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千一卜覚醒!(戦わないくせにこれ以上強くなってどうするんですかやだー)

随分と遅くなり本当に申し訳ないです


18/06/04《スキルコピー》の重大な矛盾について改稿







 腰にまで届く長い髪は微風に揺れ、一種の高潔さを示しているかのようであり、濃い青


の瞳はそこには何にも揺るがし得ない何かの存在を思わせる。胸を含め全体的に小柄であ


りながら、病弱さを思わせず、神秘性を感じるのはイースの髪や服も体も全て水であるか


らだろう。一片の濁りもなく、向こうの森林が水面の屈折により少し歪曲して見えるのが


なんとも言えないファンタジーだ。


 イースにマウントポジションを決められているが、人の肌よりもふにふにしている膜の


ようなものにより、俺の服が濡れることはない。


 何でマウントポジション取られてるんだと思い返してみたが、いつも通りイースがじゃ


れてきただけだったか。


 これが左眼を通して見える風景であり、俺が今いる場所のなんとも和やかな風景だ。


 一方、右眼、もっと言えば《千里眼》によって齎される景色は、あんまり見たくない部


類に入る。


 イースほど長くはないが、それでもロングというには十分な髪は、まるで台風にでも遭


ったかの様に荒く揺れているが、茶色の目は鋭く光り、頭についたケモミミはぴくぴくと


何やらを感じ取り忙しなく動いている。4本の尻尾はまるで足の補助のように、時として


空や物を激しく叩く。体はイースの一回りほどしか大きくないが、胸に関して言えば他の


全ての栄養が回ったかと言いたくなるほど大きく、激しく動いている今その振動数は凄ま


じい。

 クーだ。まだ本来の、つまり『人化』を解いた状態になっていないから余裕を持ってい


ることが窺える。

 クーは今、魔神の暴走に付き添ってる形だ。微妙に人のいるところから避けようと誘導


している辺りは、多分優しさではなく後々面倒なことにならないためだろう。魔神は暴走


中につき特に目的地を持って動いてはいないが、着々とある場所に向かっている気がする


のは、運命の悪戯か。そんなことより魔神が動くと一々振動がこっちまで伝わってくるの


が煩わしくて仕方無いな。


 左眼の《千里眼》を解き、両目を閉じる。


 現状を整理するか。


 まず、考えなければいけない勢力は大きく4つだ。

 1つ目は帝国・華。オルトリアを隊長とし、純人族が主力となっていた部隊は撤退した


が、ゴーレムや精霊を主力とした疲れを知らない凶悪な勢力は未だに健在だ。彼らの目的


は、命令が変わるまでひたすら攻め、滅ぼすことだ。

 2つ目はリンテル王国。勇者と呼ばれる者達や、騎士団、有力な冒険者などが主力とな


り、戦線の後退を抑えるのに貢献している勢力だ。ある協定によって魔人族の国からも一


部軍が出動している。

 3つ目はクーと、魔神となったブラウニーだ。今のところリンテルの無人となった街を


ハチャメチャにしているのみだが、魔神は現在も暴走中なため、その位置は少しずつズレ


てきている。この2人に特に目的はないだろう。強いて言うなら、クーは魔神スーィワァ


ルに引っ付いて監視することが目的だ。

 4つ目は精霊だ。リンテル国を攻めてきた帝国・華のもつ精霊部隊の報を何者かから聞


き、神精霊メリアを長とした団体だ。彼女の目的は、帝国に隷従させられている精霊の解


放とその根源たる帝国・華への報復である。ただ、まだ彼女達はリンテルに到着していな


い。


 俺の勝利条件、というか目的は、メリアの暴走(・・)()めること。それ


だけだ。その根源は被害の縮小だ。つまり、如何に被害を抑えてメリアを押さえるかが今


回の鍵だ。

 と、いうのは微妙に建前が入っており、もし最善を尽くすとするならば、メリアを一度


遠ざけた後、暴走の原因となるものを排除すれば良い。それはできないことはない。しな


いが。

 魔神を止めるのは、《自由之理(オン・リヴァティ)》のせいでかなり困難なので、


こちらは放置した方がむしろ被害が少なくて済むことすらありそうだという結論の下、手


は出さない方針だ。色々考えるのが面倒だとも言う。


 さて、そのメリアの到着まで数時間暇な訳だ。


 両目を開く。


 ステータス展開、回想ログと頭で念じると、ホロ画面が2つポップアップする。大量の


スキルと、大量のログが表示されているのをざっと目を通しながら一息吐く。


 《一隻眼》は全てを見通す眼だ。過去未来現在の全てが分かる。残念ながら、俺の脳の


方のスペック不足で宝の持ち腐れ状態ではあるが、有用なスキルであることには間違い無


い。

 この前は自分やイース、クーなどに対して意識的に使った《一隻眼》だが、レベルを1


7とかにしてしまえば、視界内に入ってきたものは無生物生物を問わずその真実を見るこ


とが出来る。しかし、それだけではない。「概念」と呼ばれるものに対してもこれは使え


るようなのだ。


 例えば、「魔法」。魔法神の作った最もシンプルな魔素の有効活用法である。魔法神の


頭の弱さ故、単純ではあるが使い処が微妙な魔法が多数存在する。ただ――。

 例えば、「精霊」。《霊魔解》を持つ物体が多大な魔素若しくは魔力を吸収することに


よって生まれた。基本的に子を()すことはできないが、精霊自身が身体構造を変


えることによって生すことができる。また――。

 例えば、「《自由之理(オン・リヴァティ)》」。スーィワァル=レヴィアタン=ア


モル=ブラウニーの持つスキルの1つである。スキル所持者があらゆる状態に対して自由


で在るように、適応できるという効果を持つ。但し――。


 こんな感じである。しかし、残念なことに《一隻眼》は評価というものをほぼしてくれ


ない。ほぼ、というのは絶対的な評価はできるからだ。例えば、魔物や人にランクを付け


てくれるのは《一隻眼》だが、やはり実際ランクBは必ずランクB(マイナス)以下


に勝てる訳ではない。《一隻眼》は真実を伝えるのみに留まるということか。


 しかし、こんなに便利なツールはない。まるでグー○ルやヤ○ーだ。ここに来る前は大


変世話になった。


 ちょっと長い前フリをしてしまったが、自分のスキルもざっと《一隻眼》で眺めてみた


のだ。


 「《スキルコピー》」。千一卜が所持するスキルである。相手のステータスが完全に見


える場合、スキルをコピーできる(相手のスキルは消失しない)。回数と確率は|SLv


《スキルレベル》によって変化する。一回消費MP1億。

 SLv(スキルレベル)50でスキルペーストの能力を得る。SP(スキルポイント)10万を消費してこのスキルをスキル《スキルソウル》に変化させる。


 一応言っておくと、大事なのは後半である。スキルが変化ってなんだって感じだ。《スキル・ソウル》については調べるべくもなく、とんでもなさそうなのは分かっていたが、《一隻眼》で調べたところ、《スキルコピー》の上位版であり、スキル効果範囲内に入った相手のスキルを自由に加算取得できるというものだった。読む限り、取得回数に関する制限がない。さらに、自身及び、自身のスキル、ステータスを最適化するという説明文があったが、こっちに関しては良く分からなかった。


 さて、如何せん。まず、《スキルコピー》に、範囲指定は無かったが、《スキルソウル


》には効果範囲があるらしい。これが視界内であれば、《千里眼》で余裕なのだが、きち


んと距離で決まっていると、上位互換と言って良いか微妙になってしまう。それから、最


適化という言葉が怪しすぎる。

 更に、SP(スキルポイント)をほぼ全て持っていかれるというデメリットも存在する。


 敵との相性というのもあるし、これ以上強くならなくて良いなんていう限界はないと思


う。その点において、レベルを上げるべきなのだが、ちょっと迷ってしまう。スキルのレ


ベルを自身で上げられること自体贅沢な悩みなんだよなあと苦笑しつつ。

 でもやっぱ不測の事態に備えて上げとくべきだよな?効果範囲が狭まる可能性があるの


が気がかりだけどさ。


 《スキルコピー》のレベルが上がりました。Lv99→Lv100

 《スキルコピー》のレベルがMAXになりました。

 《スキルコピー》の効果が発動されました。

 《スキルコピー》が消失しました。

 《スキルソウル》LvMax(0)を入手しました。

 《スキルソウル》の効果が発動されました。


 最後の文を見た瞬間に身体中に激痛が走った。なんというか、じわじわくる痛みだ。悶


え転げまわる程ではないし、絶叫するほどでもないし、逆に声が上げられないほどでもな


い。中途半端な痛みで、恐らく表情だけ良い感じに歪んでいるだろう。


「マスター・・・?」


まあ、俺の機微に敏いイースが気付かぬはずがない。とりあえず、痛いのを和らげる意味


も含めて、イースを抱き締めてやった。


「わっぷ・・・。マスター?」


俺の胸に顔を(うず)めて、とりあえず心配してる風を装っているが、顔はふにゃー


っとしているに違い無い。あざとい系年増め。可愛いじゃないか。


「全身激痛でちょっと辛いだけだ。回復系も意味ないみたいだしな。」


「ま、まさか何者かがマスターを!?」


「いや、単なる自業自得だ。」


「自業自得ですか?」


顔を胸にぐりぐりやりながら首を傾げるイースに、「そうだ」と短く答える。痛いから余


り会話をする余裕がないが、会話をすれば痛みが少しは和らぐ・・・嫌な矛盾を発見して


しまった。うん、割と余裕あるな、俺。原因が《スキルソウル》の最適化だろうという当


りを付けてるから、死にはしないし、むしろ良い方向に向かっているはずだという考えが


あるからだろう。突然、原因不明の痛みに襲われているのとは訳が違う。

 そんなこんなでイースと下らない話を続けつつ、痛みに耐えていると、体感数十分ほど


で、痛みがほとんど気にならないほどまで収まった。まだ筋肉痛のような違和感が残って


はいるが、その程度だ。イースもマウントポジションに戻っていた。いや、マウントポジ


ションが定位置になったら困るけどな。

 一息ついてから、開きっ放しだった《回想ログ》をスクロールしていく。うーん。意味


が分からん。



名前 :千一卜(セン=カズウラ)

種族 :純人族

年齢 :17♂

称号 :遊ぶ者

言語 :-

状態 :良好

レベル:-

特性 :なし

HP :2400万

MP :∞

SE :1億

力  :29.7万

防御 :33.4万

賢さ :8.1万

業力 :24.7万

素早さ:2,700

命中 :7,000


SP:226


スキル枠4/-


槐棘文殿(アカシックレコード)》Lv1

唯我独尊(ステ・ア・ルーナ)》LvMax

英気一花(ムンドゥス・メウス)》LvMax

天地掌内(グラティス)》LvMax



 ステータスが10倍ぐらいになってるのが気にならないくらいスキルが減っていた。そ


もそも《スキルソウル》はどこに行った。あれのせいで俺は痛がってたんじゃないのか。


違うのか。

 とりあえず効果を見てみるか。



槐棘文殿(アカシックレコード)

 過去未来現在の全てのことを知ることができる。但し、可能世界にはアクセスできない


。更に、あらゆる情報を隠蔽、改竄できる。

 知覚範囲を広げ(1000里)、知覚範囲内の全てのものを大まかに把握する。


唯我独尊(ステ・ア・ルーナ)

 知覚できる範囲内にいる相手のスキル又はステータスを、加算取得若しくは奪取する、


消失させることができる。また、相手にスキルやステータスを贈与することも可能である


。更に、スキル・ステータスを最適化する。この能力にはスキルポイントを消費する。1


人につき一日一度しか発動できない。


英気一花(ムンドゥス・メウス)

 過去に入手したスキルの記録が呼び起こされたもの。それらが任意のレベルで使える。


各スキルに対して任意発動。


天地掌内(グラティス)

 ありとあらゆる種族になり得るが、一度みたことのある種族にしかなれない。種族によ


る制約を受けない。全言語を理解する。状態異常にかからない。



 メリア、()めようかな。()めるじゃなくて。そんなことを考えるぐら


いにはぶっ飛んでた。むしろステータス低いなって思ってしまうほどだ。とにかく強いな


。強過ぎる。《槐棘文殿(アカシックレコード)》なんて完全に神の所業だしなあ。《


一隻眼》の上位版みたいな感じだろうか。《唯我独尊(ステ・ア・ルーナ)》は、《ス


キルコピー》、《スキルソウル》の上位版かな。いや、《真なる強欲(アマイモン)


も含まれてそうだな。それにしても《スキルソウル》の寿命は短かったなあ。《|英気一


ムンドゥス・メウス》はもうなんと言ったら良いか・・・。《|天地掌内《グラテ


ィス》》の「種族による制約」ってのは何なのかね。


 全てのスキルについて考えてから、少し落ち着く。ちょっと興奮し過ぎたみたいだ。で


も、こんなスキル群を見たら興奮してしまうのも無理はない。


 展開されたステータスから目を離し、冷静に考える。今から計画を突然変えるのは愚鈍


のすることだ。必然的とは言え、突発的でもあるこれらのスキル入手は一旦脳の片隅に置


いて、すべきことを反芻する。


 メリアが暴走したら、なるべく早くその暴走を()めること。


 ふと、イースの方を見る。


 固まっていた。


 うん、俺の思考も停止したぞ。よし、計画の話は一旦中断だな。何があった。咄嗟に《


槐棘文殿(アカシックレコード)》が頭を()ぎるが、それはあまりにも無粋と


いうものだろう。答え合わせに使うならともかく。


 とりあえず、こう、頬をふにふにと。何やってんだ俺は。


「はっ!?」


俺の下らない策、略して下策は功を奏したようだ。何故か複雑な気持ちになるな。


「どうかしたか?」


イースが後ろに倒れそうになるのを手で支えてやる。知ってたけどやっぱり軽いな。片手


で十分とは。


「えっと・・・マスターの格が突然上がったような気がして・・・。」


「格?ってなんだ?」


「えっと、要するにどのくらい凄いか、ですかね。強さだけでなくもっと幅広い、威厳の


度合いみたいなものです。・・・でも、今はまた元の純人族と言われても不思議じゃない


普通の格に収まってますね・・・。」


格・・・威厳ねぇ。多分、《スキルソウル》か《唯我独尊(ステ・ア・ルーナ)》がス


キルを再構成しているときに、《天機掩蔽》が消え、《|槐棘文殿《アカシックレコード


》》を取得したちょっとの間、素の格が出てしまったんだろう。若しくは、《|英気一花


《ムンドゥス・メウス》》が保存した《天機掩蔽》が発動したかのどちらかだ。

 っつーことは、俺の本来の格って結構上なのか?


「その格ってどれぐらいのもんだった?」


「今まで、いえ、空前絶後遭遇することはないだろうと思えるほどの格でしたね。」


「ふむ・・・。」


えーっと、元々何の話をしてたんだったっけか。ああ、そうだ。俺の能力の上昇を考慮に


入れて計画を練り直そうと思っててそれで・・・。


 イースが心臓を殴られたかのように震えた。


 《槐棘文殿(アカシックレコード)》に意識を向けなくても分かる。メリアが来たん


だろう。いや、イースの知覚範囲内に入ったと言う方が正しいと言えば正しい。イースの


知覚範囲がそう遠くないことを考えると、一旦計画の話は置いておいて、メリアの動きを


注視した方が良いか。


 未だ震えつつ俺の服をぎゅっと掴むイースを宥めながら、《|槐棘文殿《アカシックレ


コード》》を集中する。


 丁度、メリア、魔神、クー、帝国の精霊が一同に会すところだ。大分時間が経っていた


らしい。


「おやー、振古神のメリア様ー・・・って聞こえる訳ないですよねー。」


クーの独り言は魔神の叫びや移動音に掻き消された。そう言えば、メリアは魔神とほぼ同


い年だし、クーより遥かに長生きなのか。


「・・・・・・」


対するメリアは無言だ。その視線は帝国の持つ精霊軍に向けられていた。メリアの御付で


あろう精霊達はそれを黙って見守っている。御付ということもあって、どれも精霊王や高


位精霊等、かなりの力を持っているようだ。なんだろう、一々《一隻眼》を発動しなくて


も大体どれぐらいの強さか分かる様になってしまった。便利だ。

 慢心してる場合じゃない。


 瞬間メリアが光った。光の精霊だから・・・ではないだろう。それはもっとどす黒く、


鈍い感情の反映と言えよう。その心の名を。


 ――憤り(ネメシス)


そう呼ぶのだろう。

 そして、その圧に当てられて、魔神が叫び、クーは緊張を強め、帝国の精霊達はピタリ


と動きを止め、御付の精霊達は脂汗を流していた。

 飽くまで《槐棘文殿(アカシックレコード)》を通して見た俺の感覚の話だが、イー


スの言うような()が、今のメリアは非常に不安定に感ぜられる。

 さて、どうするか。このままメリアを気絶させると、街は無事でしたがメリアが無事じ


ゃ済みませんでしたみたいになったら洒落にならん。逆もまた然りだ。


 メリアからは無尽蔵かと思うほどの霊素が流れ出続けているが、霊素自体は普通の人間


の体に影響を及ぼすことはない。

 という情報を知っていたから、油断していた。


 ――クーの尻尾が全て消えた。


後から《槐棘文殿(アカシックレコード)》を介して分かった事だが、メリアが放出す


る霊素に()てられて、本来もう少し遅かったはずの進化(?)が早まったらしい


 ・・・「空狐」に至ったか。心なしか金の毛が薄くなったようにも感じられるが・・・



「んー?変ですねー?尻尾がないですー?」


空狐へ至った影響か、一時的に《人化》が解け、かなり大きな狐の姿となっているが、尻


尾はない。しかし、さらりとした毛並みと鋭い茶の目は、老巧を思わせる。また、それと


は対称的におっとりした声には思わず気が抜けそうだ。

 本当に気が抜けていたようだ。メリアの格はとっくに安定していたらしい。


「・・・・・・」


やばい。そう思った瞬間に、魔術を起動する。


 ――『雷霆』


『気絶』させるつもりなので本気で放った。


 魔術が遠くまで届く理由は、魔力を沢山使ったからだ。後、《|英気一花《ムンドゥス


・メウス》》で、スキルレベルに際限がなくなってるのも理由の1つか。まあ、そもそも


魔術の謳い文句が、あらゆることを可能にするだからな。なんでもありだろう、多分。


「・・・・・・」


『気絶』しない!?・・・《星光》か何かで吸収されたか。《デバフマジック》の方が良


いか。

 思案している間に、メリアが無差別な攻撃を放った。それを全て『ダーク・シールド』


でブロックする。こういうときは単純かつ分かりやすい魔法の方が楽だ。


 ――『スリーラライズ・コマ』


《回想ログ》を表示し、メリアが『睡眠・気絶・金縛り・麻痺』状態に陥ったことを確認


し、息を吐く。


「ふう・・・。」


呆気なかったな・・・しかし、これで一段落・・・という訳には行かないようだ。


 ――『スリーラライズ・コマ』


 ――『ウィーア・ファティ』


再び、《デバフマジック》を放つ。魔神(・・)に。『ウィーア・ファティ』は、相手


を『疲労』状態にさせる効果を持つのだが、『疲労』状態になると、スキルの発動がパッ


シブアクティブ問わずに鈍るらしい。これで少しは《自由之理(オン・リヴァティ)


の発動が遅れてくれれば幸いだ。

 恐らく、メリアの気に()てられて、魔神が攻撃対象として見做してしまったの


だろうが、メリアも魔神も振古神な上に、メリアは完全無防備な状態だったので、魔神の


攻撃を受けていたら無事では済まなかっただろう。それは俺・・・いや、俺達(・・)


の本意とするところではない。


 ふう・・・。今度こそ・・・終わった・・・よな?


 妙に疑心暗鬼になってしまった俺は、その後1時間程警戒を続け、クーが魔神とメリア


両方をそっと見ているところをほっこり眺めていた。


 腕の中で安心したように頬を胸に擦り付けるイースを、完全に忘却の彼方に追いやって


いた事は言うまでも無い。
















そろそろ第一章終わります(まだ第一章も終わってないってことですはい)

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