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第12話 頼むから風邪だって言ってくれぇぇぇ!

前の状態だと、話的に?と思う人も多かったと思います。すいません……。

なので、自分のできる限り、話をつなげられるように、書きましたので、読んでください!

暗く、少しでも自分というものを失えば飲み込まれてしまうような、暗闇の中俺は、並木が少し枯れはじめている道のアスファルトが二手に分かれているところで、止まった。

萌乃が入って行こうとしている小道は、暗く、街灯が少ししか無い上に、その頼りの街灯もチカチカと消えかけている。

正直萌乃に家までは来ないでと言われなかったら、確実に送っていることだろう。

すると、先程から下を向き、暗く沈んだ表情の萌乃が一言小さな声で言った。


「……ここで良いから……じゃあね……」


明らかにそのじゃあねは、いつもの俺に元気をくれる笑顔は無く、今にも、消えて無くなってしまいそうな、辛く寂しいという感情が含まれているように感じた。

しかし、俺にそんなことを言えるほど、今のこの場に発生する空気は、軽くは無かった。


「あっああ……じゃあな……」


俺がそういうと、萌乃は暗闇に吸い込まれていくように、小道に消えた。

小さく、夜風にたなびく金色の髪は、一瞬黒色に染まったように見えた。


「さて、俺も帰るか」


この時の状況に違和感を感じながらも、見て見ぬ振りをしてしまっているように感じた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




翌日…………


俺は、朝から明るい太陽に照らされながら、少し冬を感じる風景が広がる並木道をフルマラソンでも、しているかのようにいつものようにひたすらに走っていた。

俺何やってんだろ。

走っているといつも思う。



そして、いつものように、白いドアを横にスライドして、教室に入った。

俺が入ると共に先生が言った。


「あらっ坂神君珍しく遅刻じゃないわよ」


なめとんのか。

まず、最初のあらっの時点でいらつくわ。

俺は、一息ついて自分の席に座る。


「萌乃は、まだ来てないのか……」


隣を見ると、萌乃が来る前までのように、綺麗な椅子と机が人もいないのに並んでいた。

俺は、なぜかは良く分からないが、違和感と言うには似つかわしくない、どちらかと言うと、不安という文字が俺の頭に過ぎった。

すると、いつもなら階段で息を切らしながら、聞いているチャイムが鳴りはじめた。

何だなんだ。萌乃は遅刻かー。俺の仲間入りだな。……むなしい。

ホームルームが始まっても、萌乃は来る気配が無かった。

すると、先生が告げた。


「神童さんは、今日は休みだそうです」


「「そんなー!!」」


「俺の生きがいがー!」


「俺の唯一の学校に来る楽しみがー!」


「……俺今日早退するわ。神童さんのいない学校で俺は、何をしたら良い……じゃあな」


先生が告げると共に男子達が口々に発狂し始めた。

多分この光景を見た他のクラスの人が見たら、地球の終わりでも、想像させてしまうだろう。

それより、最後の奴。学校で何をすれば良いって勉強だろ。

まあどうせ、風邪か何かだろ。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




翌日……

俺は、いつもより早く起きたため、今日は走ることなく、モデルにでもなったかのように、一歩一歩をゆっくりと出していた。……そろそろファッションの祭典に出れるレベルだな。……顔がダメだわ。

うーん優雅。

学校のドアをどこのお嬢様か知らないが、俺は、丁寧に慎重に開ける。

初めてじゃないかな、ドアをガラガラガッシャーンって音を出さずに、音を立てることなく開けるのは。何か気持ちが良いな。

すると、先生が俺を見て言った。


「さささ坂神君がふふふ二日連続ちちち遅刻じゃないなんて…………地球の終わりが近いのかしら」


マジで先生じゃ無かったら、ぶん殴ってやりたい。まあ女の人ということで、8割の力にしてやろう。結局殴るのかよ俺……。

俺は、優雅に自分の席に着いた。

ウ~ンこの椅子ってこんなに暖かかったっけ。あー暖房が付いているのか。

俺は、ふと隣を見た。

そこには、昨日のようにただ椅子と机が並んでいるだけだった。

青い空に昇る世界を照らすような、綺麗で暖かく明るい太陽に照らされても、その席には、何か冷たく暗いものを感じた。

すると、先生が言った。


「神童さんは今日も休みだそうです」


「「ギャアー!」」


「俺そろそろ死ぬんじゃ無いかな」


「終わる……俺の神童パワーが終わるー!」


「……俺今日早退するわ。神童さんがいないのにこんな汚い教室に居ても、腐るだけだからな」


先生のお告げと共に腐り果てる教室内。

それより、最後の奴、もう、すでにお前は腐ってるよ。



……萌乃……風邪……なんだよな……。



その放課後、白夜に一緒に帰ろうと誘ったら、白夜は急いでいるようで、フラれたため、一人で家に帰った。



俺の家も、大通りにあるわけでは、無いので、正直に言うと夜は、泣きそうなくらい怖い。俺は、お化けや幽霊などを信じる系男子。略して、OYDだ。……略す必要性だろ。あと、だせぇー。

俺は、自分の家にたどり着いた。


「たっだいまー」


俺の元気で爽やかな挨拶に返事をしてくれる人は誰一人居なかった。……俺って一人暮らしだったけな。俺の記憶上では、四人家族だったような。……頼むから返事してくれよ。

俺は、11月とかいうくそ寒い季節に外の空気に触れたため、体は凍る程では無いが、完全に冷えている。


「風呂にでも入るか」


俺は、玄関から少し進みリビングの横に付いている風呂場のドアを開けた。

まあ簡単に説明すると、俺がドアを開けた先に居たのは、下着姿で洗面台に立ち、ドライヤーをブォーブォーと何かの鳴き声のような音をたてながら、髪を乾かす妹夏美だった。


俺と夏美は二人で目を合わせる。


「「………………」」


何だろうな……空気がー重いなぁー。

まあこういう時は、挨拶が大事だな。


「よう夏美ただいブフォー」


俺は、夏美の素晴らし過ぎる綺麗な蹴りを腹部に直撃した。

俺は、勢いよく後退して壁に勢いよくぶつかった。

わー壁ってやっぱり、漫画みたいに蹴られたくらいじゃへこまないんだー。立証できて、よかったよかった。

なわけあるかー!!!

俺は、怒鳴るように言った。


「お前急にふざけんじゃねぇよ!!」


「あ?死にたいの?」


やだぁーこわぁい。どこでそんな、やくざ言葉覚えたの~。怖いよぉ。

しかし、このまま引き下がってしまっては、俺がただの変態シスコンだと思われてしまう。いかんいかんぞ。俺は、普通のシスコンだー。……それで良いんだ俺。


「じゃあね。次出て生きてたら、殺す」


それ、俺死ぬしか選択肢が無いんですが……。

そういうと、夏美はドアを勢いよく閉めた。


「俺が悪いのかなぁ」


そうぼやきながら、夏美が風呂場から出るのを待っていた。

すると、さっきとは違い大人しい感じにドアが開いた。


「あんた、まだ生きてたの?」


その第一声は中々に答えますね。

えっ泣いてないよ。


「じゃあ俺入るから、退け」


うんうん。決まった。

俺は、シスコンでもな、デレを見せない系シスコンなんだ覚えとけよ!……何言ってんだ俺。

このあほな事を考えた後にくるかなしみって何か泣きそうになるわ。

そういうと夏美は、風呂場のドアから離れ、自分の部屋に行くべく、二階に上がろうとした。

俺は、ふと聞きたくなったことを言った。


「なあ夏美。彼氏と帰っているときに何か暗い空気になって彼氏が次の日休んでいたら、どう思う?」


「は?何?何でそんなに特徴的なの、逆にキモいんですけど」


ザ・拒絶って感じの顔を俺に向けてくる。やめて!拒絶しないで!

すると、夏美が多少悩んだ末に言った。


「私なら、自分の言った事で何かひかっかったんじゃ無いかと思う」


「そうか……」


「何があったの兄貴?」


夏美が多少キモがりながら、聞いてくる。


「ああ最近俺の彼女の萌乃が同じ状態になったんでな」


すると、間髪入れることなく夏美が言ってきた。


「そりゃあ兄貴が悪い」


「おい!お前今何を根拠に決めつけた?」


「顔」


そんなにきっぱり言われると、すごく傷付くんだが。あと、俺の顔は、分かる人には分かるイケメン顔なんだぞ。そうなんだぞ……。

俺は、話を切替言った。


「俺は、どうしたら、良いと思う?」


「そんなの当然…………」


夏美は、そこまで言ってから顔を赤くして、止まってしまった。

どうしたんだ?最近流行りの赤面症か?つーか流行ってんのその病気。


「そんなの……兄貴が行って助けてやれば良いんじゃ無いの…………でも……行かないで欲しい……」


「ん?何て?」


夏美の声が小さすぎて、俺が助けてやれ、というところまでしか上手く聞こえなかったので、聞き直した。

すると、夏美は、顔をかなり赤くして言った。


「何でもない!!」


そういうと、夏美は階段を風の如く走りさっていった。


「何だってんだよ」


俺は、風呂に入りに行った。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




翌日……

今日は、かなり良い快晴で冬で言うところの小春日和のように暖かかった。

俺は、悠悠自適に並木道を歩きたいなと思いながら、走っていた。


ガラガラガッシャーン


この音良くなるよな。


「さっ坂神君セーフ」


何か先生は、震えながら、そう言ってきた。

まずセーフって何だよ。俺は、ベースに突っ込んだ野球選手かよ。

そう思いながら、席に着いた。

隣を見ても、昨日とは、全く変わらない景色がそこには、広がっていた。

太陽に照らされる机は、キラキラと光っていた。

今日も萌乃は、休みらしい。

理由は、簡単だ。多分早く来た男子生徒がそのことを聞いたためか、俺が来たときには、地獄絵図のように白目を向いていたり、壁に頭を打ち付けている奴も居た。俺のクラス恐すぎんだろ。


俺は、悟った。萌乃は、風邪では、無いと。俺は、萌乃を助けるために動くことにした。

その日から俺は、他クラスや他学年にまで出向き、休み時間全てを費やし、萌乃について、聞きまくった。

その中で、Cクラスの男子が萌乃と同じ中学校だったらしく、話してくれた。



話によれば、萌乃は、家の事情か何かで学校には、20日程しか来ていないらしい。


何なんだ、何がそんなに、あいつを咎めているんだ。



俺は、その後もいつもの並木道を暗く覆い尽くす雲に包まれた雨の日も木が倒れそうなくらいなびく、風の日も街の外で萌乃について、聞き回った。

知らない知らないの一方通行だったが諦めず、問い続けた。

土日は、一日中聞き回ったからか、筋肉痛が凄かった。

何度も聞いた末に、萌乃の家を知っている人に会い、萌乃の家を突き止めた。


俺は、あいつを助けなければ、ならない。

俺は、友達として、いや、彼氏として、あいつに寄り添い助けなければならない。




明日こそ、俺は決着をつける。










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