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異世界召喚の代償は三歳の身体と五千万円のローンでした! ~目指せ完済!スキル『我が家』で借金返済しながら成り上がります~  作者: ゆずこしょう
返済前に借金が増えるとか聞いてません。

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スキルが使えるようになったら借金が爆増したんですが!?

「なるほど……白夜が狐ねぇ……」


「まりかの付属品じゃなかったのねぇ……」


「な、なんだ!?その目は!お前たち、我に対して失礼だぞ!?」


二人は白夜を覗き込んだ。


その視線に、白夜の動きがわずかに止まる。


「な、なんだ……」


二人の視線に押されたのか、言葉尻がどんどん小さくなっていく。


(ほんと、口だけなんだから……)


そんな白夜に小さくため息を吐くと、私は二人に声をかけた。


「とと。まちりゅだ。」


「なぁに?」


「どうした?」


二人の視線が白夜から私へと向く。


私は指をモジモジさせながら、二人を見つめた。


「ま、まりかの……はなち……ちんじてくれりゅの?」


「うっ……か、かわ……」


「ちょ……トット……まりかちゃんが……」


マチルダはトットールの肩をバシバシと叩きながら、目に涙を浮かべている。


「あぁ……かわいいだろう。俺の娘だ!」


いや……


「むしゅめ、じゃにゃい……」


首をフルフルと横に振る。


先ほどから気になっていたが、ずっと“娘”という言葉が出ていた。


宿に泊まるための方便だと思っていたのだが――


どうやら違ったようだ。


私に否定されたのがショックなのか、トットールは目を大きく見開き、固まった。


「娘じゃない……」とブツブツ囁いている声が聞こえてきた。


(取り敢えず、私の話は信じてくれたってことでいいのかな?)


放心状態になっているトットールは置いておいて、マチルダを見る。


すると小さくうなずいた。


そのうなずきは、出会ってまだ数時間だけど、私の事を信じているという証にも取れた。


(本当……出会えたのがこの人達でよかったわ。)


自分の肩の力がふっと抜ける。


――その瞬間だった。


『毎日ローン返済ができなければ、その金額が上乗せされます。』



上乗せされます……



上乗せされます……



桜の声が頭の中に木霊した。


背中を、嫌な汗がたらりと流れる。


(わ、忘れてた……)


「しょ、しょうだった!!」


テーブルをバンッと叩くと私は勢いよく立ち上がった。


その様子を見て、トットールとマチルダは首を傾げる。


「急にどうした?」


トットールが声をかけてきたが、それどころではない。


なぜなら……ローンがどうなっているのか……


そっちの方が今は大事だからだ。


「お、おかねが……すちる……ちゅかえりゅか……ためちたい……」


私の慌てようが二人にも届いたのか、二人はお互いに視線を合わせて小さくうなずくと、そのまま誰もいない部屋へと私を運んだ。


***


「ここなら人も来ないから、スチルとやらを試すがいい。」


(本当はスキルなんだけど……)


本が沢山置いてある部屋に連れてこられると、私はゆっくり床に降ろされた。


二人の話を聞いてわかったことがある。


この世界には魔法はあるが、スキルという概念はないということだ。


そもそも言葉すら通じていないのか、私の“すちる”はいつの間にか“スチル”で固定されてしまった。


言語が違うはずなのに、普通の会話に困らないことは、“召喚特典”として勝手に納得してたけど……


どうやら、初めて聞く単語は変換されないらしい。


(まぁ、通じるならいいか……)


深く考えても仕方がない。


そもそも、私だって三歳になっているのだ……


見た目だって変わっているし、気にしたところで仕方がないだろう。


「ありがちょ。」


私はペコリと頭を下げると、白夜を手に持った。


「まりかはポシェットを手に持つことができるんだな。」


「やっぱり、白夜はまりかの一部ってことなのねぇ~」


二人は私がスキルを使うのを食い入るように見つめている。


(視線が……)


穴が開きそうな熱視線に耐えるように、白夜のがま口を開いた。


……


しかし、何も起こる気配がない。


三人の間に静寂が落ちた。


「やっぱり……ちゅかえにゃい……」


小さく発したはずの言葉が、やけに大きく響いた。


「失敗か……?」


その時――


がま口の中が急に光ると同時に、吸い込まれる感覚に襲われた。


「まりか!?」


トットールの声が聞こえた気がしたが……


目を開けると――


そこは、桜の木の下にある犬小屋の前だった。


「しぇ、いこう、ちた?」


「どうやらそのようだな。」


「びゃく……とととまちりゅだは?」


辺りを見渡しても、白い狐しかいない。


「どうやら、あの二人は来れないようだな。」


「そうみたい……」


すると、


《遅いお帰りですね。もう帰ってこないのではないかと思っていましたよ。》


桜の木を触ってもいないのに、システムが勝手に話し出した。


「ここ、わたちのいえ。かえってくりゅ。」


《ふっ……そうですか……》


なんだか少し嬉しそうだ。


《と、言われても負ける気はないですけどね。四日分の金貨が納品されておりませんので四十八枚分のローンが加算されております。円に換算すると、四百八十万円です。》


「……よ、よんひゃくぅぅぅ!?!?」


四百八十万円……


と、言うことは金貨一枚十万円ということだ。


(四十八枚って……)


「さいこりょのめ、のさいこうち……」


《はい、最後振った目の数×日数とさせていただきました。》


「だ、だりぇが……そにゃこと……」


決めたの…と声を出そうとすれば……


《ふっ……もちろん私ですが?》


無機質な音声でしかないはずが、どこか楽しそうだ。


(鬼畜だ……鬼畜すぎる……)


このまま行くと、五千万が一気に一億ローンになるのも夢では無い。


しかも三十年で返し切れるのか……


目が遠くなる。


《安心してください。あなたでしたらすぐに返済できますよ。》


(なんの根拠にもなってないんですけど!?)


《商売でもすればいいんです。まっ、犬小屋では何も出来ないですがね……》


「……」


《私は信じてますよ。まりか様のこと。さっ、今日のサイコロを振りましょうか。》


どこから用意したのか手の上には二つのサイコロ。


(えっ……また振るの!?)


《もちろんです。これは日課。言わばデイリーイベントなのですから。》


(そんなイベントいらねーよ!!)


思わず心の中で叫んだ瞬間だった。


そして仕方なく、サイコロを振ると――


「ちゅ、ちゅんでる……」


《十二枚ですね。》


桜の無慈悲な声が頭に響き渡った。


(なんで最大値引くのよぉぉぉ!!)

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