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ラウンド2:盆栽プラザは今日も賑やか

 アウトランズと一口に言いましても、いろいろな場所がありますのよ。わたくしが今居るのは、空中都市「オリンパス」ですわ!わたくしが愛してやまないローバ・アンドラーデ様は、一流のレディがいる場所って言ってましたわね。

 それにしても、試合のない夜でもこんなににぎやかですと、どこに行こうか目移りしますわ~。ただ、この世界のお金を持ち合わせてないのは困りましたわね…。

 ひとまずお散歩もかねて盆栽プラザとやらに行ってみますわ!どんな風景なのか楽しみですわね~!


 普段レジェンドが移動しているのって楽そうに見えて、案外苦行でしたわ…あの走って移動している距離を歩いているだけでも、とんでもなく疲れますわね…。

 それでも無事に、盆栽プラザには到着しましたわ!煌びやかな照明で照らされた、実際に見たことのある建物を見ているだけで、本当にうっとりしてしまいますわね~。まるで宝石のようですわ~!

 でも、やっぱり体力がしんどいですわ、少しこの辺りで休むことにしましょう…あら、何か足音がしますわ。


「ん?どうかしましたかな?」


 あら、きちんとした身なりの紳士な方がいらっしゃいますわ。誠実そうな見た目もしておりますし、この方なら…。


「ありがとうございますわ、少し疲れてしまいまして。」


 ありのままわたくしに起こった事を説明するのはやめておきますわ。少しぼかして説明するくらいでちょうどいいのです。するとこの方、どこからともなく水を差しだしてきましたわ。


「疲れているみたいですね。こちら、よろしければ。」


 この殿方すごく気が利きますわ~!BIG LOVE━━


「ありがたくいただきますわね、あなたはなんておっしゃるのですか?」

「私はジャックです。この辺りではあまり私のことを知っている人は少ないですが、ちょっとした会社をやっています。」


 しゃ、社長!?そんな方がわたくしに声をかけてくれるだなんて…私も一流のレディ、仲間入りじゃありませんこと!?


「そういう貴女も、この辺りではあまり見かけないお顔ですね。」


 わ、わたくしの事を説明するターンになっちゃいましたわ!彼になんて言いましょうか…


「わ、わたくしは…その…」


 あれ、なんだか視界が…ぼやけてきて…


(た、助けてくださいまし…)


 声が…出ませんわ…



「それで?あのお嬢様は?確かにこの部屋に連れてきたのよね?」


 怪訝な声で話す女。それに答えるやや低く落ち着いた声も、その次に聴こえてくる品のある妖艶な声も全て女性の声であった。


「確かに自由に過ごしてとは言ったけど、こんなにすぐに居なくなるなんて…」

「呆れた。これじゃ私たちが探さないといけないじゃない。」


 3人の女性はため息をつきながら、ガレージの中から大型のバンを出してきた。


「レネイ、運転するから乗りなさい。あなたが彼女をここに連れてきたんだから。」

「アニータ落ち着いて?そもそも、彼女がどこへ行ったか分からないんだし、そういうあてはあるのかしら?」

「ローバ、貴方の方こそ心当たりはあるんじゃないかしら。」


 2人の視線が後部座席に座るローバに向く。とうのローバはキョトンとした表情を浮かべていた。しばしの沈黙の末、ゆっくりとローバが口を開く。

 確信はない、予想でしかない、ただ彼女ならこうするのかもしれない、という自信はあった。


「そうねぇ…一流のレディに憧れているなら、盆栽プラザがどんな所か知っておきたいとは思うかしら…」


 一方その頃、盆栽プラザの上層階ではとある食事会が催されていた。どういうつながりなのかは定かじゃないが、あまりにもド派手で、全身の血の流れがはっきりとわかるほど、興奮するようなイベントであったことは間違いなかった。


「ヒャッハ~!あれは最っ高のスタントだったよな!次はこれ見てくれよアミーゴ!ついこの間撮れたての映像だぜ!」

「もうシルバ!アンタの番は終わりでしょうが!次は私のバンドが演奏するんだから!」

「お待ちくださいシェ様、それは私のショーの後ではありませんでしたか?プログラムをよく確認してください。」


 オクタンとライフライン、そしてシアの3人が、次は誰なのかでステージ上が大揉めしている最中も、クリプトはデバイスを片手に何か作業しているようであった。


「おいおっさん、こんな楽しいところに来てまですることなのかよ。お前はいつもそういうのいじくり倒してるよな。」

「俺は来たくてここへ来たんじゃないぞ。お前が言うから、仕方なく、ついてきてやっただけだ、小僧。」


 つい小言を言ってしまうミラージュと、嫌になって言い返すクリプト。

 お互いを睨むようにして対面で座っていた席へ、山盛りの皿で手がふさがっているコンジットと、やけにハイテンションなヴァンテージがやってきた。おそらく彼女ら2人、と1匹がこのお祭りを一番楽しんでいるようだった。


「エコーも喜んでるよ、こんなに楽しいパーティはなかなかないからね。イヤッハー!」

「○!※□◇#△!◎△$♪×¥●&%#?!」

「「食べ切ってから喋れよ…」」


 コンジットは頬を赤くしながら、大急ぎで口の中にあるありったけの料理を飲みこんだ。


「すみません、ついテンションが上がっちゃいまして…」


 コンジットが性懲りもなく次の料理に手を付けようとしたその瞬間、クリプトのデバイスが巨大な音を立て始めた。何かの警報音のような、甲高い音が鳴っている。


「おっさん!こういう所でそんな物騒な音立てんなって!」

「違う!俺たちの車の警備システムが異常を検知したんだ!」


 クリプトは慌てて席を立つ。その場に居たほかのレジェンドたちも、何事かとぞろぞろ出口へ向かっていく。

 ただ一人、コンジットを除いては。


「待ってください!このミートパイ焼きたてだったんですー!」

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