第五話ー嵐の前の…?
この作品は進めば進むほどご都合主義になっていきます。
ビー、ビー
午後10時。大抵の人は今頃連続ドラマでも見ていると思われる時間帯だろうか。お風呂からあがると、携帯がなっている。病院からだ。
「もしもし、セオ・リアスです。」
『セオさんですか!? 今から病院に来られますか!? かなり負傷した急患が!』
「わかりました。すぐに向かいます。」
『お願いします!』
リーティを切り、急いで着替えて家を出ー
「ッ…!」
いつもの過呼吸だ。
慌てて楽な姿勢を保ちーー。
鎮めるのに何分掛かっただろうか。
僕は急いで病院に向かった。
「これは酷い…」
中年の男性。
四肢の関節が全て折れている。
顔には火傷の跡。マイン戦闘でもしたのだろうか。
「すぐに治療します。離れて下さい。」
ポゥ…と光の球が男性の体を包む。
四肢の間接と顔の火傷に光が行き渡るよう、暫く集中してーー。
…………
光が、消えた。
「骨折は治療しました。ですが一時的なものなので、安静に。もうすぐ火傷の跡も薄くなるでしょう。」
「いつも本当にありがとうございます、セオさん。」
「いえいえ、それではーー」
ーーえ?
世界が、歪んでー
「セオさん! セオさん!」
遠い所で、僕の名前を呼ぶ声と、リーティのなる音が聞こえた気がした。
「…オ」
うっすらと、声が聞こえた。
「セオ!」
目を開くと、病院のベッドの上だった。
そこには複数の人間が。
看護師や、ヴィーシ君の姿まである。
「…ヴィーシ君? 僕は一体…」
そうだ、あの時目眩がしてー
「…ごめんな。」
「ヴィーシ君…?」
何の話かさっぱりわからない。
院長が近づいてくる。
「申し訳ありません…。私達はセオさんに甘え過ぎました。セオさんが過労で倒れるのも当然です。院長として謝罪させて頂きます。本当に申し訳ありませんでした。」
深々とお辞儀をされた。
過労…? そんなに体調よくなかった訳じゃない。
だとしたら過呼吸が体力を奪っていた…?
「セオ、リーティに出ないから慌てて来たんだけど…もう少し休んでな。言っちゃ悪ィけど、この程度で済んでよかった。」
何だかさっきから引っ掛かるものがある口振りだったけど、ヴィーシ君は時々意味深な事を言うから、その延長だろう。
「ありがとう、ヴィーシ君。」
なんて言っておいて、感情が大体欠如している僕。
それほどでもないけど、取り敢えずありがたい。
「それじゃ悪ィけど俺は少し用事があるから。少しでも休んでろよ。」
ヴィーシ君はそれだけ言うと、席を外した。
*
病院での廊下で。
「ーー時期が、来た。」
俺は呟いた。