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第13話 コルダ地方動乱 御旗の元に

第13話です。

 出陣した各部隊が合流し、いよいよ状況が一気に動き始めます。

ただ今回は戦闘よりも情報と判断、そして作戦の確認が中心になりますが、

物語の縦軸が大きく進む回です。

よろしければお付き合いください。

 夕刻にリンドルム砦を出陣したライアス・カ・レイジャス子爵が率いる王国騎士団第六騎兵旅団1,000名は丘陵地帯を抜けて今は廃砦と言われている旧アルガス砦を目指して進軍していた、ユウマ達もライアス旅団隊長の計らいで軍馬を提供されて第六騎兵旅団と同行していた、ちなみにライアス旅団の編成は以下の通りである


重騎兵が300人 密集陣形への突撃や敵中核破壊など決戦の主力

中騎兵が220人 機動打撃・側面攻撃など重騎兵に次ぐ主力

軽騎兵及び斥候が130人 軽装で弓を持つ場合もある 偵察・攪乱を担う

騎射(騎乗弓)兵が120人 馬上からの複合弓による機動射撃を行う遠距離支援部隊

歩兵随伴(砦内戦用)が80人

参謀担当・旗本が40人 参謀担当は作戦立案や情報統合など戦術的な判断を行い、旗本は指揮官直属の親衛・伝令集団で軍旗を背負い戦場の騎兵へ伝令を行う

医療担当・神官が30人 医療担当は戦場での負傷兵の救護や回復、神官は治癒魔法や魔族に対抗する

輜重(しちょう)(補給)・厩舎・工兵が80人 輜重は物資補給品の管理、厩舎は馬の世話、工兵は潜入ルートへの土木工事や陣地構築など

以上、合計兵力1,000名の部隊がアルガス砦を目指しているわけだが、リンドルム砦からの移動の場合はユウマ達がコルダの街からリンドルム砦へ向かった時のように馬車と徒歩で3日、全て徒歩だった場合は4日掛かるが、ライアス率いる部隊は通常の行軍速度でも2日の距離を1日で進む、そして馬に乗らない歩兵部隊が80人もいる状態の為、行軍速度は基本的に遅い方にあわせるのだが、それでもこの速さである。

そういう訳で予定よりも早く初日は深夜で行軍を止めて野営を行う、そして翌早朝に手早く野営を撤収して出発、一路アルガス砦を目指していく……


行軍が順調に進む中でライアスと同行しているユウマ達であるが、リリアやミナは平然と乗りこなしている一方、ユウマは冷や汗をかいていた、高レベルの為にスキルとしての騎乗スキルは有るのだが、ユウマ自身の乗馬の経験はゼロの為、体は騎乗をこなしているがユウマ自身が緊張するという奇妙な現象が起きていた、不自然な状態を気取られまいとユウマは努めで冷静にリリアに話しかける

「リリアは、なぜそんなに乗馬が上手いのかな、普通王族って馬車で移動するものじゃ無いの? 」

と言うとリリアは笑って

「フフフッ、やはり不思議に思われますか? 確かに王族は公務で外遊の際には馬車で移動いたします、ですがそれとは別に乗馬を幼い頃より学びますの、これも貴族のたしなみですから、それに乗馬は良い運動にもなりますのよ? 」

という事らしい

「へ、へぇー……そうなんだあ~……凄いねえ……あ、そう言えばミナも乗馬が上手いけど、それは何故なんだい? 」

俺がそう言うとミナは

「ああ、これですか? 以前ソウダ村では農耕馬の生産や飼育をする牧場があるって言いましたけど、小さい頃から父と一緒に馬に触れる事があって、そのうち厩舎のお手伝いをしたり農耕馬の誘導の為に引き馬や乗馬もしたり、時には父の用事や馬車屋から頼まれて、街から馬車用の馬の買い付けに同行したり、父の代わりに他の村まで馬に乗ってお使いに行ったりしていたんです、だから軍馬は初めてでしたけど、一応乗る事は出来るんですよ」

という事は、やはりスキル能力だけでなんとか馬に乗っている自分だけが緊張しているわけか、早く慣れないと……いつかボロが出そうだ

「ああ、そ、そうなんだ、凄いねえ……ミナは」

「? 」

と、目いっぱい平静を装っているが、さっきから冷や汗が止まらない、とライアスのいる騎馬隊列に伝令の早馬がやって来た

「私は王国第七槍兵旅団配下の伝令です、ライアス様宛の書状を預かっております、確認の後に返答を頂きたい」

ライアスの配下が書状を受け取ると内容を確認する

「封蝋に刻まれた円に塔のシルエットの紋章から、ゲス・イネン子爵の書状で間違いありません」

そう言ってライアスに渡す、とライアスは封を開き書状を読む

「ふむ、ゲス・イネンの部隊は街に残っていた避難民を連れて一足先にアルガス砦へ向かったそうだ、今コルダの街には衛兵100人しか居ないらしい、伝令へ告げる、書状の中身は確認した、我々は予定通りアルガス砦へ向かう、しばし待たれよと伝えてくれ」

ライアスの言葉に伝令兵は

「確かに承りました、では急ぎますので」

そう言って伝令の早馬は去っていった、馬の行く先を見るとアルガス砦方面である事が判る、ライアスは全体に命令を下す

「急ぎアルガス砦へ向かい合流するぞ! 前進! 」

ライアスの第六騎兵旅団は進軍速度を上げて目的地へ向かう、スキルで何とか乗っている俺以外は整然とその速度についていった、その甲斐もあって予定よりも二日早く目的地のアルガス砦に到着した、行軍日程としては3日目の朝に到着であるが、そこで見たものはおよそ廃砦とは言えない姿だった、崩れた壁は土を麻袋に詰めて積み上げた土嚢と板で補強してあり外側にも空堀が造られている、木製の物見櫓や屋根の落ちた建物には木の屋根を覆うなどして、防御はそこまででは無いものの修復が進んでいるように見えた

砦の門前に着くと一人の騎士が馬に乗ってこちらに向かってきた、最低限の急所を覆うブレストプレート、脚の防具も必要最低限、そして鎧の下は貴族が屋外で狩猟を行う時に着るような丈夫だが簡素な衣服、そして頭部は銅製のサークレットをつけていたので表情が分かりやすかった、肌は色白で一見すると軟弱な優男にも見えるその男は、ライアスの前まで来ると

「おやおや、早朝に何やら五月蠅い音が聴こえたと思ったのですが、君でしたか……随分と速い到着ですな、ライアス殿? もしも遅れたなら砦に籠っている間に軟弱になってしまったのかと、笑ってやろうと思っていたのに残念です」

その言葉にライアスは眉をピクリと動かし

「ご期待に沿えず申し訳ない、ゲス・イネン殿、こちらは普通に進軍していたつもりだったのだがね、まあ引きこもりの達人である君と違い日頃から鍛えているので仕方ない」

と返すとゲス・イネンは

「これはこれは……ですが、生憎と私どもの部隊は皆優秀で理性的に動くのでね、何処かの『脳筋』とは違いますよ」

と返す、すかさずライアスは

「士気が高いと言ってもらいたいね、それに私は現場を重視するのだ……何処かの『頭でっかち』とは違ってね」

そして緊張感のある両者の沈黙


 俺から見て両者の顔は笑顔だが、漂う雰囲気や目が笑っていないのは……多分気のせいだと思いたい。


始めに口を開いたのはライアスだった

「ところで、そんな嫌味を言いに此処まで態々出迎えたのか? 」

と聞くとゲス・イネンは

「まさか! そのような事の為にここまで来るほど暇では無いよ、先ずは砦の中に入ってくれたまえ」

ゲス・イネンの言葉にライアスは片手で制止して

「いや、その前に彼らを紹介したい」

そう言ってライアスは部下の騎兵に合図した後に馬から降りる、その騎兵がこちらにやって来た

「ライアス殿がお呼びですので、こちらへ」

騎兵に案内されて後をついていき、促されるままライアスの横に並ぶ、後ろにはリリアとミナも居る、ちなみに3人とも馬に乗ったままである、ライアスはひざまずき、俺はゲス・イネン隊長と思われる騎士に対峙して一礼した後に冷静に言葉を紡ぐ

「お初に、お目にかかります、私はユウマと言います、以後お見知りおきを」

ひとつひとつ確かめるように言った後、リリアが馬に乗ったまま俺のとなりに並ぶと

「ようやく思い出しましたわ……あなたは魔王軍との戦いに備える王宮会議の時に、ライアス子爵と共に出兵を進言してきた方ですわね? 久しいですわねゲス・イネン子爵殿? 」

というリリアの言葉にゲス・イネンはハッと向くと、急ぎ馬から降りて臣下の礼を行う

「恐れ多くもリリア様に対し馬上よりの対面……失礼いたしました、おっしゃる通り私はライアスと共に魔王軍侵攻阻止の為に参陣した第七槍兵旅団を預かっております、ゲス・イネン子爵でございます、先程の戯れは平にご容赦を」

と深々と首を垂れる、その言葉にリリアは

「よいのです、ゲス・イネン子爵殿、顔を上げてください……私は貴方のライアス子爵に対しての行為は、少しも咎める気はございませんわ、それよりもコルダの民を救うために、軍議を開いていただきたいのですが、よろしいですか? 」

その言葉にゲス・イネン子爵は顔を上げ

「王女殿下の、仰せのままに」

と言ってすぐに中へ案内してくれた、中の施設は殆どが急ごしらえの修復であったが、各地から人を集結させたこともあり、必要最低限の機能は揃っていた、ゲス・イネン子爵の案内で砦内部にある大きな野営用天幕に入り、簡素な机とその上にはコルダ地方を中心とする地図が広げてあり、地図上には部隊を見立てたコマが置いてあった……丁度この廃砦に当たる場所に青い色のコマが三つ、その先にあるコルダの街に当たる場所には赤いコマが一つ、更に少し離れた、恐らくカサンドラの位置に赤いコマが複数置いてあった、ゲス・イネンは机に置いてあった指示棒を手に取ると説明を始めた

「さて、今見ている地図上のコマが各勢力の兵の位置になります、リリア様がこちらに到着するまでに、斥候から入手した情報ですが、コルダの街の守備兵力は依然として衛兵100名程です」

ゲス・イネンは指示棒で地図上のコルダの街にある赤いコマを指して説明する

「コルダの街の衛兵は確かエゴトス子爵の直轄ではありませんでしたか? 」

リリアはゲス・イネンの説明に対し、衛兵の事について質問をすると

「おっしゃる通りです、しかしこちらはここからの狼煙による合図で我らの指揮下に入る手はずになっておりますので、ライアス隊がそのまま街に入りエゴトス子爵邸前に包囲布陣する予定となっております、捕縛後は再び出陣してカサンドラへ進軍する我らと合流いたします」

ゲス・イネンの話にリリアは続けて質問をする

「衛兵に関しては分かりました、冒険者ギルドの動きはどうですか? 」

「冒険者ギルドですが、先程ギルドの方から書状が届き、ユウマ殿が街に入り次第、冒険者数名が応援として合流するとの事です……ただ冒険者ギルドは立場上中立ですので今回の戦には直接介入は致しません、あくまでカサンドラ迄の護衛ですので間違いの無いように」

ゲス・イネンの説明にライアスが意見をする

「カサンドラにいる魔族アダクイカーンと、その軍勢の動きはどうなっている」

ライアスの言葉にゲス・イネンは指示棒で

「今から説明する、カサンドラに居座っているこの魔族ですが、複数の斥候の情報から援軍として竜騎兵が少なくとも3体確認されたとの事です、軍勢は少なく見積もっても1500体です、そのうち中核となる魔族の数は300と言ったところですが、1体当たりの戦闘力は並みの兵士の数倍とお考えになった方がよろしいでしょう、指揮官であるアダクイカーンは私とライアスが戦えば、苦戦はしますが勝てるとは思います、しかし軍勢の指揮を行う関係上あまり突出するわけにもいきません、ですのでアダクイカーン討伐の際にはユウマ殿に協力をお願いしたい」

ゲス・イネン子爵の言葉に俺は頷いた

「その役目、任せて下さい」

ユウマの言葉にゲス・イネンは

「有り難い、兵数は互角以上だがここで編成した民兵は志願兵で士気は高い、しかし兵数は600名が限界だった、そして出撃可能な練度に達しているのは200名、私の槍兵と共に進軍して練度をさらに上げても民兵は後方支援が妥当だ、犠牲は少ないに越したことはない」

ゲス・イネンの言葉にライアスが

「やはり損害は避けられないか」

と言うとゲス・イネンも

「無い方が良いが、無傷とはいかないな、出来るだけ対策はするつもりだがね」

と言うとリリアは

「これも戦の定めです、ですが心配する事はありません、ユウマ様の力をもってすれば犠牲者を無くすことも不可能ではありません、ですよねユウマ? 」

リリアの言葉に俺は

「ああ、勿論だ」

と答えたが、実のところ復活のペナルティーについては、まだリリア達に話していないので、レベルダウンの影響がどの程度響いてくるのかは未知数なのが、不安ではあった、

ユウマの言葉にゲス・イネンは、やや間を置いて答える

「なるほど、それは頼もしい限り、ならばこちらも存分に戦って見せましょう」

ゲス・イネンは口調こそ冷淡だったが、俺達に期待しているようだった


引き続きゲス・イネンは説明を続ける、指示棒でカサンドラの街の赤いコマを指した

「カサンドラに居座るアダクイカーンとその配下の軍勢ですが、前日まではコルダの街の周辺にある宿場町の手前まで進軍していたという情報でした……ですがその後、ライアスやリリア様が到着する直前に斥候から新たな情報が来まして、アダクイカーンとその軍勢が進軍を止めてカサンドラに引き返していったそうです」

ゲス・イネンの言葉にライアスは

「引き返した? 一体何があったのだ? 」

ライアスの問いにゲス・イネンは首を振る

「分からん、しかし『連中にとって余程都合の悪いこと』が起こったのではないかと推察は出来る」

そしてゲス・イネンは俺達に

「軍議の後に、私の執務室まで来てもらいたい……リリア様もよろしいですか? 」

という言葉に俺達は了承した


ゲス・イネンはその後の方針も説明する

「今日は英気を養い、休息を取り翌朝にライアスと私の軍はコルダの街へ、同時に民兵200も進軍し、コルダの街に着いたら私の第七槍兵旅団と民兵はカサンドラに近い宿場町へ向けて道沿いに行軍する、宿場町に到着後、補給したのちに宿場町から少し離れたコルダ平原で防衛陣地を構築、陣地構築後民兵200は後方支援部隊としてライアスの旅団合流ギリギリまで練兵をしておく、ユウマ達はライアスらと共にコルダの街へ向かう、こちらの合図で内応した衛兵100人とライアスの歩兵小隊80人のうち20人と共にエゴトス邸へ突入、邸内に潜んでいる護衛を排除してエゴトスを捕縛したのちに、歩兵部隊80名を衛兵と共にコルダの抑えとして配置、残りの兵はカサンドラへ向けて進軍、コルダ平原に防衛陣を構築した私の旅団と合流、相手の出方を伺いつつカサンドラへ向けて進軍し攻勢をかける敵が打って出たならこれを撃破、そうでないならカサンドラ突入後内部に潜むアダクイカーンとその軍勢を撃滅する」

ゲス・イネンの説明の後に俺は質問をした

「エゴトス子爵はどうするのですか」

俺の質問にゲス・イネンは

「ライアスの部隊から10名選抜し、捕縛したエゴトスを一旦街の衛兵詰め所の牢に留め置いた後、軍事裁判を行い王都まで護送する事になる、但しこれはカサンドラ解放後だ、あくまでも我々の今回の最終目的はカサンドラにいる魔王軍の排除、そしてカサンドラの解放だ」


ゲス・イネンの説明の後

「何か他に質問はあるかね? 民兵の事でもアルガス砦の事でも、答えられる範囲で答えよう」

と言うとライアスが手を上げたが

「貴様には聞いていない、私はユウマ殿やリリア様、そしてミナ君かな? この方々に聞いたのだ、ライアス……お前は聞かなくとも大体把握しているだろう」

と言って俺達に聞いてきたので

「あ、では質問なのですが、魔族が少数でもコルダの街に侵入してくるという可能性はありますか? 」

と俺が聞くとゲス・イネンは

「それは今のところ無いと言っておこう、たしかにエゴトスは魔族と結託したが街には外からの魔族に対する防壁も付与されている、たとえ連中が空を飛んできたとしても侵入は出来んよ、万が一突破できても反応が教会に伝わるようになっている、ここの教会は街の結界の管理も担っているのでね」

というゲス・イネンの答えに今度はミナが質問する

「あのう、その外壁で外からの侵入は難しいことはわかったんですけど、もし、エゴトス子爵っていう人の屋敷の中に魔族を呼び寄せる仕掛けなんかが有ったら……どうするんですか? 」

という質問にゲス・イネンは、少し感心する

「ほう、いい質問だ、見た所村娘と言った感じに見えるが、なかなか賢いようだ、確かにその可能性もあるが……それは無いと断言できるよ」

ゲス・イネンの答えにミナも食い下がる

「何故断言できるんですか? 証拠があるというんですか? 」

ミナの言葉にゲス・イネンはクフフフッとちょっと気持ち悪い笑い方をして

「うわぁ…… 」

と、ミナを軽く引かせた後、ゲス・イネンは軽く咳払いをして答える

「それは簡単だよ、ガルド君にエゴトス子爵の契約書を盗むように依頼したのは私なのでね、ついでに屋敷の見取り図も入手してもらって、邸内も調査してもらったよ、まあエゴトスは紛れも無い凡夫だったことが、コレで証明された訳になるがね」

と言ってエゴトス邸の見取り図も広げて見せた、これにより、突入もかなり容易になった事になる、ゲス・イネンは指示棒で邸内の地図の一か所を指す

「邸内にもし護衛が居るとすれば、ここのエゴトスの寝室につながる執務室になるだろう、出入り口は1つしか無いので倹や……ケチなエゴトスが最低限の警備を配置するならここしかない」

何故わざわざ悪いイメージの方に言い換えたのかはさておき、これで作戦の大筋は決まった、軍議は解散し、俺達は兵士の案内でゲス・イネンの私室がある家屋に入るとゲス・イネンは

「内密の話だ、私とユウマ君たち以外は席を外してくれ」

と言って兵士たちは部屋を出て扉が閉まる、部屋にはゲス・イネンと俺、リリア、ミナの四人だけだった、そしてゲス・イネンは

「さて、では均衡鎖について話しておこう、これは絶対に口外しないでいただきたい、何しろユウマ殿と魔族との力関係の話になるからね……そうですな、リリア王女殿下? 」

俺とミナはリリアを見る、リリアは申し訳なさそうな顔で

「ごめんなさい……ユウマ、黙っていたことは謝ります、ですが悪意あっての事ではありません……均衡鎖、これは魔王を倒すための秘密であると同時にユウマの命に関わる事なので、打ち明ける時期を慎重に見極めていたのです」

俺のいのち? つまりレベルダウンで1を下回ったときに起こる事をリリアは知っていたのか……だが魔王を倒す為とはいったいどういう事なんだ? もしかしてガルドもこの事を知っているのか? いくつもの情報に頭が追い付かない、だが一つだけ確かな事がある……俺は確証を得るために、それをゲス・イネン子爵に問いかけた

「ひょっとして、レベルが下がると魔王は……弱くなるのですか? 」

リリアは黙って頷き、ゲス・イネンは

「そうだ……だからこそ、この事実は外部に漏らすわけには絶対に行かないのだよ、意味は分かるね? 」

俺は沈黙で答え、ミナは言葉を失ったように両手で口元を覆う、均衡鎖の謎は一つ明かされた。


第13話をお読みいただき、ありがとうございます。

この話では盤面が揃い、作戦が具体化しました。

そしてここまで断片だった「均衡鎖」というワードも、ようやく意味を持ち始めます。


次話からは机上の作戦ではなく実行の段階へ。

想定通りにいくのか、それとも――。

引き続きお付き合いいただければ嬉しいです。

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