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荒野をさまよい、小さな村を通り抜け、山を越え、森に囲まれた街道を抜ける。彼女はやがて、大きな町にたどり着いた。
何かに導かれるように、彼女は町の裏へ裏へと歩いていく。夜が明けて間もない裏通りの空気は、酒と香辛料と血の匂いが入り混じった不快な物であった。
「ここにいるの……?」
胸の内から発せられる意思。ここにあるのが、少女の唯一の……。
導かれるまま彷徨い続け、たどりついたのは小さな店。
『漆黒の祝歌』と書かれた看板。営業時間の表示を無視し、彼女は店の戸を叩く。
少女は、未だ眠ったまま――。