↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハリボテの姫  作者: 高飛車
1/14

01

目が覚めたら、俺は幻想的な場所にいた。


白い大地。

凹凸の無い、無限に伸びる真っ直ぐな地面。

ペタペタと大地に触れてみる。

ふむ、感触はないな。


ん?何か可笑しい。

俺の手はこんなに小ちゃくて白くて可愛らしいかったか?

視線も若干、と言うよりかなり下がった気がする。

元々180近くあった身長が50センチ近く程縮んだ気がする。

そして、俺の身体は何故か全裸。

そしてそして、俺の大事な息子も行方を眩まし、恥ずかしくなって穴を掘って隠れてしまった様だ。

そしてそしてそして、視界にチラチラ映る金髪が妙にエロスを醸し出す幼女体型。残念ながら胸は無いが、フニフニほっぺで我慢しよう。

いや、残念でも何でもないか。


まあ良い、一先ずは目の前の事だ。その白い大地から真っ直ぐと伸びる、平行かつ等間隔に並べられた上品で白い、柱の様な本棚という本棚。

棚は所狭しと本が並べられている物もあれば、何もなく、すっからかんな風穴を開けた物まで。

本はミミズを走らせた様な無茶苦茶な落書き。

だが、何故か分かる。これは如何やら歴史の本の様だ。

ユルートレピア帝国。知らないな。

ふむ、此方の本は鍵付きで、迂闊には見られないのか。


上を見上げれば青い空。

何故か白く光を乱反射させる魚群が、プカプカと心地好さそうに泳いでいる。

その向こう側では、まるで中身が見えたスケルトン状の時計。太陽と月が機械仕掛けでクルクルと踊っていた。

何ともファンタスティック。




然し、此処は何処だろうか?

もしや死後の世界?

この容姿から転生とも考えられるか。

確かに、俺は地球の日本と言う国で死んだ。はず。

ならば来るなら必然的に死後の世界だと思うのだが、思ってた天国と地獄とは何ともかけ離れている。

うーん、矢張り転生…でもこの状況を説明出来ない。




「だ、だれ!」


おや?


1人考えに耽っていたら、突如後方から声が掛かる。

振り返れば、其処には幼さを残した、銀眼銀髪の少女が立っていたのだ。裸で。


腰迄有ろう長い髪は申し訳程度しかない乳房を絶妙に隠し、彼女がピクリと動く度にぴょんぴょんと右へ左へと跳ねている。

眼と眉毛は少し吊り上がった、意思の強そうな印象。

鼻は高めのロシア系美人。

頰は少し肉付きが良く、髪に隠れた耳と同じくほんのりと赤味を帯びている。

唇は小さく桜色。人工太陽の光を受けてプルプルに輝く。

目線の高さが同じな事から、身長は130センチもないだろう。

童顔から伸びる、美しく細い首。

スレンダーな身体には、真っ直ぐと腹筋からヘソへラインが刻まれていた。


一言で言うなら目の前の少女は、正しく美少女。其処にはエロと言うものは存在せず、神々から賜うた一種の芸術作品とも言えるだろう。


そんな少女が二言目を放つ。


「だ、だれですか!」


彼女は本棚に半身を隠しながら此方を伺う。

その手には数作の革張りの本。

おっと、危ない。

俺には彼女が天使にしか見えなかった。

もう天使なんじゃね?此処が俺の聖域(サンクチュアリ)か。


取り敢えず、自己紹介でも。

…此処は本名の方が良いのだろうか?幼女体型で男の名前は如何かと思うけど。


「俺の名は葛木(カツラギ)淳(シュン)。自分でも何でこんな所に居るのか分かっていない。君は?」


翼は無いけど天使と仮定。

嘘言われても俺は信じるね。

まあ、恐らく神様か何かの使いだろう。

嘘は良くない。

出来るだけ失礼がない様にしないと。


「わ、私(わたくし)はヴィオラ。ヴィオラ・ルゥ・ユルートレピアです。」


へー、ほー。

ヴィオラちゃんね。

ん?ユルートレピア?

これあれじゃない?

天才発明家が作った道具に自分の名前付けるやつ。

なら、自分の創った世界か国か知らんけど、自分の名前付けても可笑しくはない、よね?

つまりは、


「あなたは神様ですか?」


「はぇ?」






………如何やら早とちりの様だ。


まあ、そっちが違うならもうあっちしか無い。


「帝国のお姫様ですか?」


「は、はい。そうですけど…?」


やべぇ、涙目かわe…じゃなくて。

やばくね?お姫様の裸見ちゃってんだけれども。

神様の裸見たなら眼福って言いながら拝んで済まされたけど、お姫様となったら絶対この後死刑だよね。

絶対にお父様許さないよね。




誰だよお姫様全裸で歩かせてる侍女は。


「あの…」


ん?如何やら自分の世界に入ってしまっていた様だ。

おぉ葛城よ、レディを無視するとは何事じゃ。


「あなたは、なぜ私の中(・)にいるのですか?」






………はい?


た、多分意味深じゃ無いだろうから不純な考えは置いといて。

私の中?

私の「部屋の」中、いやこんな部屋は無いな。

「夢」?「世界」?「思考」?

うーん、未だ其方の方が部屋よりも真実味がある。


あれ、真実って何だっけ。

迷宮ばかりの迷探偵だからわかんねぇや。

真実は多分3つ。



取り敢えず、此処から上手く脱出を試みる必要がある。


作戦①

真実を話して出口を教えてもらう。


ん〜〜〜、信じてもらえるかなぁ?

いや、俺だったら絶対に信じないよなぁ。


作戦②

取り敢えず騙して此処に居座り、情報を得る。


うーん……

無難な気がするけど、後々が怖いかなぁ。


作戦③

人質にする。


はい、言ってみただけです。

捕まったら最後だし、これはリスクが高過ぎる。


よし、②で行こう。


「失礼致しました、ヴィオラ姫。私は皇帝閣下より姫様のサポートをする様に仕りました、侍女でございます。不自由な点が御座いましたら、どうぞお申し付け下さい。」


秘技「THE掌返し」


うん、我ながら雑な作戦だと思う。

だって、さっき姫様の事神様って間違えてんだもの。

礼儀も本職と比べれば天と地の差だろうし。

と言うか、言葉遣いとか大丈夫だろうか。

これは①にシフトするべきかな。




「まぁ!父上が!よろしくおねがいします、カツラギ。」




信じるのかよ。

このお姫様馬鹿なの?

いや、見た目10歳かそこらだと思うけど、純粋過ぎるでしょ。どんな教育をしたらこんなピュアな子が出来る訳?!

少しは変な虫が付かない様に、疑う事を身に付けさせた方が良いと思うけど?!


まぁ、騙されてくれたなら好都合。

此の儘情報を搾取してやろうじゃねぇか。


「では姫様。早速ですが……」


「…ーーあっ、もうこんな時間なのね。」


おーい、じょ〜ほ〜げ〜ん。

此の儘お姫様の侍女とか心臓幾らあっても足りないからさぁ?こっちは早々に此処から逃げ出したいんだよ。

大人しく話を聞いて情報を提示して下さいやがれ。


と考えて、ふとヴィオラの目線の先に目をやると、

あらびっくり。機械仕掛けの空が「チーン」と音を立てて夜になるではありませんか。

まるでオーブントースターで食パンが焼き上がるかの様な。

俺パンか米かって言われたらパン派なんだよね。

日本人が全員米派だと思うなよ。






は?


「ではカツラギ。私は行って来ますね。」


「え、あの、ちょ?」


何を考えたのか、急に身を翻し走り出すヴィオラ姫。

俺も急いで後を追う。

本棚の隙間を縫うように走る彼女をウォーキングかつスニーキングかつストーキングすれば、少し開けた場所に出る。


其処にはまず天蓋付きのお姫様ベットがあった。

白くて、可愛くかつ上品で。

一目で高級品だと分かるベット。


そしてその横には何も映っていない、弧120度状の大画面モニターが宙をふわふわと浮かんでいる。

のと、ホームシアター用なのか7.1chの高級コンボがモニターから少し離れた2人用ソファを囲む様に並べられていた。


ソファには小さなテーブルが横に備え付けられており、上には無駄に質の良いノートと華美な装飾付きの万年筆、あと、時代に似合わぬ白い黒電話。

ん、このノート落書きだらけじゃねぇか。




世界観おかしくね?


その謎の空間に迷う素振りを見せず飛び込み、其の儘ヴィオラはベットにダイブ。

束の間、彼女は寝息を立て始めてしまった。


「何が何だか分かんねぇな。」


俺は顔を痙攣らせるしかできない。

だって意味がわからないんだもの。


ん?



『もしもし、もしもし?』


7.1chスピーカーから女性の声がするぞ?

黒電話で答えるべき?

いや、妙な事はしない方が良いかな。


『ん、ん〜……』


お、おぉぉぉおおおおっ!!


ガ○ダム、大地にt…じゃなくて。

真っ暗だったモニターが、40歳前後の叔母さんドアップ画像に!











誰得?


なんとなく分かりましたぜ!

この世界はヴィオラ姫の夢…と言うか思考の世界なんだ。

背後の本棚は姫様の記憶。

寝る事で記憶の整理を行うって言うし、多分始め見た時に持ってた本は整理の途中の本。


俺が悠々とソファに座っている目の前のモニターが彼女の見ている視界。

ステレオが実際に聞いた音。


ノートは…あくまでも推測だけど、これがヴィオラが見てる「夢」なんじゃないかな?

パッと目を通したけど絵日記っぽいのもあるし。




…この黒電話なんだろ?


『姫様、お召替えの時間ですよ。』


『はい…』


おっと、視界っていうかモニターがブレるブレる。

あ、今度こそ立った…って言うか、歩く時すげぇ揺れるな。

うっわ、酔いそ。




しかし、ヴィオラの心の中かぁ…










あれ、俺此処から出れなくね?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。