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~咲季~

~咲季~


わすれたいことなんて誰にだってあると思う。誰かに相談すれば楽になれたかもしれない。けれどそれは誰にも言えなかった。知識は佳ちゃんが一番だけれど、物事を解決するのならリムトに相談するのがいいとわかっていた。

だから私はあの出来事はどうしていいかわからなかった。

ただ、ふるえるだけしかできなかった。


高校受験の入学願書を取りにいつものように4人で高校に来ていた。私はトイレに行きたくなってみんなを待たして、走ってトイレに駆け込んだ。

早く戻りたいと思っていたら何か音がした。気のせいかと思ったけれど音がした気がした。そこには黒く丸いものがあった。似たようなものを見たことがある。

携帯についているカメラのレンズだ。

盗撮されたとすぐにわかった。しかもそのレンズはすぐにひっこめられた。

怖くなったけれど、私はほかにもあるのかもと思い周りを探し出した。でも、どこにもそれらしいものはなかった。

トイレをでて近くに付属の中学生だと思う少年にあった。その少年たちは何かを話していた。イヤな目つきだった。

一人が近づいてくる。「君、受験するの?受かったら一緒に遊ぼうよ」ゆっくりした話し方がかえってこわかった。手に持っているのは細長い黒い箱みたいだった。先に黒く丸いものがあった。

私は聞こえないふりをした。奥にいた少年が言う。


「ネットっていろんな画像があるらしいよ。その中には自分にそっくりなドッペルゲンガーが写っているかもね」


私はそれでも走って、みんながいるところに走って行った。

「お待たせ~」っていつも通り話していれば大丈夫って思っていた。けれど、それから何度か家の近くを待ち伏せるやつがいた。

あの初めに私に近づいてきたあのいやらしい目つきのあいつが。

初めは気のせいだと思っていた。でも何度か見かけるうちに怖くなってきた。

「俺、お前のことタイプなんだ、付き合ってくれよ」

何度か言われた。無視していると「拒否しないってことは好意持ってるんだろう。付き合ってくれたらあの画像あげるからさ。咲季ちゃん」と言われた。

怖かった。

だから盗撮されたことは言わずにリムトに相談したの。リムトはまず警察に私と行ってくれた。生活安全課に相談しに行って見回りパトロールをしてもらった。

誰かが全面に立って相手を攻撃したら、逆恨みをされる。誰かが傷つくことで得る幸せになんて意味がないもの。

リムトがそう言っていた。だからリムトに相談してよかったと思った。

警察の人が見回りを続けてくれたおかげで家の近くにやってくることはなかった。私はもう終わったものだと安心していた。

そうしたら次はいきなり襲われそうになった。今度は一人じゃなく二人だった。

あのトイレの近くに待ち構えていた二人だった。一人はカメラを構えている。「君がわるいんだよ。好意あるのにさ。ツンデレ属性なんだね」なんてわけのわからないことを言ってきた。

私は逃げ惑っていた。けれど二人とも笑っていた。おびえる顔を見て楽しそうに写真を撮っているあいつを忘れられない。

あの時は■■されただけだった。本当はいやだったけれどでも逃げ出せた。

次は一人で警察に行った。相手の名前もわからないとどうしようもないと言われた。出かけるのが怖くなりそうだったけれどリムトに会えなくなるのはもっとイヤだった。

高校の合格発表の時にもあいつらはいた。

だから次は一人にならないようにみりあにくっついていた。本当は怖かった。

でも、そらからしばらく何もなかった。少しだけ安心をしていた。

公立高校の受験の日にあいつは自転車で突っ込んできた。その奥にカメラを構えたあいつがいた。

動けなかった。とっさに手を引いてくれたのはリムトだった。その奥にみりあがいて、みりあをかばうように佳ちゃんが事故にあった。

私はその後のことはよく覚えていなかった。私のせいで佳ちゃん事故にあったのに、それすらも言えない。しかも佳ちゃんはまるで何もなかったようにふるまってくれていた。

私はうまく笑えなかった。そして、もう一つ。あの高校に行くのが怖かった。

リムトに事故のことを話した。けれど、実際佳ちゃんとはねたのは自動車だし、その運転手の人が親切な対応をしてくれたらしい。どうやらその自動車の運転手は携帯で通話中だったらしいので前方不注意もあったので自転車のことはその時の事故に記録されていなかった。

加害者と被害者が知らない第三者の悪意。私はリムトに相談した。リムトはどうしようもないし、「少年法」というものが彼らを守っているから何もできないといわれた。

だから私は逃げるように公立高校に言った。本当のことも言えず親を説得できなかったって。

でも、リムトはそんな私にも優しかった。私は高校に行ったら言おうと思っていた告白をその時言った。リムトは「今の佳ちゃんを目の前にして一人だけ幸せになれない。それに咲季が好きになったのは、ここで首を縦に振るリムト?」なんて言われた。

「そんなの、卑怯だよ」


私は叫んだ。リムトはさらにこう言った。


「ああ、僕は卑怯だ。だから咲季に残酷なお願いをする。僕はね咲季が好きになんだ。だから咲季、僕を振ってくれ。いつの日か咲季が笑えるようになって、また4人笑えるようになったら告白するから」


私は泣きながらこう言った。


「リムトとは付き合えない。付き合いたいのに、付き合えないよ~」


私の頭をぽんとたたいたリムトが困った顔をしていたのがわかる。

それから、すれ違いが続いていた。私は高校で陸上部に入って走り続けていた。

でも、大会にリムトもみりあも来ないことはわかっていた。だって、私たちは佳ちゃんがいた場所が居場所だったから。

でも、私はみんなの分まで頑張って走ろうって決めた。走って、走って、走っていたらリムトから久しぶりにメールが来た。


「今、どこにいる?」って。


世界が変わったのかと思った。ひょっとしたらまた4人で笑いあえるときが来るのだと思った。

私はすぐに電話したら、リムトから「急ぎなんだ。今からそっちに行くから絶対に動くな」なんて言われた。

私は舞い上がって顔を真っ赤にした。部活も早退した。

けれど、甘い感情でなく必死なリムトを見て思っていることと違うことがすぐにわかった。

学校のクラスメイトにも部活仲間にも変な勘違いをされたようにも感じたけれど、校門から一緒に帰って行った。

途中リムトが遠回りをしたいっていっていつも通るけやき通りでない道を歩いた。

後で未来から来たメールのことを知ってびっくりした。その時間くらいに毎日私はけやき通りを歩いている。けれど、正直信じていなかった。

だから久しぶりにカラオケに行って歌って、話してをしていた。

時間になってけやき通り交差点で交通事故があった時に寒気を覚えた。怖かった。リムトが居なかったら私は事故に巻き込まれていたかもしれない。

そう思うと、初めに聞かされた佳ちゃんの身の危険と、リムトの推測であるみりあの危険をどうにかしたいと思った。

頑張ろうって思った。あの時リムトたちに相談をしたことは間違いじゃないって思いたいもの。

けれど、あの顔をみたら足が震える。あのときのあいつがあそこにいるのだから。あの家の窓からいつもこっちを見ていたかのように隠れるように。


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