第10話 サカの兄
ボアを担いで村に帰り着くと、盗賊が5人縄を巻かれ捕まっていた。
「あ!こいつだ」
そうだ釜を持った男がそこにいた。
「間違いないか」
「ああ、間違いない」
盗賊達は縄を巻かれて憮然としていた。
「煮るなり焼くなり好きにしろ」
彼らは北東にある隣国ネーレから山を超えてやって来たらしく、人間族と亜人族もいた。何でも、この国では亜人達を追い出そうとしていると聞いた盗賊達は亜人を拐って闇の奴隷商に売るつもりだったようだ。
オレアス王国は3年前に王が代わり、王は亜人が嫌いで王都から亜人族達を追い出した。
追い出された亜人達は、オレアス王国内外問わずに避難していた。その中でも森の入口、インバーの町に逃げて来るものが多かったなどの経緯があり、盗賊達はこの国、オレアス王国の亜人を拐っても大した刑が掛からないのではと考えてやって来たようだ。
長は渋い顔をしたママ黙って盗賊達を見ている。それは村の大人達も同じ思いのようだ。
「とんでもない奴等だなあ!中には俺達と同じ亜人族もいるって言うのになあ!」
「長はどうするつもりなんだ」
「取り敢えず、地下の牢屋に入れて置くらしい」
「殺さないのか!」
「生ぬるいぜ」
長が他の村の長達と協議すると言い盗賊達はしばらく地下牢に入れて置く事になった。
「あーあ、せっかくボアを狩ってきたのに今日はお預けとはな!」
「まあ仕方ないよ、今から調理しても夕飯には間に合わないから」
「おい!サカ何読んでんだ」
「兄貴からの手紙だよ」
「カカ兄からか」
「ああ」
サカとメルそして俺は同じ魔獣の氾濫で壊滅した村の孤児である。3歳のときにサカの5歳離れた兄カカに抱かれて俺達はこの村に保護された。このタタカ村は岩盤に穴を掘った中で村人は生活している。その為、各家庭の部屋には換気システムが未熟なので火を使うことが禁止されている。調理スペースが無いので調理をする際は食堂で行わなくてはならない。言ってみれば共同生活なので、そんな村はみんな家族の同然なのである。
カカは俺達にとって皆の兄であり、そして憧れの対象の一人でもあった。そんな兄カカは1年前に冒険者として国を離れ外国に旅だったのだ。
「何て書いてある?」
「今は北の大国ジャ・フロー王国のダンジョンの町で修行中だそうだ」
ダンジョンと聞いて俺のテンションが上がった。
ちなみに狩ったボアの肉は朝食で出た。野菜と味噌にボアの肉を入れたボア汁として、美味しく頂きました。




