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1/55

1.

 侯爵令嬢である私、エマ・ローリンズは、突如舞い込んできた縁談の話を聞いて喜んでいた。

 相手はなんと、この国の第三王子であるウィリアム・ガーヴィー様である。

 思わぬ縁談だったけれど、本当に嬉しかった。


 しかし、その喜びは、すぐに消え失せた。

 それは、私の双子の妹であるヘレン・ローリンズのせいだ。


「お姉さま、ウィリアム様から縁談の話が来て、ずいぶん調子に乗っているみたいね」


 ある日、夕食を食べている時、妹のヘレンが私に突っかかってきた。


「いえ、べつに調子には乗っていないけれど、縁談の話は、素直に嬉しいわ」


「そういうのが、調子に乗っているっていっているのよ!」


 ヘレンはすごい形相でこちらを睨んできた。

 そう言われても、私が何かしたわけではない。

 この話は、ウィリアム王子の方から持ち掛けてきたものだ。

 そのことを、ヘレンに説明すると……。


「へえ、そう……。ウィリアム様に選ばれたことを、そんなに自慢したいわけ!? なんて性格が悪いのかしら!」


 もう何を言っても、ヘレンには嫌味としか取られないらしい。

 私は呆れて黙っていたが、彼女はとんでもないことを言い出した。


「そうだわ! 私がウィリアム様と婚約すればいいのよ! ウィリアム様にふさわしいのはお姉さまではなく、この私よ! お姉さまと私は見た目がそっくりだから、私がお姉さまに成りすまして、ウィリアム様に近づけば、何も問題ないわ!」


 ヘレンは意気揚々としている様子である。

 いやいや……、何も問題ないわ、なんて言っているけれど、問題しかありませんよ?

 そんなバカなこと、成功するはずがないでしょう?

 そう思っていたけれど……。


「確かにそうだ。ヘレンを差し置いて王子と婚約するなんて、間違っている」


「ええ、そうね。エマなんかよりも、ヘレンの方がウィリアム様にふさわしいわ。あなたのために、私たちも協力しましょう」


「お父様、お母様、ありがとう!」


 ヘレンを溺愛している両親は、彼女に協力するつもりのようだ。

 両親はいつでも彼女の味方だ。

 私の不利益になるようなことでも、それがヘレンの利益につながることなら、平気でやる人たちだ。


 またこのパターンだ……。


 ヘレンはいつも、私のものを平気で奪う。

 両親を味方につけ、私のものを奪い、私が絶望している様を見て悦に浸るのだ。

 今回も、私はなすすべなく、妹に何もかも奪われてしまうのだと思っていた。

 しかし、そうはならなかった。


 ヘレンは王宮に招かれ、幸せな生活を送り始めた。

 両親の協力もあったし、ヘレンは私と見た目がそっくりなので、すべて彼女の思惑通りに事が進んでいた。

 しかし、そんな彼女の幸せな生活は、いつまでも続くことはなかった。


 ヘレンは幸せの始まりだと思っていたようだけれど、それは地獄の始まりなのだった……。

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