第七話ー突入
ややこしい言葉が沢山登場します。
ご注意を。
「突入って…どういう事!?」
「説明してる時間がないんだ、セオがまた倒れる前に!」
「え、僕?」
「とにかくついてきてくれ!」
一刻を争うようだ。
私達は慌ててヴィーシの後を追った。
「何この構造…。」
道がところどころわかれていたり、一直線だったり、
とても”生えてきた” 建物とは思えない。
ヴィーシについて行く事、15分前後。
「最後、この扉!」
ヴィーシがバン、と扉を開けた。
するとそこにはーー
一人の男が立っていた。
「…なかなかのタイミングだ、ヴィーシ。もっと遅くなってもよかったがな。」
「好きにはさせねーよ、父さん。」
ヴィーシはセオをさがらせ、庇うように立った。
「え……ヴィーシのお父さん!?」
「その通りだよ、お嬢さん。私の名はゼマ・アール。小さい頃からここでヴィーシを鍛えていた。だが、ヴィーシ本人は嫌になって去ったが。ーーヴィーシは全て知っている。」
「………。」
ヴィーシは押し黙っている。
「ゼマさん。」
どうやらセオは察したようだ。
しかし次の瞬間、またしても私にはわからない用語が。
「……あなたもシーフェンの一人だったんですね。」
「…シーフェン?」
水を差すようで悪いけど、何も知らないのは私だけのようだ。
話についていけない。素直に聞いてみる。
「トラルちゃん、シーフェンっていうのは、
四つの特殊マインから成り立っていて、十字のようにして対になっているんだ。
もう都市伝説みたいになっているけれど、
僕はそのシーフェンの一人、守護者。」
シーフェンなんて全く聞いた事がなかった。
ゼマが言う。
「その通りだ、守護者。そして対になっているのはーー」
「俺から説明する。」
ヴィーシが父親の言葉を遮った。
「セオの言った事に付けたし。シーフェンってのは、
「解放者」、「守護者」、「殺戮者」、「束縛者」 の四つの特殊マインから成り立ってて、解放者は束縛者、殺戮者は守護者と対になってる。
セオは守護者。だから狙われた。何故なら、父さんの計画に邪魔だったから。」
ヴィーシが後ろのセオに向き直す。
「感情の欠如的なものとか、過呼吸とかあったろ? あれ、全部父さんの束縛の力によるものなんだ。セオを弱らせる為にーー、あわよくば、殺す為に為に。」
「え…? そんな…狙われていたなんて。」
という事は、
「……ゼマ、あなたが束縛者なのね。」
「そうだ、私が束縛者だ。そして、そこの私の息子がーー
「殺戮者だ。」
「まさ、か…。」
「…僕の場合、シーフェンの一人で、守護者だってヴィーシ君が教えてくれたんだけど、まさかそのヴィーシ君がシーフェンの一人で、しかも対になる殺戮者だなんて…。」
ヴィーシは目を伏せた。
「それで人を傷つけるから、マインを使わなかったのね、ヴィーシ…。」
「使わないし、どの道”使えない”。俺も父さんから束縛受けてる。父さんの目的の為に。」
…ん?
ヴィーシが殺戮者で、セオが守護者で、ゼマが束縛者でーー
「…それじゃあ、もしかして残りの一人、解放者はーー」
「そうだよ、君が解放者だ。」
唖然とする。何も知らないで生きてきた。
なのにいきなりシーフェンとか解放者とか言われ、ある程度理解できたけど、まだなかなか頭がごちゃごちゃしてしまっている。
「まあ困惑するのも無理もないだろう。君は解放者だから、私の束縛は受け付けない。だから別に何の違和感もなく生きていたのだろう。そこで解放者のお嬢さんに相談なのだが。そこの二人の束縛を『解放』してくれないかね? ーー私の束縛は、自分では解けないのだ。」
何て厄介な能力。
「…何かあるわね。」
「ハハハ、なかなか鋭いじゃないか。」
「セオは今この瞬間にも狙われてる。父さんの計画の為に。」
ヴィーシは先程からセオをさがらせている。
ゼマがニヤリと笑った。
「…ゼマ。セオを狙って、ここにシーフェンを集めて、一体何を企てているの?」
「ふふ…お嬢さん、それは二人を解放してからにしてくれないか?」
どう見たって怪しすぎる。
「…仕方ない、話そう。私の計画とはーー」
単語、間違っていたらすみません。
ご指導お願いしますm(__;)m