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【本編完結】ドールと呼ばれた公爵令嬢の乱逆  作者: いか人参
第一章 婚約解消編

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頼れる人


「それで、ファニスはどうしたら良いと思う?」


「えーとですね…」



ある日の午後、アルティーノ家に顔を出したファニスは、来て早々にお茶会に誘われ、アレシアから質問を受けていた。



お茶会で出されたのはもちろん、イオンから届いた本日の焼き菓子だ。今日届いたのはマドレーヌだった。


アレシアが王子からの菓子を喜んでいると耳にしたイオンは、贈り物の選定にますます熱が入った。

流行りに敏感な侍女に聞き込みをしたり、お忍び姿で自ら人気店に並んだりしている。


 


そして今、ファニスがアレシアに詰め寄られているのだが、その内容は…


「私たちだけじゃもうどうしようもなくて…ファニスの知恵を貸して欲しいの。ねぇ、どうやったら王子と婚約解消出来ると思う?」


まさかの婚約解消についてだった。




「困っていることはもちろん承知してますが、普通、王子の側近である私にそれを聞きますか…」


「婚約解消について意見しにくいなら、反乱を起こす方法でもいいわ。」


「…は?反乱?貴女は反乱を起こすおつもりなのですか!?」


ファニスの顔が一気に険しくなった。


今はイオン王子にとって、とても重要な時期。例えそれがアレシア様であっても、国家を脅かす火種を見過ごすわけにはいかない。


彼は厳しい目付きでアレシアを見据えた。



「出来るならもうとっくの昔にやってるわよ。イマイチやり方が分からなくて、行動に移せないのよ。」


アレシアの返答は、危機感の全くない素人考えのものであり、彼の心配は杞憂であった。


 


あ…この姉弟でした…

本気にした私が愚かでした…


アレシア達の特異性を思い出したファニスは、自分が考え過ぎていたことを恥じていた。




「一旦、反乱云々の話は忘れましょうか…で、婚約解消の件ですが、そうですね…私だったどうするか…この先は私の独り言ですよ。」


アレシアとティモンはファニスの言葉に頷き、固唾を飲んで、彼の言葉の続きを待った。



「王家との婚約に関する制度の見直しを王子に進言します。理由は…次の世代に同じ想いをさせたくないから、とかが聞こえ良いですかね。」


「なるほどね…でもそれ、今から制度改変しても、既に婚約者となっている私には適用されないんじゃない?」


アレシアとティモンは不安そうな目でファニスのことを見ていた。



「さすがはアレシア様。お気づきになるのが早いですね。王子もきっとそう考えるはずで、だからこそ、この改変には尽力して下さるはずです。こちらは、その裏をつきます。」


「裏をつくって?」


「改変後の制度に、現在の婚約者に対しても適用されるという内容を盛り込むのです。」


「確かにそれはそうだけど…そんなズルみたいなこと上手くいくの?」


「その辺りは私の得意分野ですからね。偽造ではないですが、見つからないように一文追加するなど容易いかっ…」


不自然なタイミングで彼の言葉が切れた。



しまった…


ペラペラと話し過ぎてしまいました…



ファニスは、だんだんと自分の実の兄弟が困っているように思えてきて、肩入れをし過ぎた結果、言うつもりのないことまで口走ってしまったのだ。


本当は、アレシアが自分には適用されないのではと言った時に、それもそうですねと話を終わりにするつもりだった。




「そ れ よ !! ありがとう、ファニス!貴方に聞いてみて良かったわ。王子へは私から話した方が良いわね。文書の件はまた改めて相談させてもらうわ!」


「ありがとうございます、ファニスさん!ファニスさんのおかげで、姉様を守ることができます。」


「え、ええ…」


やっぱり実際に手伝うのはちょっと…と言おうとしたファニスだったが、2人の喜び様に声に出すことが出来なかった。




仕方ありませんね…


イオン王子は優秀なお方ですから、ご自身でなんとかしてくれるでしょう。



ファニスはすぐに割り切り、イオンへ丸投げすることに決めた。




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