小学校一年生
ふしぎだったのは、
母は私にはつらく当たるのに、
弟と妹にはとても優しい母親だった。
私は、
「私が悪い子だからいけないんだ」と
ずっと思っていた。
でも、それは少し違ったのだ。
私が小学校に上がり、母が仕事を始めた。
母は漫画家で、連載も持つようになった。
その分、家事はほとんど手をつけられなくなり
家事はすべて私の担当になった。
朝ごはん、昼ごはんは私が作り
弟を幼稚園に送り出し、
家に帰宅して洗濯と洗い物を済ませ、
掃除機をかけてから学校に行く。
当然、学校は遅刻続きだった。
担任の先生に
「なんで遅れちゃうの?」
と聞かれたので、私は正直に答えた。
これが間違いだった。
担任は少し驚いた顔をし、
「今日は先生と帰ろう」
と提案された。
担任は優しくて大好きだったから、
私は大喜びで頷いた。
途中で弟のお迎えに立ち寄ってもらい、
私の自宅へ向かう。
家に着いた時、先生は
「お母さんを呼んできてもらえる?」
と私に言った。
母は締め切り間近だったから、
「出てこれるかわからない」
と伝えた上で、母を呼びに行った。
母は数日風呂にも入らず、
頭はボサボサの状態だったし、
当然メイクだってしていない。
そんな母が出てくるわけもなく、
「体調が悪いから」
と担任の先生を断った。
ドアが閉まったとたん、
母が私の髪をつかんだ。
そのまま引きずられ、
押し入れに閉じ込められてしまった。
泣けばまた殴られるので、
私は必死に声を押し殺して泣いた。
泣き疲れて眠ってしまい、
母が押し入れを開けた光で
目が覚めた。
「怒られているのに寝ていた」
ということで、私は蹴り回された。
おなかや顔、手足をのぞき、
服で隠れるところはいつも
あざだらけだった。
そのあと父が帰ってくるまで
玄関に正座させられ、
何度も
「お前が家事をしていることは言うな」
「みんなやっていることだ」
と言い聞かせられた。
それから、学校を遅刻しないために
私は朝5時に起きることを義務付けられた。
夜の12時まで母のお酒に付き合い、
母をベッドへ誘導するまでが
私の仕事だったから、早起きは
かなりつらかった。
寝坊をして遅刻をすると、
学校から母の元へ連絡が入ってしまうので、
絶対に寝坊をするわけにはいかなかった。
それでも遅刻がなくなり、
担任の先生から、生活に関して
聞かれることは無くなった。
外へ助けを求める最大のチャンスを
逃したことに、この時は気づかなかった。




