買い出しと情報
俺は買い出しに来ていた。だが別に食料の買い出しなんかではない。怪しげな雰囲気を醸し出しているとある魔法具店だ。
「お願いできるか?」
俺はその短剣を店主に渡す。するとそれを店主は奥に持って行き、10分ほどで戻ってきた。
「今後ともごひいきに」
ぺこりと頭を下げる店主に俺は何も言わずに金だけおいてそそくさと店を出る。
そして俺はその短剣を自分の右腕に刺した。
「禁忌:【観測者との対面】・代償【右腕】」
俺はその詠唱を唱えゆっくりと目をつぶる。
「誰だ?」
さっきまでいた場所とは違う。周囲が真っ白な空間に複数の椅子がある。その中の1つに座っている老人が俺に問う。
「情報を買いに来た」
俺が言うとその老人が顔を上げる。真っ白のひげに濁った瞳…きっともう見えていないんだろう。
「お前さんが欲している情報はここにはない」
すでにこちらの事情を把握していると言わんばかりの回答だ。だが事実、この老人は俺よりもこの世界を熟知している。
「それにもし知っていたとしても、大罪人の贖罪に付き合うことはない」
「…別に贖罪ってわけじゃぁねえ」
俺はつい反論してしまった。
「そうか?お前が壊したこの世界は別の方角へ進み安定を保った。だがお前はまたその安定を壊そうとしているように思えるぞ?」
俺はその言葉に何も言わなかった。
「まぁ…答えが知りたいんなら自分で調べることだな」
その瞬間。椅子に座っていた老人は消え、俺の右腕が宙を舞った。だがその刹那景色は元の世界に戻り右腕も無事だった。
「無駄足…とまではいかないか…」
俺はゆっくりとモノたちのいる宿へと戻るのだった。




