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英雄なのか?  作者: よろず
アルディア騎士学校
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入学試験


アルディア王立騎士学校の入学試験は朝から始まっていた。

訓練場には受験生が並び、その周囲を家族や関係者が囲んでいる。地方の騎士団長の息子、名のある貴族の子弟、商会の後継者。受験生たちは互いを値踏みするような視線を交わしながら、自分の順番を待っていた。

王立騎士学校はアルディア王国が直接運営する士官養成機関である。

王国周辺では大小様々な争いが絶えない。大規模な戦争こそ長らく起きていないものの、国境地帯では小競り合いが続き、各地では魔物による被害も発生していた。

騎士は常に不足している。

そのため王国は毎年多くの若者を集め、騎士として育成していた。

王立騎士学校はその中心にある存在だ。

卒業生の多くは王国十三騎士団へ進む。

平民でも功績次第で出世できる数少ない道でもあり、毎年多くの志願者が集まっていた。

レイン・クロードは列の後方に立っていた。

周囲に知り合いはいない。

二年間を問題なく過ごし卒業する。

それだけだ。

騎士として出世したいわけでもない。

名を上げたいわけでもない。

目立たず、余計な面倒事に関わらず、無事に卒業できれば十分だった。

試験官の声が響く。

「次、フェリクス・アーヴェン」

名前を呼ばれた少年が前へ出る。周囲が少しざわついた。

レインは興味もないが視線だけを向ける。

剣の構えは悪くない。

足運びも年齢相応にしては出来ている。

たぶん合格するだろう。

だが、それだけだった。

騎士学校の入学試験では実技だけでなく筆記や適性も評価される。

多少剣が振れても入学後についていけずに脱落する者もいる。

逆に今は目立たなくても、二年後には上位へ食い込む者もいる。

入学試験の結果など、長い騎士人生から見ればただの通過点に過ぎない。


試験は順調に進み、やがてレインの名前が呼ばれる。

「レイン・クロード」

訓練場へ出ると、向かい側に立っていたのは短髪の少年だった。

「ロイド・バルガスだ」

どこか緊張した声だった。

レインは軽く頷く。

「レイン・クロードです」


レインは結果発表を待つ受験生たちの中にいた。

周囲では不安そうな表情を浮かべる者もいれば、自信満々に仲間と話している者もいる。

王立騎士学校では入学時点でクラス分けが行われる。

上位からS、A、B、C、D。

その後も定期的な査定によって順位や所属クラスは変動する。

特にSクラスは全学年合わせてもわずかな人数しか存在せず、王国中の優秀な若者たちが目指す場所として知られている。

Sクラスは目立ちすぎる…

目立てば余計な視線を集める。

余計な視線は余計な面倒事を呼ぶ。

レインが欲しいのは平穏な二年間だけだった。

空を見上げる。

王都に来て三日目。

今のところ問題はない。

注目も集めていない。

それで十分だった。


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