~18時45分~
~18時45分~
リムトが端的に話してくれた。
内容は、咲季が昔ストーカーをうけたことがあること。
相手は二人組で一人は盗撮した写真で恐喝をしてきたこと。
もう一人が今目の前にいる天野だということ。
未来の私はどこでその真実を知れたのかはわからない。
けれど、知ったからこそ天野ではなく木田につながったのだと思う。
私はまず、最初に起こった未来を想像してみた。私は勘違いをしていたのではないかと思った。
まず、今回の開始は海馬部長が受けた、
「19時計塔避雷針に落雷。実験を実行しろ」
このメールからだ。
その後に、私に対して
「今日、君は19時に死ぬ。未来を変えたいなら
「木田崇」に気をつけ、時計に近づくな」
が来たと思っていた。だから私はこのメールが来たとき家にいたと思っていた。
けれど、招集メールの後にこのメールが来ているのならば私は学校にいるのではないだろうか。
学校にいて、実験の準備をしていた。バイトが終わったみりあが天野を見つけて学校に走ってくる。
みりあは携帯で助けてと連絡をしてくる。実験をしていることから考えると個人にではなく全員になのではと思う。
杖が壊れていないのであれば私は昼間の折りたたみできる杖を使っている可能性がある。
外は雨が降っていることから傘をさしているかもしれない。
はじめ落雷を想定した。広場に傘を差し、杖をついている私に落雷をするのではと思った。
だが、みりあからの助けが来たのなら確実に海馬部長は向かうだろう。いや、おそらくあの部室に残るのは花音先輩だけな気がする。
そう思うと落雷ではないのだろう。
そうすると、私が思うことはひとつだ。
「落雷を確実にするために補強した避雷針」
この避雷針が落雷とともに落下するのではと考えた。
雨の中うまく足が動かない私は逃げきれなかったのではないだろうか。
そして、もう一つだ。私の危機を知らせるメールを送ったのは花音先輩なのではと思った。
私は花音先輩にこう聞いた。
「花音先輩、聞きたいのですが私の携帯のアドレスになりすまして私にメール送ることってそのパソコンから可能ですか?」
予想通りの答えだった。
「簡単にできるわ」
多分、短時間で花音先輩ならそう行動したのではと思った。部活のアドレスより私の携帯アドレスをつかったのはとっさとはいえさすがだと思った。
そして、メールにあった木田だ。木田は今写真部の部室の暗室にいるらしい。
だが、写真部はカメラで校門付近をとるようにしている。木田は天野と二人で行動をしていた。
今回のみりあに対してもそうだと考えると木田がカメラにおさめるのはみりあのはずだ。
そして、今日みりあはこれから校門を通り過ぎる。
それを撮ろうとしているのではないだろうか。私は外を見る。校門付近にあるのは守衛室、門、車が出入りするためのミラー、校内放送がなるスピーカーだ。
一体何をみているのだろう。
みりあが通る時間なら、天野と連絡を取り合えばすむことだ。
私は花音先輩にお願いをして写真部をほかの角度から見ることができないかと聞いた。
花音先輩が画面を操作して映ったものは、真っ暗な暗室、机が並んで、談笑している部員、窓に向かっておかれている固定カメラ。だが、どこにも木田はいなかった。
部員の誰かが定期的に固定カメラをのぞいている。
私は一つ仮説を立てた。
私はまず海馬部長の携帯に電話をした。海馬部長にお願いをする。
次にみんなに一斉メールをする。
「みりあはこれから外にでて柿崎先輩と合流してください。リムトは可能ならば近くで様子をみてほしい」
そうメールをした時にリムトからメールが来た。内容はこうだった。
「咲季が天野と話しがしたいとのことだ。認めてやってほしい」
私は一瞬迷った。咲季でうまくいくのだろうか。ここは柿崎先輩とリムトに任せたほうがいいのではないのか。
私が迷っていると花音先輩がこう言ってきた。
「あなたも正しい選択をしようとするのね。でも、正しすぎることがよい結果にならないことだってある」
花音先輩にそう言われて気が付いた。
そうだ、正論をぶつけたはずなんだ。あの人も。けれど今のようになっている。
その一言で謎が解けた気がした。
私はこう伝えた。
「みりあ、柿崎先輩、リムト、そして咲季で当たってほしい。話す内容はリムトの携帯経由で伝わるようにしてくれたらいい。話しかける合図はこちらから送る」
私はそう言って、携帯を手に持って部室の外に出た。大丈夫、未来はきっと変えてみせる。
部室に残る花音先輩にお願いをして私は下に向かった。向かう先はもう決めている時計塔だ。
~リムト~
佳ちゃんには悪いが咲季のためにも本気にならないといけないんだよね。
あのメールが来たとき僕は咲季に久しぶりにメールした。
家がすぐ隣。電気がついているかどうかでいるのかどうかもわかる。
昔みたいに屋根を伝っていけばすぐに会えるのもわかる。
けれど、僕たちはそうすることをしないと決めたんだ。
泣きながらあの時咲季に言わせたセリフの続きがあるのだから。だから、佳ちゃんには悪いけれど今日はわがままを通させてもらうよ。
だって、そうじゃないと咲季があんな笑顔でクラブを早退してでも出てきてくれたことに言い訳ができないから。
佳ちゃんを言い訳にするのはいやだけれど咲季が一歩前に踏み出すには過去と決別する必要だってある。
佳ちゃんには佳ちゃんの守りたいものがあるように、僕にも守りたいものがあるんだ。
だから、悪いけれど勝手をさせてもらうよ。
でも、僕だってみりあに何か起きるのもいやだし、佳ちゃんにこれ以上何かが起きるのだっていやだ。
だから、さっきまでカラオケで咲季に事情の説明とこれからの説明をしたんだから。
こんなことでうまくいくかどうかはわからない。僕は咲季に向かって「大丈夫?」とだけ聞いた。
やり直しは聞かない。けれど、多分これがたった一つの冴えたるやりかたなんだよ。
なんて、昔読んだSF小説のタイトルを思い出しちゃったね。
咲季が少し震えている。これくらいは許されるよね。
僕は咲季の手を握った。
「ちょっと、リムト。これどういうこと」
咲季が顔を真っ赤にしてこっちを見てくる。確かに二人が決めたルールに反する行動だ。
けれど、下を向いて震えていた咲季が笑顔になった。咲季はやっぱりこういう笑顔をしているのが一番だ。
佳ちゃんにとってみりあがいつも通りの笑顔とつっこみがないのが不安なように、僕にとって元気のない咲季なんて咲季じゃない。僕は咲季に向かってこう言った。
「元気でたじゃない。ちょっと手があたっただけだよ」
なんて明らかにぎゅっと握っている手の言い訳にも嘘にもなりえないことを言ってみた。咲季が言う。
「リムトったら信じらんない」
「それは今のこのこと?それともこれからやろうとしていること?」
咲季は一瞬戸惑って「両方よ」と言った。
「じゃあ、行くよ。もうここからは僕が手助けできることなんて少ないからね」
僕はそう言って携帯で佳ちゃんに発信した。ここからはシナリオ通りにいかないといけない。
咲季がトラウマと過去を清算することと、みりあを救うために。
佳ちゃんと電話がつながったかなんか確認しない。私はまず、柿崎先輩のもとに走り寄った。
ツインテールにハイソックス、紺色のブレザーに胸元にあるはずのリボンは外されている。遠目から見ても目立っていた。
合図が来た。
私は柿崎先輩にみりあに「外に出るように」とメールするように話した。
それと同時に扉付近に行く。
そこにいるであろう、天野を捕まえるために。
古くなっているのか灰色の扉はギイギイいいながら開いた。みりあが出た瞬間に影から一人の男性が飛び出してくる。
影に柿崎先輩が走りよる。
「みりあ!!」
大きな声みりあの名前を叫んだ。その声に反応して影がこちらを向く。光が当たり天野のゆがんだ顔が見えた。




