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悪魔さえも見捨てた世界

強き者は弱き者に感謝しろ。

強者は弱者なくして存在できない。

これは阿呆でもわかる道理である。

しかしーーー

その道理がわからぬ阿呆がいた。

結果ーーー

その国は滅びた。


これは一人の聖女と一人のゴミ拾いの少年の物語。


……

「ピコピコピコポコ」

聞きなれない音がする。

眩しい。

小鳥の鳴き声?

オイラは目を覚ます。


オイラを銀色のカカシのような人形が覗きこんでいる。


「うわ。お前はなんだ?」

オイラは驚き後ずさりをする。


それにここは?


「ここはどこだ?」

オイラは混乱する。


「屋根があるし、壁もある。ここはどこなんだ」


「ピコピコピコポコ」

カカシから音が聞こえる。


「お前は生き物?人形?」

オイラはそのツルツルした身体に触れる。

冷たいところと暖かいところがある。


「人形なら冷たいし、じゃあお前は生き物か」


「いきもの……いきもの……」

カカシから音が聞こえる。


「すごいお前、オイラの真似ができるのか?」


「すごい……すごい……」


「お前、名前なんだ?」


「おまえ……おまえ……なまえ……なまえ……」


「オイラはラーチJr」


「おいら……おいら……らーちじゅにあ……らーちじゅにあ……」


「お前、真似ばっかりだな。あっ聞きたいことがある。お前はオウムという鳥だろ」


「まね……まね……おうむ……おうむ……とり……とり……」


(ぐぅ~)

お腹がなる。


「腹が減ったなぁ」


「はら……はら……へった……へった」


「そう腹が減ったんだ」

オイラはお腹を押さえる。


カカシの目が光り、後ろを振り返り、歩き始める。

五歩ほど歩き、こちらを振り返る。


「ついてこいってことか?」


「ついてこい……ついてこい……」


オイラはカカシについていく。


壁や天井があるのに明るい。

地面はつるつるしていて、ホコリっぽくない。

オイラの住んでいた島にも、

いくつか家があったが、

こんなにツルツルしてなかった。


ここはどこなのだろう。


しばらく歩くと、

つるつるの箱のようなものの前まで来た。

カカシと同じ銀色だ。

カカシはそのつるつるの箱を開ける。

すると中には沢山の箱のようなモノがあった。


カカシはその箱を一つ取り出すと、

近くの箱にその箱を入れる。

(ぴっ)

カカシがなにかをした。

するとその箱は光り出した。


「うわ。箱が光った。この箱は火でも入っているのか?」


「はこ……はこ……ひかった……ひかった……」


しばらくして

(ちん)

と音がした。


カカシは箱を開ける。

ぷーんと良い匂いがする。


(ぐぅ)

オイラの腹がなる。


「腹減ったな。それ食い物か?」


「はらへった……はらへった……くいもの……くいもの……」


カカシは箱を差し出す。

良い匂いが鼻をくすぐる。


「くっていいのか?」


「くっていい……くっていい……」


オイラは箱を受け取る。

こんなゴミを見たことがある。

たしか、

ここらへんを、

こうすれば開くはず。


オイラは記憶をたどりながら、

箱を開ける。


中からは見慣れぬモノがでてきた。

オイラは恐る恐る一口食べる。


「うまい」

オイラは呟いた。


「うまい……うまい……」


オイラはパクつく。

しかしうまいが喉が渇く。


「喉が渇いたな」


「のど……のど……かわいた……かわいた」


「水が欲しいな」


「みず……みず……ほしい……ほしい……」


カカシはどこかに向かう。

オイラは気にせず、

食べ物を食う。

こういう時はよく噛んで食べると、

喉の渇きがマシになる。


「みず……みず……」

カカシは茶色の水をもってきた。

なにか良い匂いがする。


「そんな泥水なんか飲めないよ」


「どろみず……どろみず……のめ……のめ……」

カカシは茶色の水を手渡す。


オイラは恐る恐る茶色の水を飲む。


少し苦くて、そして甘い。そして泥水のようにざらざらしない。


「これ泥水違うのか?」


「どろみず……どろみず……ちがう……ちがう……」


まぁいいや。

泥水には慣れた。

それに甘いなら大丈夫だろう。

オイラは茶色の水を飲みつつ、

なにかを平らげた。


お腹がいっぱいになったら、

ウンコがしたくなった。


オイラは外に出る方法を探すためにきょろきょろした。


「ウンコがしたい」

カカシを見る。


「うんこ……うんこ……したい……したい……」


カカシは、また歩き出す。

オイラはついていく。

狭い部屋につれていかれる。


真ん中にはキレイな穴のあいた椅子みたいなのがあり、

水がはってあった。


「きれいな水だよ。顔を洗おうかな?外に行きたい」


「きれいなみず……きれいなみず……かおをあらう……かおをあらう……そといきたい……そといきたい」


カカシはしばらく混乱し、

また歩き出す。

オイラはついていく。

カカシが壁を押すと、壁は動いた。

眩しい光が目に飛び込んでくる。

そこには一面真っ赤な花が咲いていた。


オイラは草むらに入り、用を足す。


オイラはふと周りを見る。

不思議だ。

真っ赤な花しか咲いていない。


壁に巻きつく蔦も、苔も、草もない。

木はあるが、灰色がかって枯れている。


鳥の声もしない。

犬もいない。


そして、

人は誰一人いなかった。


建物は皆同じような色をしていた。


そしてどこを見ても、

真っ赤な花が咲いている。


とてもキレイだけど、

なにか危険なニオイがした。


オイラはカバンからスライムを取り出し、

ウンコを食べさせた。

スライムはウンコと共に、周りの花も食べた。



オイラはスライムを撫でる。

ラーチのオッチャンからもらった。

オイラの宝物。


ゴミの島をキレイにしてくれたオイラの相棒。


よくわからない世界だけど、

スライムと一緒なら、

きっと平気だとオイラは思った。


オイラは島から、

なんでここに来たのだろう。

そう思った。


でもラーチのおっちゃんも、

いきなり島に来た。


いままでいなかったおっちゃんが、

とつぜん島に来た。


オイラもおっちゃんと同じ感じなんだろう。

そう考えたら、どうでもよくなった。


外にでるところもわかったし、

オイラはカカシの所に戻ることにした。


もし「続きを読んでみたい」と思っていただけたら、

ブックマークしていただけるととても励みになります。


本作はすべて完結済みで、安心して最後まで読めます。


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