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2.

 妹のヘレンと両親は、ウィリアム王子を騙すことに成功した。


 見た目はそっくりなので、気付きようがない。

 両親はヘレンをエマとして紹介し、ウィリアム王子はそのことを信じた。

 殿下は、私たちが双子の姉妹だということは知っているけれど、まさか両親もグルになって騙してくるなんて思ってもいなかっただろう。


 ヘレンたちの思惑は見事成功した。

 彼女は家を出て、王宮に住むようになった。

 しかし、毎日のように家に来て、王子との暮らしがどれほど幸せなのか、私や両親に語っていた。

 ヘレンの笑顔で語る様子を見て、両親は嬉しそうだった。

 私は煮え切らない思いで、彼女の話を聞いていた。


「ウィリアム王子って、本当に素敵な人なの。細身でお顔が整っているのなんて、完全に私好みだし、いつも私のことを気遣ってくれるのよ。あぁ、本当に毎日が幸せだわ。まあ、お姉さまには、人生にこんな幸せなことがあるなんて、想像もできないでしょうね」


 ヘレンは、私の方を見ながらニヤニヤとしていた。

 人の縁談を奪っておいて、よく言うわ。

 でも、実際に婚約したのは私ではなく、ヘレンなのだ。

 まあ、表向きはエマとウィリアム王子の婚約ということになっているけれど、ヘレンが私に成りすましているなんて、誰もそんなこと、想像すらしていない。


 ヘレンの自慢話を聞くたびに、私はやり切れない思いをしていた。

 本当は、その立場にいるのは私のはずだったのに……。

 その私の立場を奪った本人から、王子との幸せな日々の話を聞かされるのは苦痛だった。

 そんな毎日が続き、私は我慢できなくなり、ついに行動に移すことにした。


 ヘレンたちに騙されていることを、ウィリアム王子に知らさなければならない。


 本当はもっと早くこうするべきだったのだけれど、あまりに唐突で奇抜な展開のせいで、私は半ば放心状態だった。

 ウィリアム王子を奪われたこともショックだったし、そんなことを平気でするヘレンにも、彼女に協力する両親にもショックを受けていた。


 どうしてそんなことをするのか、理解できなかった。

 人が苦しむ様を見るのが、そんなに嬉しいの?

 ヘレンが喜びさえすれば、私のことはどうでもいいの?

 しばらくはショックで何を考えたくなかったし、何もしたくなかった。


 でも、今の私は違う。

 もう、これ以上ヘレンのわがままな行動には我慢できない。

 ヘレンと両親が騙していることを、ウィリアム王子に知らせるため、私は王宮に足を運んだ。

 騙されていることさえわかれば、ウィリアム王子も黙っていないだろう。

 これで、すべてが解決すると思っていた。


 しかし、王宮を訪れた私は、予想外の対応をされるのだった……。

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