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バイオメタルドール  作者: 坂井ひいろ


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106/113

M05-08

 金色の『カイラギ』の黄金の剣とBMD-Z13の『マサムネ』がぶつかり合う。


ガギーン。


強い衝撃がBMD-Z13の腕を伝い、神経接続子から陣野修じんのしゅうの脳へと運ばれる。陣野修はBMD-Z13の背中の呼吸器官にため込んだ呼気こきをゆっくりと吐き出しながら『マサムネ』を金色の『カイラギ』の顔に向けて押し込む。金色の『カイラギ』がそれを押し返す。互いの視線が交差する。


『僕の体を返してくれないかな』


陣野修の頭の中に宮本修みやもとしゅうの声が響いてくる。


『・・・』


陣野修にはその言葉の意味がわからなかった。


『なぜ逃げたの。僕たちは意志は一つのはずだよ。体を返してくれ』


『体。僕の体』


金色の『カイラギ』はいったん離れて再び打ち込んでくる。


ガギーン。


BMD-Z13は『マサムネ』でそれを受ける。金色の『カイラギ』とBMD-Z13は互いの刃をぶつけ合いながら会話した。


『そうだ。君が奪って逃げた宮本修のオリジナルの体だ』


『宮本修の体』


『そうだ。僕の体だ』


BMD-Z13は『マサムネ』を振り払い、後方にジャンプして距離をとった。頭が割れるように痛い。失われていた記憶が陣野修の頭を駆け巡った。


 宮本修は波に翻弄ほんろうされながらもがいていた。父の指が手にふれる。彼は腕を伸ばしてそれをつかもうとする。なんども、なんども。しかし、その度に波が邪魔をした。やがて父が力尽きて暗い海の奥底へと沈んでいく。


「父さん」


陣野修はBMD-Z13の中で叫んでいた。言葉を発したことのない陣野修の口からはじめて出た言葉だった。


『思い出したようだな』


金色の『カイラギ』が七つに枝分かれした剣をアスファルトについて立っていた。

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