で合流するというのはどうだろう、合流後にカサンドラの代官屋敷へ進軍し制圧するのだ」


 そう言ってゲスは指示棒でカサンドラの地図にある通りや広場を指し示す


「そしてユウマ殿はライアスと共にカサンドラの残存兵力及び魔物の討伐をお願いしたい、これはかなり時間が掛かる事になるが、この都市の規模から考えれば1日で掃討は流石に無理だ、それに安全を確保しておかなければ復興もおぼつかないだろう、そう言った意味もあるので念入りにやってほしい、どうかね? 」


ゲスの言葉に俺は承諾の意思を示した


「急ぎの旅ではありますが、俺に出来る事ならば喜んでやりましょう」


俺の言葉にゲスやライアスも頷く、そしてリリアが発言をする


「では、大まかな方針はそれでまいりましょう、ユウマはこの戦いの後で完全蘇生魔法を使ってください、それまでは何があっても使用する事はなりません、良いですね? 」


「それ……は、いいえ、分かりました」


 ユウマは何かを言おうとしたが、リリアの方を見た時、リリアは人差し指を立てて口元に当てウインクをして沈黙を促したため、ユウマは黙ったのだった、ミナは会議に参加していたが、敢えて発言する事も無かったので黙って聞いていたが、会議が終わると


「じゃあ私は、皆さんの為に腕によりをかけて炊事係の皆さんと美味しい料理を作ってきますね」


そう言ってミナは炊事場へ向かっていった


 さて、作戦会議の後、ゲス・イネンとライアス・カ・レイジャスはリリアの呼びかけでユウマの居る天幕を訪れた


「リリア様、ユウマ様の天幕へ来るようにと言われて来ましたが、一体何の用ですかな」


「わざわざ呼ぶとなれば余程の事とは思いますが、何用でありますかな? 」


ゲスとライアスの言葉にリリアは優しく微笑む


「よく来てくれました、お二人をお呼びしたのは他でもありません、ユウマの仲間として勇者の加護を授ける為の儀式を受けて頂きます、この事は事前にユウマと話し合って決めましたので、何も問題はありません」


リリアの言葉にユウマも頷く、しかしゲスは反論する


「いやいや、これが何を意味するのか分かっておられるのですか? 私とライアスが勇者の仲間の加護を受けるという事は、天聖石の効果を享受してレベルアップと上限突破を可能とするという事ですぞ? 勇者の加護の能力は戦闘力のバランスを崩壊させる危険もあります、魔王と対峙する上では有効でしょう、ですが我らが信用に足ると思った根拠は何ですか? 」


ゲスの反論にライアスも同調する


「我等を高く評価して頂くのは光栄に思います、ですがその能力についてはゲスから聞きましたが、あまり軽々に使用するべきものではないと私でも分かります、今一度お考え直しては頂けませんか? 」


ライアスの言葉にリリアは微笑みを崩さない


「御二人の言葉はもっともだと思います、ですが最初の魔王侵攻軍に対してどの騎兵旅団よりも早く戦地に赴くことを父に進言した事、コルダ奪還戦及びコルダ平原での戦いに至るまでのお二人の活躍、全てを考慮に入れたうえでの今回の決断です、あなた達が心配する事は何ひとつありませんよ? 」


変わらず優しく微笑む穏やかな表情ではあるが、リリアの言葉はゲスとライアスの心に深く刻まれた、ライアスが口を開く


「何とも過分な評価、このライアス、そこまで言われて拒む等あり得ません、女王陛下とユウマ殿のご厚意、謹んでお受けいたします」


「同じく、女王陛下とユウマ殿のご厚意、拝領いたします」


 こうしてゲスとライアスは早速勇者の加護の儀式を執り行った、今後ゲスとライアスは天聖石の捜索とレベルアップに奔走し、来るべき魔王との決戦にユウマと共に並び立つことになるのだが、それはまた別の話である


翌朝、前夜の作戦通り先ずはゲス・イネン率いる槍兵旅団が先行してカサンドラへ入り、門の傍に潜んでいたゴブリン兵やオーク兵の残党を着実に狩っていく


「やはり物陰に潜んでいたか……予定通り建物を1件ずつ調べていくぞ、3人一組で事に当たれ! いいか、どんな物陰も見逃すな! 」


 そしてまずは手近な建物から掃討を開始、少しずつ安全を確保していく、そしてユウマ達は槍兵旅団が取りこぼした魔物の駆逐や細い路地に逃げ込んだ魔物たちを相手にしていた


「リリア! 1匹取り逃した! 」


ユウマの声にリリアは笑顔で答える


「お任せ下さいまし! イビルサーチ! 」


リリアの神聖魔法で陰に潜んでいた魔物の姿があらわになる


「見えた! これでも喰らえ! 」


続いてミナのマジックボウガンで牽制


「ギギッ!? 」


マジックボウガンの魔法の矢に驚き、魔物は開けた場所へ出てしまう、そこに


「そこだ! 」


待ち構えていたユウマが斬り伏せる


「ギョエッ! 」


ユウマが斬撃で掃討するという流れで次々と都市内部に潜んでいた魔物を打ち倒していく


「リリアもミナも大丈夫か? 」


ユウマは市街地戦で二人とはぐれないように気を付けながら戦う


「ええ、こっちは大丈夫ですわ、ユウマも無理をなさらないでくださいまし、いつでも回復魔法が必要になったらお声をかけて下さいまし」


 リリアはユウマの邪魔にならないように距離を取りながらも、神聖魔法でスケルトンなどのアンデットモンスターを浄化していく、一方ミナはソウダ村でのトラウマを克服できるかどうかの場面に出くわしていた


「だ、大丈夫……私はもう弱くない、そう……大丈夫……うん」


 ミナの目の前の通路の先にはオーク兵が居た、村を襲ったオークとは違い、訓練された魔王軍の兵士としてのオークだが、そのオークはまだミナの存在に気付いていない


「お、落ち着いてやれば……あんな大きな的、外したりはしない……けどっ」


 身体が思うように動かない、手の震えがボウガンに伝わり、オーク兵を捉えているはずの照準がブレる、頭では分かっている、だがあの村での惨劇と恐怖が、未だに脳裏に張り付いて離れない、泣きそうになるが、必死でこらえている、その異変に気付いたリリアは優しく声をかける


「ミナ、無理をする必要はありません、ここは私とユウマに任せて…… 」


だが、ミナは拒絶した、甘えを断ち切るかのように声を上げる


「駄目なんです! それじゃあ私は、何時まで経っても守られてばかりなんです! ずっと、ずっと証明したかったんですよ? ……私だって、ユウマとリリアの仲間なんだ……って、だから平原の戦いにも積極的に参加した! そして今度は私の心に居座っている、あのオークを消したいんです! その為には、絶対に! 私がやらなきゃいけないんです! 」


 ミナの声に気付いたのか、通路で辺りを見回していたオーク兵が、ミナの姿を捕らえると雄叫びを上げて突進してくる! 


「ううっ、いやだっ……怖い……でも! 」


 恐怖にミナは一瞬目を閉じたが、何かを決意したように目を見開き、ボウガンを構える……震えを無理やり抑え込むかのように絶叫する


「あああああああぁぁっ! 」


そしてマジックボウガンの矢は放たれた


「ウガアアァッ! 」


オーク兵は1発目のマジックボウガンの矢を斧ではじく、だがミナはキッとオーク兵を睨みつけ、マジックボウガンを構え直す


「う、うわあああああああぁぁっ! 消えろ! 消えて! お願い! 」


絶叫しながらも照準はピタリとオーク兵を捉え、2度3度とマジックボウガンの矢は放たれた、それは確実にオーク兵の身体に命中し、魔力の矢はオークの身体に風穴を開けていく


「ギャアアアァァ! 」


 ズシン! と響く音とともに、オーク兵はミナに近づく前にマジックボウガンの矢で急所を射抜かれて絶命し、倒れた……ミナは荒い息をたてている


「ハァッ、ハアッ……や、やりました、私……オークを、やっとこの手でやっつけた……ううっ 」


力無くへたり込み、膝を落とすミナを慌ててリリアが受け止め、抱きしめる、ミナの絶叫に気付いたユウマも駆けつける


「ミナ、よく頑張りました……あなたは紛れも無く私たちの仲間ですわ」


「よく頑張ったな、ミナ」


優しく抱き寄せるリリアと2人の優しい言葉に、泣きそうになったミナだが、グッと口を引き締めて鼻をすすった後、震えながらも笑顔でミナは答える


「グスッ……リリアぁ……ユウマぁ、エヘヘ……私、これで……やっと、やっと一人前の勇者の……仲間ですね! 」


 そしてその後、ユウマ達が中央通りに戻ると、後詰のライアス率いる騎兵旅団の伝令兵から連絡があった、ゲスが率いる槍兵旅団はカサンドラの練兵施設及び寄宿舎の確保に成功したという、これでカサンドラ奪還は3分の1が完遂した事になる、だがまだ油断は出来なかった、上空にいるはず竜騎兵の生き残り、その2体が未だに見つかっていないのだから。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。


カサンドラ奪還戦は前進しましたが、まだ終わりではありません。

市街地の掃討が進むほど、残っている「見えない脅威ほぼバレてますが」も気になってきます。


次話では奪還戦の続きと、残された不穏もろバレに踏み込みます。

引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。

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