page17 interlude
夜中、少女フィアは静かに目を覚ました。
二人で寝るには少し小さいベッド。しかし、体の小さな彼女ならばそれほど問題はなかった。
「…………」
少女は音もなく身を起こし、隣で眠るクロナを静かに見下ろした。
"姉"としての彼女はあまりにも無防備に見えた。
今ココで自分がその首を締め上げれば、簡単に息の根を止められるのではないか。そう思えるほどに。
「…………」
女を見下ろす、紅の瞳。闇の中でぼんやりと光を放っているかのようにも見えた。
「……しないけどね、そんなこと」
ぼそりと呟く。クロナがそれに気づくことはなかった。
彼女の傍にいれば、"少女"は安らいでいる。だから……。
「今だけは、せめてこうして……」
「……フィア…………?」
と、流石に聞こえたのか、クロナは薄っすらと目を開け、フィアのいる方を見た。
「ん……なんか、目が覚めちゃった……」
フィアは再びベッドに倒れると、クロナの胸にすがりつき、体をすり寄せる。
「大丈夫だ……。私は、ここにいる……ぞ……」
意識が半分沈んでいるような声で、クロナは優しく少女の頭を撫でた。
完全に目を覚ましていたわけではないのか、そのまますぅっと再び眠りに落ちてしまう。
あまりにも無防備だと、彼女は思った。
そっと、彼女の首に手をかける。彼女は気づかない。
「…………」
もちろん、そこに力を込めることはしない。代わりにフィアは、そっとため息をついた。
「……本当に、これで大丈夫なの……?」
死が闊歩するこの世界で、この腑抜け様。本当にこの女は、自分を守ることができるのか。
「……少し、試してみようか」
口端をニィっと上げ、クスリと笑う少女。
それは、普段のあどけない笑顔とは、似ても似つかぬものだった。




